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    掲載日:2021.09.28

    【3日目】高知の豊かな食と自然を楽しむ、心満ちるオトナ旅

    山が育む四万十川の清流と、その清流でおいしく育つ農産物。そして、土佐湾沖を流れる黒潮がもたらしたカツオ一本釣りの文化。高知県には、これらをはじめとした豊かな食文化と自然が息づいています。そんな高知県の魅力を詰め込んだ2泊3日の旅をご紹介します。3日目は「歴史・文化」をテーマに巡りました。

    ガイドさんと巡る、歴史ある中土佐・久礼の町

    10年ほどガイドを担当する武政博さん。親父ギャグを交えながらガイドしてくれるおちゃめな一面も

    山を降り、やってきたのは中土佐町。県内で最も古い酒蔵が残る酒造や、新鮮な魚介が集まる「久礼大正町市場」をはじめとした観光スポットが点在しています。いずれも徒歩圏内にあるため、久礼を巡るのにぴったりな「久礼のまち歩きガイド」に参加。久礼を知り尽くした武政博さんがガイドしてくれました。武政さんは童話作家・詩人として活躍されていて、久礼の町を多くの人に紹介するための童話作品を連載されてきました。

    「全国に70ある重要文化的景観のうち、6件が高知県の登録。その6件全部が中土佐町がある奥四万十エリアと四万十・足摺エリアにあります。そうした、地域に根ざした文化遺産の魅力を県内外の人々に伝えたい」と武政さん。

    西岡酒造店。江戸時代の建物で、阪神から運ばれた材木で建てられたという

    まずやってきたのは中土佐町にある酒造メーカーの「西岡酒造店」。久礼のメインストリートである本町商店街沿いにあり、昭和21年の南海地震でもびくともしなかったという、歴史ある建物が目印です。

    徳利には「雪柳」の文字も

    創業したのは江戸時代の天明元年(1781年)。大飢饉が起きた時代でもありました。銘柄「雪柳」は創業当時からつくり続けられているお酒です。

    「一本釣り」は漫画のタイトルから、「純平」は漫画の主人公の名前からつけられた

    現在、人気の銘柄は「一本釣り」「純平」「久礼」など。いずれも四万十川の源流水で仕込まれたこだわりのお酒です。このうち、「一本釣り」と「純平」は久礼の漁師町を舞台にした漫画『土佐の一本釣り』が由来。漫画家・青柳裕介さんが「ビックコミック」で16年間連載した物語で、これをきっかけに久礼は全国的に名が知られることになりました。

    青柳さんの原画で、久礼の結婚式やお祭りの様子が描かれている。店内には他にも貴重な資料が並ぶ

    店内には青柳さんの原画も飾られています。漫画制作のために久礼を取材する中で、地域の人々との交流もあったそう。ちなみに、青柳さんの作品『六尺ふんどし』は、ガイドの武政さんがモデルの作品なのだとか。

    西岡酒造店では、久礼のお土産にぴったりの歴史ある日本酒を購入できたほか、この町がいかに多くの人々に愛されてきたのかを知ることもできました。

    市場の歴史は明治中期に遡る。歩いて5分の海で獲れる新鮮な魚介が集まる

    武政さんの案内で西岡酒造店から歩いて5分、「久礼大正町市場」に到着しました。市場内には鮮魚店のほか飲食店やお土産店、惣菜店、青果店が入っており、漁師のおかみさんが開く魚の露天もあります。さらに、市場に面する通り沿いはバーや菓子店、酒屋なども立ち並ぶ賑やかな一帯です。

    「久礼大正町市場」のある通り
    田中鮮魚店の代表・田中隆博さん。着ているTシャツからもカツオ愛があふれる

    久礼では400年以上、カツオの一本釣り漁が行われてきました。そんなカツオひと筋の久礼の漁師さんたちは、カツオの味を1尾ごとに見極め、それぞれを一番おいしく食べるための技術を持っているのだとか。市場内に鮮魚店を構える田中隆博さんが語ってくれました。

    「ここは小さな漁村で、自分たちの生活のために釣る魚のほかに、プラスアルファで釣れた魚を売っています。昔から、自分たち自身がおいしいものを食べたいから釣りに行くという生活スタイル。3カ月くらいカツオしか獲れない時期もあるから、久礼の漁師はカツオをおいしく食べる技術を磨いてきたんです。その技術は日本トップクラスだと思いますね」

    日本トップクラスの、カツオをおいしく食べる技術にあやかることができるのが久礼大正町市場なのです。

    店内では飲食も可能

    もう1軒の鮮魚店「山本鮮魚店」に立ち寄ってみると、店頭には鮮度バツグンでなんともおいしそうなカツオがずらりと並んでいました。

    生のカツオが並ぶ。新鮮なカツオを店主自ら焼いた藁焼きもおすすめ
    朝どれのカツオを1尾丸ごと販売
    市場の入口すぐに山本鮮魚店があり、向かいに市場唯一の青果店「松沢青果店」が店を構える

    せっかく高知を訪れるなら、ぜひ漁師さん自慢のカツオ料理を食べに久礼大正町市場を訪れてみてはいかがでしょうか。

    市場から徒歩3分の「ふるさと海岸」。海上に2つ突き出て見えるのは観音様と弁天様を祀る双名島
    ふるさと海岸の向かいに建つ「久礼八幡宮」。拝殿にはカツオのたたきの絵馬が

    市場から海岸沿い、「久礼八幡宮」を巡り、ここで久礼の町歩きガイドは終了。ガイドの武政さんを始め、久礼の人々は気さくで親切な人ばかり。またこの町を訪れたいと思わせてくれます。ツアーを通し、この小さな漁村に魅力的な食や文化がたくさん詰まっていることを知ることができました。

    久礼町歩きツアー

    TEL:088-823-1434(高知県観光コンベンション協会)

    西岡酒造店

    住所:高知県高岡郡中土佐町久礼6154
    TEL:0889-52-2018
    営業時間:9:00〜16:00/不定休
    ウェブサイト:西岡酒造店

    久礼大正町市場

    住所:高知県高岡郡中土佐町久礼6370-2
    TEL:0889-59-1369
    営業時間:店舗により異なる ※概ね10:00〜(食堂は14:00、14:30L.O.)
    ウェブサイト:久礼大正町市場

    ふるさと海岸

    住所:高知県高岡郡中土佐町久礼

    久礼八幡宮

    住所:高知県高岡郡中土佐町久礼6515
    TEL:0889-52-2408

    「高知の豊かな食と自然を楽しむ、心満ちるオトナ旅」1日目、2日目の旅もご覧ください

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