世界遺産とビーチを両方楽しむペナン島
マレーシアは南シナ海を挟んで西側に延びるマレー半島と、東側に浮かぶボルネオ島北部からなる国。海に面した都市が多く、ビーチリゾートエリアも充実しています。なかでも最近、人気が再燃しているのがマレー半島の西側にあるペナン島です。
東西貿易の中継地として栄えたペナン島は、多様な文化の影響を受けており、今でも建築や食文化にその名残が見られます。特に中心部のジョージタウンは、植民地時代の街並みが残るほか、中国寺院やイスラム教のモスク、キリスト教会などが共存する独特の雰囲気。唯一無二の歴史や文化が評価され、2008年には世界遺産に登録されています。
アートの街としても知られ、街中に描かれたウォールアートは60点以上。エキゾチックな街並みとアートを見ながら、刺激的な散策を楽しめます。
ジョージタウンはグルメの街でもあります。マレー料理と中国料理、西洋料理が融合したニョニャ料理は、ペナン島とマラッカが発祥といわれています。ココナッツミルクやさまざまなハーブを使った料理は、複雑な香りがただようエキゾチックな味わい。マレーシア名物の麵料理ラクサも、ペナン島では魚の出汁が効いた独特の風味をもち「アッサム・ラクサ(ペナン・ラクサ)」と呼ばれています。ほかにも新鮮魚介が自慢のレストランからおしゃれなカフェまで、食のバリエーションは驚くほど豊富。食道楽な旅人も満足することでしょう。
ペナン島はマレーシアを代表するビーチリゾートエリアでもあります。島の北部と西部にビーチが点在し、大小のリゾートホテルが並んでいます。最もにぎやかなのは、北部にあるバトゥー・フェリンギというビーチ。約3kmにわたって白砂が延び、パラセイリングやバナナ・ボートなどのマリンアクティビティも盛んです。
ベストシーズン:ペナン島のベストシーズンは乾季にあたる10~3月頃。冬の日本を抜け出して、ビーチバケーションを楽しむのに最適です。ただし乾季だけが旅行シーズンかというとそうでもなく、雨季の4~9月頃でも南国らしいスコールが降る程度。気温が下がり過ごしやすいので、この時期でも旅行は楽しめます。
アクセス:日本からペナン島への直行便はないので、クアラルンプール経由が一般的。クアラルンプールからペナン島は国内線で約1時間。
自然に恵まれたリゾートアイランド、ランカウイ島
ペナン島の北に浮かぶランカウイ島も、マレーシアを代表するリゾートアイランド。90年代後半のアジアンリゾートブームをけん引したエリアのひとつで、今でも欧米リゾーターを中心に高い人気を誇っています。
1994年オープンの「ザ ダタイ ランカウイ」や2004年オープンの「フォーシーズンズ リゾート ランカウイ」など、創業から20~30年たったホテルが、いまだに世界のリゾートシーンでお手本とされているのは、さすが成熟したリゾートエリアといったところ。ほかにもリッツ・カールトンやウェスティン、セントレジスなど名だたるリゾートブランドが優美なリゾート空間を生みだしています。
島のほとんどが熱帯雨林に覆われたランカウイ島は、ユネスコの世界ジオパークに認定されており、リゾートホテルと自然が一体化した景観が魅力。ホテル内のレストランやスパでも、真っ青な海や緑濃い森林を眺めながら過ごせます。
オプショナルツアーも豊かな自然を舞台にしたものが数多く設定されています。マングローブ林をボートやカヤックで探検するツアーや、無人島を巡るシュノーケリングツアーなど、冒険心をくすぐる南の島らしい遊びがそろっています。
島内には大小のビーチが点在していますが、なかでもマレーシア有数の美しさといわれるのが南西部にあるパンタイ・チェナンとパンタイ・テンガー。それぞれ約2kmにわたって延びる白砂をカラフルなパラソルが彩ります。周辺にはおしゃれなカフェやバー、アジアン雑貨の店などが軒を連ね、夜遅くまでリゾートライフを楽しむ観光客でにぎわっています。
ベストシーズン:ランカウイ島のベストシーズンは10~3月の乾季。特に12月頃から3月までが雨の少ない時期です。
アクセス:日本からランカウイ島への直行便はないので、クアラルンプール経由が一般的。クアラルンプールからランカウイ島は国内線で約1時間。
