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    写真提供:鳥取たくみ工芸店

    掲載日:2023.03.10

    砂丘、民藝、グルメ、温泉。山陰・鳥取ならではを体験する旅

    鳥取と聞くと、多くの人が「鳥取砂丘」を思い描くでしょう。しかし、鳥取の魅力は美しい風景だけではありません。海や山の幸を繊細に組み合わせた食文化、自然と人の共生から誕生した「民藝」など鳥取ならではの魅力が存在します。鳥取のオリジナルを探す旅へ出かけましょう。

    自然と人の営みから生まれた美が残る街

    美しい町並みを残す鳥取市内
    写真:長谷裕太郎写真事務所

    日本列島本島の中国地方にある鳥取県。北には豊かな日本海、南には大山をはじめとする中国山地の山々が広がります。この自然と人の営みの近さが、古くから多様な手工芸を発達させてきました。

    明治時代、この地域の手工業製品に注目した人がいました。鳥取県出身の医師、吉田璋也(1898~1972年)です。彼は日本の暮らしが急激に西洋化し、生活習慣が急激に変わっていくことを憂いたのです。この気持ちは思想家の柳宗悦らの提唱した「民藝運動」と重なり合います。

    吉田璋也は医師をしながら、自らデザインした製品を地域の工人たちと作りました。陶芸、木工、金工、竹工、染織、和紙などの工人をプロデュースすることで鳥取の手工芸の地位を上げていったのです。それらの活動が礎となり、今も鳥取には民藝に触れることのできるスポットが数多くあります。

    今回は吉田璋也が愛した鳥取の美しさをテーマに、旅の魅力をお伝えします。

    吉田璋也が後世に残したかった風景に身を置く

    一度訪れると鳥取砂丘の迫力を体感できるはず

    豊かな日本海や中国地方の山々、鳥取は美しい自然の風景を見ることができます。生活や身の回りの自然を大切にする民藝の考え方は、自然保護活動にも広がりを見せました。みなさんがよく知る「鳥取砂丘」もそのひとつです。

    砂地面積は、約550ヘクタールで、なんと東京ドーム117個分もある観光可能な砂丘としては日本最大の砂丘です。しかし、かつてはただの「大きな砂地」扱いで、その自然の価値をほとんどの人が認めていませんでした。吉田璋也は植林開発されかけた砂丘の景観保護に尽力し、その後の天然記念物の指定につなげました。

    日本海から吹く風によって、毎日形を変える風紋が美しい鳥取砂丘。訪れるたびに新鮮な感動を味わうことができます。この美しさを今私たちが体験できるのは、鳥取の自然や工芸に魅了された吉田璋也がいたからかもしれません。

    山陰海岸国立公園鳥取砂丘ビジターセンター

    自然の美しさをアートを通して感じる

    自然豊かな大山山麓に位置する美術館
    写真提供:植田正治写真美術館

    鳥取砂丘をアート作品に昇華させた写真家がいます。写真界の巨匠・植田正治です。彼は生地である鳥取県を生涯離れず、鳥取から世界に向けて作品を発表し続けました。鳥取砂丘を背景として、被写体をまるでオブジェのように配置した写真群が有名です。

    シュールレアリズム絵画のような演劇的な演出でありながらも、どこかユーモラスな被写体たちが見る者の想像力をかき立てます。植田正治写真美術館では、鳥取を愛した写真家の人生を追体験することができます。一度作品に触れた人は、その感動を忘れることができないでしょう。鳥取砂丘とセットで、ぜひ訪れたいのがここ植田正治写真美術館です。

    植田正治写真美術館

    技術の継承によって守られた民藝の品々に触れる

    日本を代表する民藝専門店。旅の思い出と共に長く使いたい商品が並びます
    写真:長谷裕太郎写真事務所

    古くから工芸技術が盛んだった鳥取県。吉田璋也はこの地方の素材を用いて職人の伝統的技法を後世に残すため、新しい民藝品の生産に挑みました。職人の技術の継承には、継続した仕事が必要だったからです。鳥取に民藝を扱うお店が多いのも、その功績が大きいでしょう。

    中でも、昭和七年(1932年)に開店した「たくみ工芸店」は、日本で最初の民藝専門店。吉田璋也の作品など古いものから、現代の作家たちが作る新作民藝の品々まで取り扱っているので、現在進行形の民藝に触れることができ、もちろん購入も可能です。生活に寄り添った道具なので使いやすく、普段の生活にも取り入れやすいのも魅力です。

    鳥取たくみ工芸店

    人気料理を民藝の器とともに

    溶けるような触感の鳥取牛を楽しめる「牛肉すすぎ鍋」
    写真提供:たくみ割烹店

    鳥取県は海・山・里の豊かな自然環境に恵まれた場所で、農業や漁業、畜産も盛んです。特に和牛は江戸時代からその産地として知られ、今もさらなる品質を求め品種改良を続けている、日本を代表する和牛の産地です。

    鳥取で和牛を食べるなら、昭和37年(1962年)に吉田璋也が開店した「たくみ割烹店」をぜひ訪れてみてください。人気メニューの「牛肉のすすぎ鍋」は、第二次世界大戦中、軍医として中国に赴任していた吉田が「刷羊肉(シュワンヤンロウ)」という北京料理を参考に開発したもので、今のしゃぶしゃぶの原型とされています。民藝の器とともに、人気牛肉料理のオリジナルを味わうことができます。

    たくみ割烹店

    • 住所:鳥取県鳥取市栄町653
    • 電話:0857-26-6355

    山陰地方最古の温泉で旅を振り返る

    加温も加水もしない源泉かけ流しの湯は温泉愛好家たちからも高い評価を得ている
    写真提供:岩井屋

    旅行のハイライトは温泉。これに異論を唱える人は少ないでしょう。山陰地方最古の温泉といわれるのが岩井温泉です。こちらの温泉の歴史はなんと1200年。平安時代から人々の疲れを癒やしてきたのです。かつてこの地は湯治場として大変人気の場所だったそう。柄杓で頭から温泉を「かむる」ことに由来した「ゆかむり」という独自の入浴方法なども生まれました。

    岩井温泉にある創業140年の「岩井屋」は、インテリアから食事の際に使われる器に至るまで、多くの民藝作家の作品が使われ、まるで民藝の博物館の中に泊まるような体験ができる温泉旅館。山陰最古の湯に浸かり、民藝作品に囲まれる。老舗旅館のゆったりとした時間の中に身を委ねてはいかがでしょうか。

    岩井屋

    • 住所:鳥取県岩美郡岩美町岩井544
    • 電話:0857-72-1525
    • ウェブサイト:岩井屋

    鳥取にあるオリジナルに触れる

    吉田璋也がデザインした椅子で寛ぐことができる岩井屋のロビー
    写真提供:岩井屋

    鳥取を旅すると、至るところで民藝をはじめとした手仕事に出合えます。派手ではないけれど、普通で素朴な美しさがそこにはあります。それこそが鳥取の人々が大切に守ってきたオリジナルであり、現在の日本の美しさの一つとも言えるでしょう。鳥取を旅し、自然や民藝、アートなどさまざまな物に触れ、日本の美しさを探してみてはいかがでしょうか。

    オンラインでチェックインができます。オンラインチェックインについての情報もご覧ください。

    • 記載の内容は2023年1月現在の情報です。変更となる場合があるのでご注意ください。
    ライター:Hideki Inoue

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