変わりゆく姿と変わらない姿が混在する道
京文化を感じる道、美しい景観のある道、世界遺産を巡る道など、京都には歩くだけでイベントになる道がたくさんあり、世界遺産や京町屋といった歴史的建造物など、古いものを大切にしながらも、時代に合わせて変化を続ける、京都の魅力を体験することができます。
今回は京都で生まれて大学まで過ごし、市内外の道を歩くのが日常だった筆者が、京都を代表する各エリア別に、おすすめの「道」をご紹介します。
中心地の錦市場は400年続く「京の台所」
まずは、市内随一の繁華街、烏丸御池・四条河原町エリアからご紹介しましょう。京都市内の南北を走る地下鉄烏丸御池駅や四条駅は、京都駅から5分ほどのアクセスの良さ。飲食店やホテル、大型商業施設、民家まで、さまざまな要素がぎゅっと集まった旅の拠点には便利なエリアです。
そんなエリアの魅力を語るのに外せない「道」が、400年もの歴史を持つ錦市場商店街。約130の店が並び、京の食文化に触れられます。訪日観光客に向けた飲食店や土産物店が目立ちますが、地元の方には、正月のおせちに詰めるだし巻きや、お客様にお出しする鱧や千枚漬けなど、“ちょっといい食材”を手に入れるための道でした。
京土産としてよく利用する店が、手作りの生麩を販売する「麩嘉 錦店」。上京区にある本店では江戸時代の終わりに御所に生麩を納めていたとされる老舗中の老舗です。
生麩は、炊き合わせや吸い物、田楽など京料理やおばんざいに欠かせませんが、生麩の和菓子も人気。店先のテーブルで「麩饅頭」をいただきましたが、みずみずしくもちもちした皮の食感とこしあんの組み合わせに、幸せな気分になりました。
麩嘉 錦店
- 住所:京都市中京区錦小路堺町角菊屋町534-1
- TEL:075-221-4533
- 営業時間:10:00〜17:30(月曜日定休)
- ウェブサイト:麩嘉 錦店
市場の中にあって、京グルメを気軽に堪能できるのが、エンタメ性の高い立ち飲み形式の「錦屋台村」です。新鮮なお刺身、海鮮丼、黒毛和牛のステーキなど、ずらりと並ぶ屋台から気になる商品を選べます。錦屋台村の中にある「波の衣」で鱧の天ぷらを日本酒と一緒にいただきました。通りを行き交う人を眺めながらさくっと鱧の天ぷらをほおばる時間は、料亭とは違う京の一面を楽しめました。
錦屋台村
- 住所:京都市中京区中魚屋町486-1
- TEL:075-746-6888
- 営業時間:10:00~19:00(不定休)
- ウェブサイト:錦屋台村
東洞院通で海外文化との調和を楽しむ
錦市場に続き、烏丸御池・四条河原町エリアでもう1つユニークな道をご紹介しましょう。ビジネス街の烏丸通を東に一本入った、南北を走る東洞院通(ひがしのとういんどおり)です。昔ながらの八百屋からデパート、呉服店のほか、いちごの洋菓子専門店「メゾン・ド・フルージュ」や和とコラボしたケーキを扱うパティスリー「洛甘舎(らっかんしゃ)」など、最近、話題の洋菓子店も目立ちます。
さらに外資系の風が吹き込む、いい塩梅の新鮮さを感じる道でもあります。「スターバックス」や「ブルーボトルコーヒー」といったカフェ。旧京都中央電話局を改造した「新風館」内にある、米・シアトル発のカルチャーが香る「エースホテル京都」もその1つです。
隈研吾氏が監修したエースホテル京都の外装デザインは、温かみを感じる木組みが周囲の京町屋と調和しています。内装デザインはロサンゼルスの気鋭のデザイン集団、コミューンデザインが担当。1階のロビーも、和を感じさせる木組みと華やかな照明といった洋の要素が調和した空間でした。
エースホテル京都
- 住所:京都府京都市中京区車屋町245番2 新風館内
- TEL:075-229-9000
- ウェブサイト:エースホテル京都
東洞院通から5分ほど歩けば、鴨川に辿り着きます。エリアや季節で見える姿が変わり、三条大橋や四条大橋から見る夏の鴨川は、カップルが一定の間隔で座る光景が有名です。上流には、子供たちが飛び石を楽しみながら渡る様子が。さらに上流に進めば、木立に囲まれた遊歩道で散歩やジョギングを楽しむ人の姿を目にするなど、京都に住む人の暮らしとともにある川です。広めの歩道は開放感があって歩きやすく、烏丸御池・四条河原町エリアでショッピングや食事を楽しんだ後は、ぜひ散歩に出てみてください。