類まれな生物多様性の島々
各国で失われている貴重な自然を国際協力で残そうと、1972年のユネスコ総会で制定された世界自然遺産。
今回登録された奄美・徳之島・沖縄島北部および西表島の4エリアは、10の登録基準のうち、その類まれな生物多様性が認められました。固定種や絶滅危惧種といわれる希少な動植物の生息地でもあります。
この世界でも稀な生態系が保たれた理由には諸説ありますが、数百万年という長い年月のなか、海流や地殻変動によって、島どうしが分離結合を繰り返したためという説が有力です。
この4エリアは、まとまって世界自然遺産としての価値を認められたのですが、その中から奄美大島と西表島をピックアップ。希少で豊かな自然をゆったりと楽しむ旅のスタイルをご提案します。
オンリーワン「ジュラシック・パーク」:奄美大島
鹿児島県と沖縄本島のほぼ中間にあり、東京23区を超える大きさの奄美大島。
その広大な面積には、マングローブをはじめ、3億年以上前に出現し、生きた化石とよばれるヒカゲヘゴ、「ジャックと豆の木」のモデルといわれる巨大なマメ科の植物モダマなどが生い茂る原生林が広がり、そのなかで現在、奄美大島と徳之島にしか生息していないアマミノクロウサギや、天然記念物の鳥ルリカケスなどが命を謳歌しています。
このようにこの島独自の動植物が多数生息する奄美大島は、さながらリアルにして唯一の「ジュラシック・パーク」のようです。
その原生林を楽しむなら、カヌーでのジャングルクルーズがベストです。両側から覆いかぶさるように生えるマングローブが鏡のように映る水路のトンネルは、その幻想的な美しさにカヌーを漕ぐ手が思わずとまるほどです。木の根元でソロソロ歩く片手だけが大きなカニ、シオマネキの姿に癒されていると、森から「ギャーギャー」という声が。驚き見上げると、鮮やかな蒼の身体をもつルリカケスの姿が見え、改めて奄美の大自然を実感。ぜひクルーズの前に、奄美の名を世界に知らしめたこれら動植物たちのチェックをおススメします。
また、アマミブルーと呼ばれる紺青の海でのダイビングやシュノーケリングが最高なのは言わずもがな。ここでは熱帯魚やウミガメとのランデブーは日常茶飯事なのですから。
滝とジャングル、鍾乳洞とサンゴ礁の楽園:西表島
もう一つは沖縄八重山諸島の西表島。奄美大島とくらべ5分の1の大きさにも関わらず、日本最大のマングローブ原生林があり、面積の9割がジャングルという、秘境度満点の島です。また有名な絶滅危惧種であるイリオモテオオヤマネコをはじめ、こちらも希少性のある生態系が残されています。
西表島に行ったら必ず訪れたいのは滝と鍾乳洞。落差55メートル、沖縄県下最大のピナイサーラの滝をはじめ、大小あわせ島内100以上もある滝へのクルーズは迫力満点です。
または太古の自然のまま島内に3つある鍾乳洞で、ケイビング(洞窟)ツアーにチャレンジするのも素晴らしい体験です。
ジャングルの奥にある入り口は真っ暗でちょっと怖いのですが、上からツララのような鍾乳石がビッシリ連なる、ひんやりとして神秘的な洞窟を進むうち、だんだんと探検家の気分に。洞窟を出たときには、爽快な達成感とともに、他の洞窟も訪れてみたい気持ちに包まれます。
もちろん、サンゴ礁が広がる海のアクティビティだってバッチリ。シュノーケリングやダイビングで、沖縄随一といわれる海の美しさもしっかり味わいたいですね。
4月から10月ごろまで海で泳げるほど温暖な二島なので、混雑するハイシーズンではなくてもこのような旅を楽しめます。快適なホテルステイで、地元グルメも満喫しながら、大自然のエネルギーを存分に味わってみてください。