高層ビルと歴史建築が並ぶクアラルンプール
クアラルンプールは、東南アジアを代表する近代都市であり、マレーシアの政治・経済の中心を担う首都。国際空港は日本をはじめ各国からの飛行機が発着し、マレーシア国内はもちろん世界各地を結ぶハブ空港として知られています。
中心部には天高くそびえるペトロナス・ツイン・タワーをはじめ高層ビルが林立し、急ピッチで経済発展を遂げる国のパワーが感じられます。一方で街中では熱帯植物が茂る公園やコロニアル建築の古い建物、熱気にあふれる屋台街などが見られ、マレーシアの新旧の文化にふれられます。
見どころが集中しているので、鉄道と徒歩を併用して観光を楽しめるのも魅力。イギリス統治時代のコロニアル建築が点在するオールドタウンや、大型ショッピングセンターが建ち並ぶブキッ・ビンタンエリアは街歩きに最適です。
最近はSNS映えする郊外の観光スポットにも注目が集まっています。クアラルンプール中心部から車で30分ほどのピンクモスク(マスジッド・プトラ)は、その名のとおり外観も内装もピンクに統一され、水辺に立つ姿は映画に出てくる宮殿のよう。細かな装飾が美しく、ファンタジックな世界に浸れます。
もうひとつブルーモスク(マスジッド・スルタン・サラフディン・アブドゥル・アジス・シャー)という国内最大級のモスクも人気の観光スポット。こちらもクアラルンプールから車で30分ほどで、青と白のモザイクドームが爽やか。英語を話すガイドが案内してくれるモスクの中は、ステンドグラスや幾何学模様のタイルがエキゾチック感満載です。
クアラルンプールはマレーシアきっての美食の街でもあり、ミシュランガイドが発行されているほど。多民族国家らしくマレー系、中国系、インド系など多様な食文化の影響を受けた料理を味わえます。
有名なところでは豚のスペアリブを漢方と一緒に煮込んだ「肉骨茶(バクテー)」。シンガポールにも同じ料理がありますが、マレーシアの「肉骨茶」は福建風と呼ばれる醤油味。豚肉の旨味が染み出した薬膳スープが胃に染みわたります。
ほかにもピーナッツソースで食べるマレー風の焼き鳥「サテー」、福建省から伝わった汁なし麺「ホッケン・ミー」、ココナッツミルクで炊いたご飯と総菜をワンプレートでいただく「ナシ・レマッ」など料理のレパートリーは多種多様。食後は豆やコーンをのせたマレー風かき氷「アイス・カチャン」や、パンダンリーフのゼリーをのせたかき氷「チェンドル」も忘れずに!
おしゃれなカフェも多いので、街歩きの休憩に冷たいコーヒーとケーキを召し上がるのもおすすめです。またイギリス統治時代の名残か、高級ホテルにはたいていアフタヌーンティーがあり、英国風の正統派から、点心をベースにした中国風、伝統のお菓子を採用したマレー風など個性豊か。高級感あふれるインテリアに囲まれて優雅な午後の紅茶も楽しみです。
ベストシーズン:クアラルンプールは一年中、ベストシーズンといわれています。1~2月と5~9月が雨の少ない時期ですが、それ以外の時期でもスコールが増える程度で、一日中降り続くことはまれ。年間を通して観光は楽しめます。
アクセス:成田、羽田、関西から直行便が運航されており所要時間は約7時間30分。時期によっては札幌からも運航。
世界遺産の古都を歩くマラッカ
クアラルンプールの南に位置するマラッカも、ぜひ足を延ばしたいエリア。マラッカ海峡に面していたことから東西貿易の要衝として栄え、ポルトガル、オランダ、イギリスの統治により多様性に満ちた文化が生まれました。2008年にはペナン島のジョージタウンとともに世界遺産に登録された、マレーシア随一の観光スポットです。
マラッカを象徴する場所といえば、サーモンピンクの教会が立つオランダ広場。17~18世紀に建てられたオランダ建築の建物で、街歩きの起点となっています。周辺には自転車を改造したトライショーが待機しているので、利用してみるのもいいでしょう。マラッカのトライショーは華やかな飾り付けが特徴。爽やかな風を感じながら街を巡るのも楽しいですが、事前の価格交渉は忘れずに。
