開高健もお忍びで来た沼
群馬県と栃木県の県境を成す金精峠の群馬側。国道120号線沿いに点在する沼(湖)の1つが菅沼です。標高は1,731m、日光白根山の噴火により出来上がったせき止め湖で、近くにには丸沼と大尻沼があります。なお、峠の反対側には、栃木県の湯ノ湖と中禅寺湖があります。「菅沼」は、実際には、清水沼、弁天沼、菅沼の3つの主な沼から成っていますが、釣り人の間では全体を総称して菅沼と呼んでいます。
菅沼で釣りができるのは2年に1度。釣れるニジマスのコンディションをよい状態に保つために、1年おきに解禁する方式が取られています。釣り好きで知られる文豪・開高健は、かつて湖のオーナーにこのプライベートレイクでの釣りを許され、度々訪れました。
一帯は冬になると積雪が2mを超える豪雪地です。人の手が必要最低限しか入っていない自然に囲まれると思わず息を呑みます。沼の水深は最も深いところで67m。湖岸線は14kmで、透明度は15mと非常に高いのが特徴です。魚類はニジマスのほかに、イワナ、ウグイ、ヒメマスの姿も見られますが、一番人気はやはりニジマス。澄んだ水の中で育つことにより、「グリーンバック」と呼ばれる、背中が緑がかった特徴な体の色になります。
ルアーはスプーンが定番。虫パターンも用意
菅沼の釣りは手漕ぎボートを使います。釣り方はルアーフィッシングおよびフライフィッシングのみで、釣れた魚はすべてキャッチ&リリース(再放流)するのがルールです。フック(ハリ)はどちらの場合でも、イカリバリではないシングルフックで、なおかつカエシのないバーブレスフックを使うのが決まりです。
ルアーフィッシングでは、6フィート前後のスピニングタックルが1本あれば楽しめます。トラウトロッドのほか、軟らかめのバスロッド、あるいは硬めのメバルロッドなどでも大丈夫です。ラインは2,000番台のスピニングリールに、ナイロンまたはフロロカーボンの3~4.5ポンド前後を巻いておきます。ルアーは5~10gのスプーンが定番で、ほかにフローティングミノー、サスペンドミノー、シンキングミノーなどのミノー、そして夏は湖岸から落ちて水面に浮かぶセミなどの昆虫もよく食べられているため、いわゆる虫パターンも用意しておきます。エサを食べたいニジマスは、基本的に湖岸に沿って回遊しているので、水中にカケアガリ(陸から湖底に続く傾斜)が見えるところの周辺などをねらってみましょう。
フライは水面に浮かべるドライフライが面白い
フライフィッシングの場合は、ボートのうえでも使いやすく、また遠投もしやすい#5または#6タックルがおすすめです。沈めて使うフライ、浮かべて使うフライのどちらでも狙えますが、おすすめは浮かべて使うドライフライ。その場合、フライラインも浮かぶタイプのフローティングラインを使います。
木の枝がせり出しているような場所にボートで近づき、湖岸に沿って泳ぐニジマスを探します。姿を見つけたらその鼻先にフライをキャストして浮かべると、水面に浮かぶ昆虫だと思ったニジマスが近づいてきて、バシャっと勢いよく食い付きます。菅沼のニジマスは50cm前後の大型も多いので、一連の動きを目で追う釣りは非常に興奮します。
フライ(毛バリ)のおすすめは、コガネムシやカメムシを模したドライフライです。なかでもフォームビートルなどの名前が付けられている、発泡素材を使ったフライはいかにも湖に落下する甲虫の雰囲気があり、ニジマスの反応もよく、また繰り返しキャストしても沈みにくいといった特徴があります。フライショップや通信販売で入手できるので、ぜひ入手して使ってみてください。
- 釣り情報
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- 菅沼の解禁情報(西暦の奇数年に解禁)
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申し込み先:菅沼キャンプ村
【2021年の解禁日】
6月 19,20,26,27日
7月 3,4,7,10,11,17,18,24,25,30,31日
8月 1,5,20,21,22,25,27,28,29日
9月 1,3,4,5,8,11,12,15,17,18,19,20,23,24,25,26,29日
10月 1,2,3,6,9,10,13,15,16,17,20日
アクセス:関越道・沼田ICからR120で約70分。日光宇都宮道路・宇都宮ICから清滝ICを経由してR120で約90分
- 記載の内容は2021年7月現在の情報です。変更となる場合があるのでご注意ください。