もうひとつの超高層ビル、平安国際金融センター
深圳国際空港に到着したら、きっと早々に”AI都市・深圳”を実感することになりそうです。すでに数年前からキャッシュレス化が進んでいる深圳。地下鉄の乗り降りがIC中心になっているだけでなく、街中にも、店員が存在しない無人店や顔認証決済のお店が登場するなど、現金を持ち歩かないライフスタイルが主流になってきました。市街を散策しながら、日本との違いを実感してみましょう。
近未来感に驚くのはまだこれから。地下鉄に乗って「购物公园(こうぶつこうえん)」駅で降りたら、世界で4番目という超高層ビル「平安国際金融センター」が見えてきます。
平安国際金融センタービルは、100階建ての「京基100」を上回る高層ビル。なんと地上115階建て、高さは660メートルというから驚きです。中国の大手保険会社の本社がある他、世界有数の企業のオフィスや展望台、VR体験、ショッピングなど、深圳に来たら見逃せない観光スポットになりました。
まずは地上で1階から見上げてみて、頭上に迫り来る巨大さを体感してから入るのがおすすめ。100階の展望台まで約1分で到着する超高速エレベーターも人気のひとつです。地上550メートルの展望台からは、周囲に山脈を携えたまま中央部に広がるビル群のランドスケープ。東京スカイツリーの天望回廊が地上450メートルですので、そこからさらに100メートル地上に上がった景色を眺めることができます。
平安国際金融センタービルがある福田区では、週末に音楽とイルミネーションの演出が行われることもありますので、旅の思い出にぜひチェックしてみてください。
実は熱帯気候帯。広大な自然を身近にする仙湖植物園
元々は漁村だった深圳が開発され始めた際、市内にある梧桐山(ごとうざん)麓に作られたのが仙湖植物園。通称、フェアリーレイク植物園です。地下鉄2号線の新駅「仙湖路」駅に隣接した場所にあり、668ヘクタール(約7平方km)という広大な敷地の中に山、丘、湖といった自然の流線がそのまま活かされて、時間をかけて出来上がった水と緑の楽園のような場所。植物の科学研究という目的もあるためしっかりと管理されており、中には毛沢東が植樹した木なども見ることができます。
自然の姿のまま残された敷地内は、どんどん近代的に発展する周辺とは真逆の顔を見せており、生き馬の目を抜くようなビジネスシティのオアシスのような存在です。
園内は専用シャトルバスで移動ができる他、いくつかのトレイルコースも紹介されているので、体力と時間を見極めて、旅先で一汗かくのはいかがでしょうか。
何度も行きたくなる飲茶「香宮」
深圳の勢いに圧倒されたら、地元の味でエネルギーチャージしましょう。発展にともなって各地から人が集まる深圳では、本格派からB級グルメまで中国各地の多様な料理が楽しめます。中でもぜひ味わいたのは飲茶。深圳は広東省に位置していることもあり、今は世界中で愛される広東発の食文化、飲茶もとてもおいしいのです。
たとえば、深圳の駅を出たら左に見えるシャングリラホテル、2階レストランフロアの「香宮(シャングウ)」。香港などにも支店をもつ飲茶の老舗です。中国らしい鮮やかな色彩や、丁寧で細やかな盛り付けなど、目で見ても楽しい料理の数々を堪能しましょう。
高級な雰囲気ですが比較的リーズナブルなのも嬉しいところ。朝には飲茶のオーダービュッフェもあり、宿泊者以外にも人気です。
歴史と大きさが圧倒的なスケールの中国の旅において、香港との橋渡し的存在でもある深圳は、どことなくコスモポリタンの雰囲気も感じるかもしれません。とどまることを知らない進化の速さと同時に、人間の多様性を体現している街。周囲の勢いに乗って、五感で満喫する旅が叶います。
- 記載の内容は2022年5月現在のもので、変更となることがあります。