マラッカはプラナカン文化発祥の地でもあります。プラナカンとは15世紀後半以降、中国から移住してきた人々の子孫のことで、中国とマレー、そしてヨーロッパの文化を取り入れた独特の文化を育みました。街歩きではパステルカラーの豪しゃな建物を見ることができ、なかには博物館やレストランなどに使われているものも。ショップではカラフルな衣装、ビーズをあしらった工芸品、色鮮やかな食器などを購入することができます。
プラナカン文化の影響はニョニャ料理と呼ばれる郷土料理にも見てとれます。名物はチキンライスボール。蒸した鶏肉に、鶏スープで炊いたジャスミンライスを添えるのですが、ご飯がボール状に丸まっているのが特徴です。専門店がいくつもあるので、行列ができている人気店に入ってみるといいでしょう。
ベストシーズン:マラッカのベストシーズンは雨が少ない1~2月と5~9月頃。そのほかの時期も一日中、雨が降り続くということはほとんどなく、モンスーンに気をつけていれば観光は楽しめます。
アクセス:クアラルンプール市内から車で約2時間。クアラルンプール国際空港からは車で約1時間30分。
熱帯ジャングルに覆われたボルネオ
マレー半島の東に浮かぶボルネオ島は、世界で3番目に大きな島。北部の約3分の1がマレーシア領で、同じく北部の一部がブルネイ王国、残りはインドネシア領になっています。
高温多湿な気候は熱帯雨林を育み、豊かな自然に包まれた島全体が、生命感にあふれています。
そんなボルネオでは、やっぱり自然を舞台にした遊びが定番。約754㎢という広大なキナバル公園では、マレーシア最高峰である標高4,095mのキナバル山を眺めながらトレッキングを楽しめます。
ボルネオ島の熱帯雨林は、絶滅の危機にひんしているオランウータンが生息していることで知られています。野生のオランウータンが見られることはまずありませんが、北東のサンダカンには保護施設があり、給餌場で食事をするオランウータンを観察することができます。ほかにもマレータイガーやマレーグマ、テングザルなど固有の動物を見られる施設があり、貴重な自然について学べます。虫好きな方には、昆虫採取体験ツアーも人気です。
ベストシーズン:広大なボルネオ島はエリアによって気候が変わります。一般的には11~3月が雨季といわれていますが、コタキナバルは雨が少ない1~4月頃がベストシーズンといえるでしょう。
アクセス:成田から直行便が運航されており所要時間は約6時間30分。またはクアラルンプールを経由。クアラルンプールからコタキナバルは国内線で約2時間40分。
白砂ビーチが延びるリゾート地、レダン
マレーシアのビーチリゾートというと、ランカウイ島やペナン島などマレー半島西側のエリアの名前が挙がることが多いのですが、東側にもリゾートエリアがあります。
なかでもレダン島やランテンガ島、ティオマン島、ペルヘンティアン島といったリゾートアイランドは、真っ白な砂浜が延びる南国らしい景観が魅力。海の透明度は高く、海中にはサンゴ礁が広がっているので、古くからダイバーには人気の高い島です。
どの島もカジュアルなリゾートホテルが多い素朴な雰囲気ですが、最近はレダン島を中心に落ち着いたブティックリゾートも増えており、リゾートホテルのプールやビーチでのんびりするのが王道の過ごし方。シュノーケリングツアーに参加して、透明度抜群の海を満喫するのもいいでしょう。レダン島周辺は海洋公園に指定されており、高確率でウミガメに出会えることでも有名です。
ベストシーズン:レダン島をはじめとした東側のリゾートエリアは、乾季にあたる4~9月頃がベストシーズン。10~3月は海が荒れることが多いため、乾季のみオープンというリゾートホテルもあるので注意が必要です。
アクセス:日本からレダン島への直行便はないので、クアラルンプールを経由するのが一般的。クアラルンプールからクアラトレンガヌ空港まで国内線で約1時間。そこから港に移動し、船で約1時間~1時間30分。
マレーシアで旅行者に人気のあるエリアを紹介しましたが、気になる旅先はありましたか?どのエリアも魅力的ですが、マレー半島西側のペナン島やランカウイ島は、日本の冬がベストシーズン。多様な文化と美しい自然に恵まれたマレーシア、次の旅先におすすめです。
- 記載の内容は2024年6月現在の情報です。変更となる場合があるのでご注意ください。