晩夏から初秋が好機
日本最大の湖である琵琶湖は、淡水魚の多さでも知られる釣りの人気フィールドです。タナゴの仲間も複数の種類が棲息しており、なかでも琵琶湖ならではのタナゴの1つに、日本産のタナゴの中でも最も大きくなるカネヒラがいます。
琵琶湖のカネヒラは一年の多くを本湖で過ごしていますが、秋のペアリング・産卵期を前に、夏頃から本湖の中でも岸寄りの浅瀬にある石積みになった護岸の周り、さらに本湖に注ぐ流入河川や水田の水路に移動してきます。その時期はだいたい7月から9月くらい。この時が釣りで出会えるチャンスで、その後、ペアリング・産卵を終えるとまた本湖に戻っていきます。
足を使って「ヒラ打ち」を探す
カネヒラ釣りの基本は、魚の姿を見つけてから狙う「サイトフィッシング」です。本湖にある石積み護岸や、本湖につながる流入河川や水路をこまめに見て回り、「そこにカネヒラがいるか」をまず確認します。本湖でも水路でも、魚の気配が全く感じられない場所でサオを出してもなかなか釣れません。
カネヒラはまず本湖の石積み護岸周辺などに集まり(特に日当たりがよく藻が生えるような場所)、その後、流入河川や水路に遡上していきます。ですので、シーズンの前半であれば本湖を重点的に、シーズンの後半であれば流入河川や水路を重点的に探すのがコツです。
そしてこの時、魚を見つけるヒントになるのが「ヒラ打ち」です。カネヒラの成魚はオオカナダモ等の水草を食べます。その際、平たい体を横に倒しては起こすような動きをするため、外から見ていると水底がギラギラと明滅します。本湖でも水路でも、あちこちの水辺を見て回って、このヒラ打ちが見えたら迷わずサオを出してみます。
使用する仕掛けとエサ
サオは2.7~3.6m(9~12尺)の振り出しザオを使います。仕掛けは自作もおすすめですが、市販されているタナゴ釣り用のウキ釣り仕掛けで大丈夫です。注意したいのはエサで、カネヒラ釣りでは水路など流れのある場所を釣ることも多いため、水に溶けてしまう練りエサは使えません。その代わりに釣具店で購入できるアカムシを使います。カネヒラは食欲旺盛なので、魚がいる場所に上手くアカムシを流せれば活発に食い付いてきます。
ヒラ打ちしながら移動するカネヒラを見つけたら、不用意に魚を脅かさないようにそっと近づきます。ウキの位置は本湖なら水深に合わせましょう。水路を釣る場合は水深より少し深くして、エサが川底に触れながら流れるようにします。いずれの場合もカネヒラがエサをくわえたところでウキがスッと沈みます。こうなったらサオを上げるだけ。大型タナゴならではのブルブルッという心地よい手応えを楽しみます。
写真に収めて元気にリリース
カネヒラはアタリと魚の美しさを楽しんだら、元気なまま流れに戻してあげてください。タナゴは種類を問わず、淡水の二枚貝に産卵する習性を持っています。近年は長年にわたる水田自体の減少や、農薬の使用、圃場整備と呼ばれる水路のコンクリート化などの影響により、水田の周りの二枚貝が大きく減ってしまいました。それにともなってタナゴの仲間も各地で減少傾向にあります。その中で琵琶湖のカネヒラは比較的数も多くいる状況ですが、元気なまま流れに帰してやることで将来も釣りが楽しめます。
釣れた魚はひとまず足もとのバケツに入れて生かしておき、その釣り場をひと通り釣ったところで、移動する前に元いた場所に戻します。その間、魚に触れる時はあらかじめ水でよく手を濡らし、乾いた手で強く掴むのは避けるようにしましょう。記念写真を撮るのに便利なのは釣具店で売られている小魚観察用の小型水槽です。メモリが付いたものなら釣った魚の体長もわかるので一石二鳥。オスとメスの体色の違いもよくわかり、オスの婚姻色の鮮やかさにはきっと驚くはずです。
- 釣り情報
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アクセス・マナー:大阪国際(伊丹)空港などから車を利用。湖北・湖西エリアへは北陸自動車道・長浜ICや木之本ICからアクセスする。駐車は十分な空きスペースのある場所に行うこと。
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近隣の釣具店:上州屋栗東店
- 記載の内容は2021年8月現在の情報です。変更となる場合があるのでご注意ください。