北海道のなかでも稲作が盛んな上川地区
北海道は新潟県に次いでお米の収穫量が多い米どころ。そんな北海道でも稲作が盛んなエリアとして知られるのが、北海道のほぼ中央部に位置する上川地区です。
旭川空港を空の玄関口にもつ上川地区。北海道最高峰の旭岳を擁する大雪山系や富良野、美瑛など観光地として人気のエリアですが、農業も盛ん。特にお米は作付面積・収穫量ともに全道2位の規模を誇ります。大雪山系から日本海に注ぐ石狩川水系に沿った内陸盆地という環境は、水が豊富で夏は比較的温暖なため、お米作りに適しているそうです。
寒冷な気候に適した品種の改良に長い時間がかかった北海道の稲作。かつてはその味から「やっかいどう米」などと揶揄されていました。しかし最近では、日本穀物検定協会が行う「米の食味ランキング」で最高レベルの特Aを獲得するお米も増えてきています。なかでも、これまでの北海道米を越える美味しさで注目度が上がっているのが、1997年から開発がスタートした「ゆめぴりか」です。
ANAショッピングA-styleでは全国各地の美味しいお米を扱っていますが、2020年の新米シーズンから上川地区で収穫された「ゆめぴりか」の販売が始まりました。その背景がちょっとユニークだったということで、仕入を担当したANAフーズ株式会社(以下、ANAフーズ)の中村さんと坂本さんに話をうかがいました。
ANAの目利きも品評会に参加
「上川地区では北海道のなかでもお米作りが盛んで、地域の農家さんもみんなで盛り上がって美味しいお米を作っているという話を聞いていたので、注目はしていました。そんな折、上川地区「ゆめぴりかコンテスト」の審査員として参加しないかと、私たちANAフーズのバイヤーに声をかけていただいたのが、そもそものきっかけです(中村さん)」
「ゆめぴりか」は上川地区を含め北海道の7つの地区で生産されてますが、そのなかで最も美味しいお米を選出する「ゆめぴりかコンテスト」が2015年から毎年行われています。中村さんと坂本さんが審査員として参加したのは、全道の「ゆめぴりかコンテスト」に送り出すための上川地区の代表を選ぶ、いわば地区予選。
「「ゆめぴりかコンテスト」の参加単位は、それぞれの地域のJAとなります。上川地区には13のJAがありますが、内1JAはもち米のみの作付けとなっているため、私たちは12種類の「ゆめぴりか」を食べ比べて審査しました」と中村さん。
初めて審査に参加した2020年の上川地区の「ゆめぴりかコンテスト」は、コロナ禍の影響もあり、東京と上川地区の2会場で開催。東京会場では、中村さんと坂本さん含む5人がジャッジ。厳正な審査を行うため、12種類のお米はそれぞれ同じタイプの炊飯器を使い、同じタイミングでスイッチを押すなど、限りなく同条件で炊飯されます。もちろん、どのお米がどのJAのものかわからないブラインドテストで、ひとつのお皿には隣り合うJAのお米を盛らないという徹底ぶり。
「審査項目は、見た目、香り、味、ねばり、そして硬さの5つ。それを基準にどれが相対的に良かったか、点数を入れていくルールです。硬さだけでも好みが分かれてしまうので、できる限り炊飯の条件を揃えることが大事になってきます。しかし12台の炊飯器を一度に稼働するとブレーカーが落ちてしまうため、なんとフロアを変えて12台の炊飯タイミングを揃えていました(坂本さん)」
上川地区ナンバーワンの新米を今年も販売
日本一美味しいお米を目指し、上川農業試験場にて品種改良に10年の歳月を費やした上川生まれの品種「ゆめぴりか」。2009年に全国デビューを果たしてからも、「ゆめぴりか」本来の美味しさを守るために、種子更新率100%やタンパク含有率など統一の取り組みを定めるなど、生産者やJAが一丸となって品質管理と栽培技術の向上に研究を重ねているそうです。しかも、上川地区という比較的近しい環境で育ったお米ということで「いずれかの甘さが際立っていたり、艶が良かったりといった、明確な差はなく、いずれも甲乙付けがたく美味しかったのですが、結果的に東京会場では2ヶ所のJAに点数が集約されたのが印象的でした」と中村さんは振り返ります。
こうして東京会場でトップとなったお米は、残念ながら僅差で上川地区の代表には選ばれなかったものの、自ら審査に参加したということもあり、中村さんも坂本さんも、代表に選ばれたお米のクオリティには絶大な自信を持っていると言います。「代表に選ばれたお米を家族で食べましたが、炊き上げて炊飯器の蓋を開けたときの艶や、冷めても味がしっかりしていて、もちもち感も残っていたり、他の品種とは全然違うという印象は家族で満場一致でした。このお米が、厳しい審査の課せられた品評会を経て、12ものJAが出揃う激戦区上川の代表に選ばれたのも十分納得です(坂本さん)」
A-styleでは、今年も上川地区「ゆめぴりかコンテスト」を勝ち抜いた「ゆめぴりか」を販売します。もちろん、中村さんと坂本さんは今年行われる審査に参加予定(10月開催予定)。新米の発送は11月上旬からを予定しておりますが、予約の受付はすでにスタートしていますので、A-styleの目利きも唸らせる上川地区ナンバーワンのお米を試してみてはいかがでしょうか。
また、A-styleではそんな「ゆめぴりか」と一緒に食べたい全国各地のグルメも数多く取り扱っています。そのなかでも、とっておきのご飯のお供にぴったりな商品を目利きのお二人にうかがったところ、中村さんはウニやカニ、イクラなど5種類の具材が入った「海鮮どんぶりの具」を、坂本さんはANAの機内で提供されるスープを使った「〈ANAオリジナル〉機内スープを使ったANAとびっきりビーフカレー」をレコメンドしてくれました。