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    掲載日:2023.02.13

    東京ホテルステイを楽しむ:伝統と革新が生むここにしかない体験

    そのホテルにしかない「東京」を体験するために、ホテルステイをメインにプランすることも、東京らしい旅の形の一つと言えるのではないでしょうか。今回はホテルニューオータニと山の上ホテル、2つの老舗ホテルを例に、おすすめの過ごし方をご紹介します。

    「ホテルに滞在すること」がその旅の主役になる

    新宿副都心を望むレストラン「ベッラ・ヴィスタ」(ホテルニューオータニ)からの夜景

    歴史的建造物を受け継いだアットホームで居心地のよいホテルから、国内外より訪れるたくさんの方々を温かく包み込む大規模ホテルまで。数え切れないほどのラインアップの中からシンボリックな2つの場所を選びました。知らなかった東京と出会うために、今回はあえて宿泊を目的にした、ホテルにゆっくりと身を預ける旅はいかがでしょうか。

    包容力に身をゆだねる。世界からの賓客をもてなす「ホテルニューオータニ」

    「ホテルニューオータニ」の独特の形は、さまざまな東京の姿を望むことができる

    このホテルに憧れてやってくる海外からの友人たちを、今まで何度送り届けたでしょう。「ホテルニューオータニ」は1964年の東京オリンピックに際し、東洋一の規模を誇る国際ホテルとして誕生しました。多くの国際会議や歴史的な晩餐会の舞台に選ばれ、国内外の賓客を迎えてきたホテルは、噂が噂を呼んで世界中から宿泊客が集まるようになりました。
    接客マニュアルが非常に薄く、スタッフが宿泊客とともに積み上げた経験を宝のように受け継いでいることでも知られています。どんな過ごし方にも柔軟に応えてくれる、まさに器の大きなホテルなのです。

     

    毎年夏にオープンする「GARDEN POOL」。リピーターが多いため、季節ごとのイベントも積極的に展開している(写真提供:ホテルニューオータニ)

    まるで1つの街の中を歩いているかのよう

    ショップ、レストラン、庭園と景色が目まぐるしく変わる。ホテルの中にいることを忘れそう

    中庭の日本庭園を囲むようにザ・メイン棟ほか2棟の建物が連なっており、端から端まで歩くとかなりの距離があります。どのくらい大きいかというと、敷地内には4つのチャペルと1つの神殿があり、多い時で1日10数件の披露宴が開催されるとのこと。クラシックなコスチュームの従業員や海外からの宿泊客が見られるロビーには、さながら空港のような高揚感があります。約50あるショップの中にはブランドショップのほか、スイーツ店や書店、スーパーマーケットも。目を見張るのはフォトスポットとしても人気が高い日本庭園です。

    庭園では植物が吸収するのか喧騒は全く感じられず、心穏やかに過ごすことができる

    松や紅葉、桜など日本の樹木が揃う、隅々まで丁寧に手入れされた日本庭園には、創業者のコレクションである灯籠や置石が各所に配され、情景に抑揚があり見応えがあります。庭園の中央、太鼓橋のかかる池に泳ぐ約350匹のコイは、まさに動く宝石の貫禄。都会の隠れたパワースポットと囁かれているのは、思ったよりも大きな滝でした。

    高さ6mの大滝。400年以上の歴史を誇る1万坪の庭園は、形を変えつつも江戸の風情を残す

    細部に宿る、行き届いたおもてなし

    ヒノキ風呂からはベッド越しに窓が望める。温泉宿のように何度も入浴してみたい

    入室すると心地よいヒノキの香り。ヒノキ風呂付きの客室「新江戸デラックス」で気付くのはリビングのローテーブルに置かれた、風呂の入り方についてのリーフレットと湯船に浮かべるためのレモン。さらに風呂上りに飲むのに最適なオリジナルのハーブティーや日本酒も用意され、日本の風呂文化を快適に堪能できる細かい心づくしが伝わります。

    ヒノキの香りの邪魔をしないよう、無添加の石鹸が用意されている

    和モダンのテイストをふんだんに取り入れてデザインされたインテリアやファブリックは、ずっと触れていたくなる上質な素材。窓に向いたシンプルなワークテーブル、そしてウォークインクローゼットがあるのも買い物好きには嬉しい設計です。
    1,400室以上の客室には豊富なバリエーションがあり、ザ・メイン棟の6方向に向かう窓からはそれぞれに東京らしい表情が垣間見えるので、次はどの方角のどんな部屋にしようかと計画する楽しみもあります。

    老舗ホテルならではの食の歴史を味わう

    国産牛フィレ肉の炭火焼きやオマール海老のフライを堪能できる「ベッラ・ヴィスタ」

    ホテルニューオータニには37のレストランがあり、オリジナルとして育まれた店舗と、ホテルのブランドに共感し支店を出している店舗があります。メインダイニングの「ベッラ・ヴィスタ」では和食、フレンチ、イタリアンの伝統を取り入れ再構築した「新江戸洋食」を提供、日本各地の素材がふんだんに取り入れられています。また創業当時からザ・メイン棟最上階に君臨する円形のパノラマレストランは、ホテルニューオータニのアイデンティティともいえるビュッフェダイニングの「VIEW&DINING THE SKY」。そして1830年創業の日本料理「なだ万」本店、さらにフランス・パリで440年の歴史を持つ「トゥールダルジャン」の世界唯一の支店、「トゥールダルジャン 東京」などの名店も堂々と軒を連ねています。

    伝統を尊重しながらも進化を重ねるフレンチ「トゥールダルジャン 東京」(写真提供:ホテルニューオータニ)

    帰りを気にせずゆっくり飲むなら「バー カプリ」。フランスの画家ポール・アイズピリがこの店のために描いた大判の連作があり、カウンターに座るとまるで美術館にいるようです。ここには数々のコンペティションで秀逸な結果を収めたバーテンダーによる、いくつもの「ウィナーズカクテル」があり、選ぶのに悩むほど。もちろんすべてのレストランやバーは宿泊客でなくとも利用することができます。

    ゆったり座れる「バー カプリ」では夜にピアノの生演奏も。季節で変わるカクテルメニューも魅力的

    実は世界でSDGsがうたわれるはるか以前から、ホテルニューオータニではホテル全館から出た生ゴミを堆肥にして契約農家に提供するなど、環境に関する取り組みを始めていました。最初は前例がなく、農家のみなさんになかなか受け入れてもらえず苦労したとのこと。あきらめず説得したことが今につながっています。

    包容力に身をゆだねるなら「The Okura Tokyo」もおすすめ

    創業当時を忠実に再現したオークラ プレステージタワーのメインロビー(写真提供:The Okura Tokyo)

    ホテルニューオータニに先駆けて1962年に創業した「ホテルオークラ東京」。2019年に「The Okura Tokyo」として新たに開業。オークラ プレステージタワーのメインロビーを始めとする洗練された空間デザインが特徴の大型ホテルです。文化芸術の継承に尽力し、その一つである無料のロビーコンサートが好評。伝統と新しさが共存する空間は、どこを切り取っても美しく、飽きることのないホテルステイが堪能できます。

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