身近なハゼで釣り入門
「釣りはフナに始まりフナに終わる」という言葉があります。昔は身近な川に多くのフナ(マブナ)がいたためですが、現在は「ハゼに始まりハゼに終わる」のほうがしっくり来る地域も多いかもしれません。ここでいうハゼは「マハゼ」を指します。海に近い河川の汽水域(海水と淡水が入り混じる場所)を好み、春先に生まれてすくすくと育ちます。秋はその年に生まれたハゼが大きく育っている季節で、大きいもので15cmほどに成ります。
今回紹介するハゼ釣り場は、静岡県焼津市を流れる木屋川です。焼津小川港に流れ込む木屋川は、上流部まで海水が混ざり合う汽水域になっています。木屋川は周囲の他の河川と比べてもハゼの数が多く、サイズも一回り大きい点が魅力。それでいて釣り人は多くありません。
岸は多くの場所で階段状の護岸になっていて、家族で楽しむファミリーフィッシングにもうってつけです。川底は砂泥質で水深は1~2mほど。このあと紹介するシンプルな振り出しザオを使った釣りがしやすい条件を備えています。周囲は長閑な雰囲気が漂い、どこか懐かしい感覚で釣りが楽しめます。
サオは振り出しザオを用意
釣り方は4~5mの振り出しザオを用いるミャク釣りです。振り出しザオは、軽量で一定の張り(硬さ)があるカーボン製のものを使います。ひとまずやってみるならどんなタイプのサオでも釣りはできますが、ハゼ本来の繊細な釣趣を堪能するには、高感度のハエザオ(オイカワ釣り用の振り出しザオ)や渓流ザオ(渓流釣り用のサオ)がおすすめです。釣具店のスタッフに相談すればおすすめの1本を選んでくれます。
ミャク釣りの仕掛けとエサ
仕掛けは自作します。基本的なレイアウトは、サオと同じ長さのミチイト(色が付いて見やすい磯釣り用のナイロンライン2号など)を張ったら、その先にヨリモドシ付きの自動ハリス止メを結び、ハリス止メにハリス付きのハゼバリをセットするというシンプルなものです。ヨリモドシの上はオモリとなる3B程度のガン玉を1~2個取り付け、ハリスはアタリが出やすいように10~20cmの長さにカットして使います。なお、ミチイトの上部(サオ先の近く)には、渓流釣りやアユ釣り用の化繊の目印を結んでおくと目でもアタリが取りやすくなります。また、木屋川でよくハゼを釣る人たちは、ヨリモドシの上に派手なビーズも取り付けています。これは好奇心が強いとされるハゼが輝くビーズに近づいてくる性質を持っているためで、特に周囲が薄暗い時や潮が濁っている時は効果があります。ビーズ類もイトやハリと同様に釣具店で買うことができます。
エサはイシゴカイかアオイソメを使います。通常はイシゴカイ(ジャリメと呼ぶ地域もあります)がよく、雨が降って川に濁りが入った時はアオイソメ(ただしハゼが釣れやすい細めのもの)が有効です。イシゴカイは丸々1匹をハリにチョン掛けにします。ハゼ釣りの場合、エサのボリュームは大きいほうが大きなハゼが釣れる傾向があります。ハゼは口が大きくて吸い込む力も強いので、エサを大きめに付けても問題ありません。少しでも目立たせたほうがアタリが増えます。