<ジャクソン>シャンパーニュ キュヴェ N°740 【NV】
グラスを満たす淡い黄金色の世界から、キラキラとたちのぼる小さな気泡。シャンパンを口に含んだ瞬間、爽やかな刺激と豊潤な味わいが広がり、いつも特別な幸福感が喉を通り抜けていきます。
「シャンパン」は、上質なワインの産地として名高いフランスの中でも、シャンパーニュ地方で生産される発泡ワインだけが名乗ることを許されている呼称です。シャンパーニュ地方が位置するのは、パリから東へ列車で約1時間ほどのところ。夏のシーズンに高台へのぼってみれば、冷涼な風にさざめくぶどう畑と、そこに点在する史跡やシャンパンの醸造所などが描く絵画のような風景に、心奪われることでしょう。その美しさから、「シャンパーニュの丘陵、メゾンとカーヴ」は、世界遺産にも登録されています。
「ジャクソン」は、そうした地域にある1798年創業の老舗ワイナリー。フランスで最も権威のある評価誌「Le Guide des meilleurs vins de France」(レ・メイユール・ヴァン・ド・フランス)から、最高峰の3つ星を与えられている名門です。
「キュヴェ700#」シリーズは、そんなジャクソンを象徴するラインの一つ。中でも「キュヴェ N°740 【NV】」は、記録的な寒気が類まれなる素晴らしいぶどうを実らせ、愛好家垂涎のグレート・ヴィンテージとしてシャンパン史に輝く2012年の逸品なのです。感動的なその美味しさは、ANA国際線ファーストクラス・ビジネスクラスの提供ワインとして、約2,300銘柄から選ばれた実績でも察していただけることでしょう。
【STORY】ナポレオンも愛した革命の旗手
伝統を重んじるシャンパンの世界で、老舗としての歴史を誇るジャクソンですが、実は革命的なワイナリーとしても知られています。たとえば、今ではお馴染みのシャンパン・コルク栓の留め金具「ミュズレ」を発明したのも、糖分濃度の測定法を開発したのもジャクソンです。
そうした改革を厭わない志に共鳴するところがあったのでしょうか。そのシャンパンは、かの皇帝ナポレオンⅠ世にも寵愛され、ルーブル宮殿で行われた皇帝自身の結婚式でも振る舞われました。皇帝から授かった最高栄誉の証「メダイユ・ドール(金メダル)」は、ナポレオンのシンボルである鷹や王冠とともに、今もジャクソンの紋章として輝いています。
「キュヴェ700#」シリーズもまた、ジャクソンの改革精神が生み出したシャンパンです。味の画一化が重要視されるシャンパンの生産に、その収穫年にしか味わえない個性も大事という概念を持ち込み、生まれた製品なのです。創業100年を記念する1898年に作られた「1番」のワインから数えて728番目の年に当たる2000年に、初めて生産されました。
【Fromソムリエ】特別な日にふさわしいとっておきの1本
皆様、お待たせいたしました。それではいよいよ、ANAのテイスティングルームへご案内いたしましょう。ガイド役を務めるのは、ANAショッピング「A-style」ワインアドバイザーの佐藤ソムリエです。
「重厚でクラシックな印象があり、特別な日に開けるとっておきとしてふさわしい1本です。熟成を感じさせる濃い目のゴールドと、溶け込んだ感があるきめ細かい泡が印象的です。弱めの渋みとともに、豊富な酸と心地よい苦みが感じられ、非常に長い余韻を愉しむことができます。
2017年にリリースされてから4年経っている為、フレッシュな状態を抜けて、熟成に向かっています。泡も溶け込んで優しくなっていますので、キンキンに冷やして飲むというよりも、少し高めの温度、そしてフルートグラスよりも白ワイン用のグラスで、香りまでお楽しみいただきたいシャンパンです。
具体的には、冷蔵庫から出してすぐの冷えた状態で、アペリティフとして楽しみ、その後はクーラーに入れず、メインディッシュに向けて徐々に温度を上げていくといった愉しみ方が素敵です。オマール海老のフリカッセやグリル、鶏胸肉のフリカッセやグリルなどとのマリーアージュ、また意外なところでは、寄せ鍋、パエリア、北京ダック、とんかつといった料理にもおすすめします。しかし、格式のあるフレンチで、コースの前菜からメインまで通すといった味わい方も粋ですね。(佐藤)」
特別な日にふさわしいこのシャンパン、伝統と改革のストーリーを添えて、開業やお引越し、ご結婚など、大切な方の旅立ちに贈るのも素敵です。
- ソムリエ・プロフィール
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- A-style ワインアドバイザー 佐藤雄介ソムリエ
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都内の星付きフレンチ、ラグジュアリーホテルで経験を積み、2017年にANAインターコンチネンタルホテル東京のシェフソムリエ就任。(社)日本ソムリエ協会認定ソムリエ・エクセレンス。