古代のロマン感じる遺跡を巡る旅へ
1972年のユネスコ総会で制定された世界遺産。
今年の日本では、人間の手が入ったものが対象となる文化遺産と、手つかずの自然が対象となる自然遺産の両方が認定される快挙が起きました。
今回世界文化遺産に認定されたのは、北海道・北東北(青森県・岩手県・秋田県)に点在する17の縄文遺跡群。
これまで世界史では「縄文時代は移動生活、弥生時代は定住生活」というのが定説でしたが、これらの遺跡群では、人々が狩猟・採集・漁労を基盤とし、農耕に移行しないままの定住生活を1万年以上も続けていたことが証明されました。
遺跡のまちで人と会い、郷土の食を楽しみ、水を空気を味わうと、その広場が、俄然古代の人々の営みの場に見えてくるから不思議です。
ここではいくつかの遺跡を紹介します。古代のロマンを感じる遺跡群への旅をプランしてみましょう。
青森「三内丸山遺跡(さんないまるやまいせき)」
今回の遺跡群のなかでもっとも有名だと思われるのが青森県の三内丸山遺跡。
今から約5900年前~4200年前の大規模集落であるこの遺跡からは、竪穴建物跡や掘立柱建物跡などが確認、復元されていて、当時の村のようすがイメージできます。
岩手「御所野遺跡(ごしょのいせき)」
三内丸山遺跡同様、縄文時代中期後半の大規模集落跡。キレイに復元された公園になっており、駐車場から120メートルの「きききのつり橋」を渡りながら公園に入る様子はさながらタイムマシーンのよう。敷地脇を流れる馬渕(まべち)川にはかつてサケ・マスが遡上していたことから、ここに多数の住居があつまり、東ムラの竪穴建物は実に200棟以上も確認されています。中央には墓地を配した大集落があったイメージがわき、ロマンを駆り立てます。
秋田「伊勢堂岱遺跡(いせどうたいいせき)」
北秋田市にある20ヘクタールの広さの遺跡。ここの特徴はなんといっても1,000個以上もの石をつかってつくられた円状のストーンサークル(環状列石)が4つもあること。恐らくかつては祭壇のような役割をしていたと思われるサークルは、太古の人々の思いがこもる場所です。
また数多く出土しているユーモラスな土偶もかわいく、縄文人への愛おしさが湧いてきます。
北海道「大船遺跡」
最後は北海道函館市郊外にある「大船遺跡」。海に近いこの遺跡では、深さ2.4メートルの大型竪穴建物や、クジラの骨なども出土。またすぐ近くの垣ノ島遺跡からは、世界最古の漆器が出土するなど、バラエティに富んだ縄文時代の史料を楽しむことができます。
いかがでしたでしょうか。周遊でも一ヶ所にじっくり滞在してもよし。各地の郷土料理や地酒に舌鼓を打ちながら、悠久の歴史に思いを馳せる、そんなこころ豊かな旅を楽しんでみてください。
- メインビジュアルは、北海道・北黄金貝塚(画像:縄文遺跡群世界遺産保存活用協議会)です。