<テーラ・テール>クレイエール・ヴィンヤード ソーヴィニヨン・ブラン【2019】
原料であるぶどうの種類や醸造法によって、銘柄ごとに個性があふれる白ワイン。スッキリとした味わいが、さまざまな料理とのマリアージュを可能にすることから、ワイン初心者にも人気がありますよね。
今回ご紹介するワイン「クレイエール・ヴィンヤード ソーヴィニヨン・ブラン【2019】」は、ワインの産地として世界的に有名な南オーストラリア州ラットンバリー生まれ。このエリアのぶどう8割が赤ワイン用品種のなか、白ワイン用品種のソーヴィニヨン・ブランで仕込まれました。
ソーヴィニヨン・ブラン独特の爽やかさと、樽材で使われるフレンチオークの香りが醸し出す、得もいわれぬ味わいが特徴の逸品です。
このワインは、世界14ヶ国のワイナリー1,600銘柄からからエントリーされたANAワインセレクションにおいて、各国のエグゼクティブが利用する国際線ファーストクラスサービスワインに2019年から採用されています。
【STORY】ワインに秘められた、この地に賭けた夫婦の「自分史」
このワインの産地ラットンバリーは、約100万年前に海が後退して出現した標高75~100メートルの丘陵地帯。世界自然遺産に登録されたナラコート洞窟をはじめ、石灰岩層の洞窟が26以上も地中に走る特徴的な土地です。
2,600ヘクタール、実に東京ドーム51個分という超広大なエリアは、石灰岩層に有機土が堆積した水はけのよい地層。降水量が少ないうえに日照時間も長く、寒暖差も大きいといったぶどう栽培には最高の環境です。初めてのぶどうの植栽は1969年と、ワインづくりでは歴史の浅い場所にもかかわらず、大小ふくめ20のワイナリーから受賞歴をもつワインが多数誕生しています。
この「クレイエール・ヴィンヤード ソーヴィニヨン・ブラン」は、そのなかでも、ザビエルとルーシーという夫婦がたったふたりだけで営む小さな小さなワイナリー「テーラ・テール」のフラッグシップワインです。
ワイナリー名の「テーラ・テール」は、Down to Earth(地面に根ざした)という意味のフランス語。
互いにワイン農家の家に生まれ育ったふたりは、結婚した2003年にこの地でぶどう園を開きワイン醸造に邁進してきました。
赤ワインが有名なこの地では珍しいソーヴィニヨン・ブランへのチャレンジは、ブティックワイナリーにとっては大きな賭けだったと思われます。
しかしテロワール(ぶどう畑をとりまく自然環境)にこだわり抜いてこの地を選んだふたりは、果敢にそのチャレンジに挑みました。
そのぶどうの育て方からして、驚くことばかりです。2ヘクタール、サッカーコート3面弱もの畑に1.5メートル間隔で植栽されたぶどうを間伐したり、下に生える雑草を手入れしたりするのはほぼ手作業という手のかけ方に、世界最高級クラスのワインを生みだそうとするふたりの情熱が感じられます。
そして2008年、5年の歳月のすえ、ついに彼ら夫婦が完成した最初の作品がこの「クレイエール・ヴィンヤード ソーヴィニヨン・ブラン」でした。
この地に人生を捧げることを決めたふたりにとって、このワインはいのちを注ぎ込んだすえに生まれた、我が子も同然の逸品なのです。
【Fromソムリエ】
皆様、お待たせいたしました。それではいよいよ、テイスティングの時間です。ガイド役を務めるのは、ANAショッピング「A-style」ワインアドバイザーの佐藤ソムリエです。
「透き通るような淡いイエローの外観から、フレッシュで爽やかな印象を感じます。アタック自体は柔らかく、中盤から豊かな果実味と酸味が口のなかにフワッと広がり、飲んだあとには豊富な酸味と心地よい苦味が余韻として加わります。このフレッシュな酸味をいかに楽しむかがポイントですね。
シチュエーションとしては、よく晴れた日にテラスでのブランチで、軽めのお料理とのマリアージュを楽しまれるのがよいのではないでしょうか。
例えば川魚の塩焼き、セビーチェ、おろしポン酢の豚冷しゃぶ、レモンを絞った生牡蠣や鮮魚のカルパッチョなどがよく合うと思います。
この他にも、少し炭酸を加えてスプリッツァーとしても美味しくいただけるので、ぜひ試してみてください。(佐藤)」
テーラ・テールのソーヴィニヨン・ブランは、オーストラリアの著名なワイン評論家、ジェームス・ハリデーによる2021年のアワードを受賞しました。ワインを品種ごとにランクづけし、注目の生産者を発表する権威ある賞です。夫婦の愛と情熱が育てた確かな味を、食卓でお愉しみください。
- ソムリエ・プロフィール
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- A-style ワインアドバイザー 佐藤雄介ソムリエ
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都内の星付きフレンチ、ラグジュアリーホテルで経験を積み、2017年にANAインターコンチネンタルホテル東京のシェフソムリエ就任。(社)日本ソムリエ協会認定ソムリエ・エクセレンス。