守られる豊かな森、川、魚たち



コンパクトにまとめた釣り具とキャンプ道具を積んだ愛車で、釣り場に到着した小野さん。ちなみに夏季の対象期間内であれば、『ANAスカイツーリング北海道』を利用すると、バイクと一緒に快適な空旅を楽しめます。興味のある人はぜひ一度チェックしてみてください。
準備を終えたところで、キャストしながらさっそく川を上流に進みます。すると対岸際で魚がルアーにアタック!小型ながら元気にファイトしたのはイワナの仲間、オショロコマでした。きれいな朱点の出た魚体に、小野さんも見とれてしまいます。
さらに川をさかのぼると、今度は尺(30cm)クラスのアメマスがヒットしました。岸際や倒木下などの狙った場所に、吸い込まれていくように入っていくルアー。そしてリールを巻いてアクションを加えると、ガツンという手応えとともに魚の躍動感が手に伝わります。この感覚は、何度味わっても飽きません。
そのうちに、いかにも良型が潜んでいそうな場所に到着しました。複雑に入り組んだ倒木の枝が、釣り人に挑戦状を突き付けているようなポイントです。「あそこにキャストできれば、きっと魚が出ると思うんですが……」。そう言いながらキャストした小野さんのルアーは、数投目で倒木下の奥へ着水。ルアーにアクションを加えた次の瞬間、大きくロッドが曲がりました。「来ましたよ!」。瀬を下流へと疾走した魚は、この日最大クラスの尺オーバーのアメマスです。気温が高く厳しいコンディションでも遊んでくれた魚に感謝してくリリース。魚はゆっくりと深みへ戻っていきました。



実は今夏の北海道は記録的な猛暑が続き、降水量も少なかったため、川はどこも渇水状態でした。そんな中でも空知川水系は水量も維持され、元気に魚が泳いでいる状況でした。これは周辺の森が豊かに保たれているお陰といえます。
南富良野町は、『南富良野町森林・林業マスタープラン』によって、「健全な森林の育成」、「林業と環境保全との調和」、「元気な森林・林業のまちづくり」を目標に掲げた取り組みを行なっています。豊かな森は豊かな川をつくり、そこに棲む生物を守ることにつながります。魚と森を守りながら、それを利用しつつ未来へとつなげていく姿勢は、まさにSDGs「持続可能な開発目標」そのものといえるでしょう。今回の旅は、南富良野町の取り組みの成果を証明するかたちにもなりました。
ソロキャンプでいただく絶品ジンギスカン



ヒットにも恵まれて1日目の釣りを満喫した小野さんが向かったのは、富良野にある『星に手のとどく丘キャンプ場』。その名のとおり星がとてもきれいな場所です。ただ、この日は残念ながら夜は曇りの予報……。
しかし、キャンプ場の魅力は星空だけではありません。北海道といえばジンギスカンが有名ですが、こちらでいただけるジンギスカンは地元でも絶品としてよく知られているのです。各地のジンギスカンを食べてきた小野さんも、太鼓判を押す味わい。テントサイトで自分で焼くのはもちろん、食事スペースがあるので、手ぶらで食べに来ることもできます。
ソロテントを設営し、チェアとテーブルをセッティング。そして焚火台で炭をおこせば、ぜいたくな1人ジンギスカンの宴がスタート。この日の釣りを振り返りつつ、やわらかいサフォークの肉を噛み締めます。「北海道は釣り、キャンプ、そしてツーリングのどれをとっても、誰もが憧れる最高の場所のひとつだと思います」と小野さん。広々とした風景の中を走って、きれいな渓流を歩いて魚と遊んで、美味しいジンギスカンをいただく……。
「明日はどこで釣りをしようかな」
北の大地の短い夏を満喫する小野さんの旅は、まだ始まったばかりです。
- 釣り場情報
-
- <空知川/アメマス、ニジマスなど>
-
アクセス:新千歳空港、旭川空港、帯広空港からレンタカーなどを利用。釣り場にもよるが、いずれの空港からも2時間前後で南富良野町周辺へ。
シーズン:6月~9月下旬
備考:アメマス、ニジマスはルアー・フライフィッシングなどでねらえる。管轄漁協はないが、空知川水系かなやま湖および周辺に棲むイトウについては保護のために『南富良野町イトウ保護管理条例』が制定されている。詳しくは南富良野町ホームページ参照。 -
また、北海道の川で釣りをする際は、地元のフィールドやクマ対策に精通するフィッシングガイドサービスを利用すると、初めてでも安心して釣りが楽しめる。
ガイドサービス:ドリーバーデン、FISH CAMP