初めてでも魚に出会える環境
河川の釣りの対象魚でも、世界各地で人気が高いのがトラウト(鱒類)です。ニジマスはその一種ですが、北海道の川や湖では特に大きく育ち、本州など他の地域のトラウトファンにとっても憧れとなっています。理由はニジマスの原産地である北米大陸の自然環境に、北海道がより近いためと考えられていますが、今では海外の釣り人も「北海道のニジマスはコンディションが素晴らしい」と驚くほどになっています。
ただ、北海道の多くの川には、釣り場を管理する内水面漁協がありません。そのため、現地の釣り人でないと川の状況が分かりづらかったり、魚の数も安定しにくいといった課題があります。しかし、道東の阿寒エリアを流れる阿寒川は、隣接する阿寒湖と合わせて阿寒湖漁協が管轄していて、川の周囲には看板や入川路などが整備されています。
阿寒川でニジマス釣りができるのは毎年5月1日~10月31日です。釣り場の上流部にあたる阿寒湖流出口~雄観橋下流端の区間は、2007年から「キャッチ&リリース(釣った魚を再放流する)」がルールになっていて、釣りはリリースを前提としたルアーフィッシング、フライフィッシング、テンカラのみで楽しめます。一方、下流部の雄観橋下流端~ピリカネップ取水口の区間はエサ釣りもできます。こうした取り組みにより、阿寒川は北海道でも屈指の、ニジマスの魚影が安定している川になりました。
北海道らしい原生の森を流れる川
川の周囲には、人の手が入っていない原始の森が今も残り、自然の状態のままに蛇行する流れにはバイカモがゆらめきます。苔が生えた倒木や岩盤が随所に見られ、釣りをしながら川を遡ると、「次はどんなポイントが現われるのだろう?」と期待に胸が膨らみます。
周囲の森が豊かなため、よほどの大雨でない限り川の水量も安定しています。ほかの河川が全く釣りにならない時も「阿寒川なら大丈夫」ということがよくあり、こうした特徴も遠方から限られた期間で訪れる釣りファンにうれしい要素になっています。