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    掲載日:2024.09.11

    ドイツの魅力を味わう旅:フランクフルトを起点に個性あふれる小都市を巡る

    ドイツには州立国家ならではの独自の文化をもった街がたくさんあり、それはドイツ旅行の魅力の一つです。今回は在独歴10年になる筆者が、ヨーロッパ屈指の交通アクセスの良さを誇るフランクフルトを起点に、ドイツを心行くまで楽しめる個性豊かな4つの都市を紹介します。

    ANAの直行便も就航。旅の起点にしやすいフランクフルト国際空港

    日本~ドイツ間でANAの直行便が出ているのは、フランクフルト空港とミュンヘン空港の2つ。フランクフルトはミュンヘンに比べて金融・経済のイメージが強く、あまり観光地としてはピンと来ないかもしれません。しかしフランクフルトはドイツの中央にほど近く、とにかく交通アクセスが抜群。フランクフルトを拠点にすれば、重たい荷物に煩わされることなく身軽に個性豊かなドイツの都市を回ることができるのです。

    また、フランクフルト空港はヨーロッパでも最大級の規模の空港なので、パリやロンドン、ローマといった都市にも行きやすく、ヨーロッパ周遊旅行の拠点としてもぴったりです。空港からフランクフルト中央駅まで電車で10分というのもうれしいですね。

    フランクフルト:多くの観光客やビジネスマンでにぎわうドイツの中心的な街

    フランクフルトはドイツの交通の要所であり、ヨーロッパ経済の中心都市の一つでもあります。その性質上、ホテルやレストランが多く、外国人もたくさんいるので、海外旅行慣れしていない方にとっても過ごしやすい街です。

    長距離列車やトラム、バスが行きかうフランクフルト中央駅は、フランクフルト空港まで乗車時間10分と好アクセス

    フランクフルトといえば、もちろんフランクフルトソーセージ!街の中心部にある大聖堂から徒歩ですぐ、フランクフルト中央駅から徒歩20分ほどの距離に、屋内市場「クラインマルクトハレ」があります。京都の錦市場のような場所で、ソーセージやパン、チーズなどがたくさん売っています。「毎日がっつりドイツ料理だから今日は軽めに」「疲れたから簡単なものを」なんて時の食料調達にもぴったりです。

    市場内の精肉店では、ソーセージやパンに生の豚ひき肉を挟んだメットブロートをテイクアウトできる
    Foto:HFM / S.Rössler

    「ソーセージと一緒にビールを」と思うかもしれませんが、実はフランクフルトはアップルワインが名産品。りんごの甘みとワインのコクが合わさった飲みやすいワインで、味が濃いドイツ料理と相性ぴったりです。

    ショッピングなら、フランクフルト中央駅から2駅、街の中心部に近いハウプトヴァッヘ駅からツァイルというメインストリートへ行きましょう。たいていのお店がタックスフリー対応なのもうれしいところ。高級ブランド店やデパートはもちろん、靴ブランドのBIRKENSTOCK、調理器具のツヴィリングやWMF、テディベアのシュタイフ、タオルやハンカチのFEILERなど、日本でも人気なドイツ発のブランド店がたくさんあり、お土産選びにも最適です。

    ハウプトヴァッヘ駅を出てすぐの歩行者天国、ツァイル。タックスフリー対応に慣れているお店も多い

    フランクフルト観光で外せないのは、クリスマスマーケットでもおなじみのレーマー広場と大聖堂。ハウプトヴァッヘ駅からショッピング街を抜けた先にあるので、買い物ついでに立ち寄れます。フランクフルトを一望できるマインタワーも有名ですが、個人的には、レーマー広場からさらに15分ほど歩いたところにあるユーロタワーがおすすめです。ニュースでよく見る「€」のマークの記念撮影ができますよ。

    筆者から一言

    「冬に訪れるなら、ぜひクリスマスマーケットも楽しんでください。ドイツ全土が盛り上がる年に一度の大イベントで、大都市フランクフルトも例外ではありません。ショッピング街の入口であるハウプトヴァッヘ駅前、中心地のレーマー広場などに、ずらりと屋台が並びます。夜は特に、ライトアップされていてきれいです」

    クリスマスマーケットでは定番のグリューヴァイン(ホットワイン)やライベクーヘン(じゃがいもパンケーキ)などが楽しめる

    Kleinmarkthalle Fraunkfurt am Main(クラインマルクトハレ)

    リューデスハイム:「ラインの真珠」と呼ばれるワインの街

    ドイツ=ビールのイメージが強いですが、実はラインガウ地方は、ヨーロッパでも有数のワインの産地。そのなかでもリューデスハイムは「ラインの真珠」と呼ばれるほどの美しい街並みが残る、人気観光地です。

    駅のすぐそばにワイン博物館があるワインの街。ドイツワインを心ゆくまで味わえる

    フランクフルト中央駅からリューデスハイムまで、RB(ドイツ国鉄の、いわゆる普通電車)で乗り換えなしで1時間15分。電車を降りて5分ほどライン川沿いを歩いたら「つぐみ横丁」が見えてきます。多くのショップ、レストランが立ち並ぶメインストリートで、リューデスハイムの代名詞です。

    絶えず音楽が聞こえる陽気な通りには、小さな名店が立ち並ぶ

    つぐみ横丁を抜けると、ゴンドラ乗り場が見えてくるので乗ってみることをおすすめします。ゴンドラの乗車時間は約10分。広大なワイン畑と雄大なライン川がおりなす絶景を、のんびり楽しみましょう。

    ワイン畑の景色を楽しんだあと、頂上ではニーダーヴァルト記念碑を見学できる

    リューデスハイムのワインといえば、「高貴な白ブドウ」として知られているリースリングワイン。たるで香りづけされていないアロマティックな品種で、ライン川の豊富な水と温暖な気候の影響を受け、円熟した力強さと果実の繊細な風味が感じられます。リースリングは甘口から辛口まで味の幅が広いので、レストランやバーでぜひ飲み比べをしてみてください。

    さらに深くドイツワインを楽しみたい方は、日本語の情報が少ない、知る人ぞ知る、クロスター・エーバーバッハまで足を延ばしてみるのはいかがでしょう。醸造所を運営するエーバーバッハ修道院が所有するワイン畑はドイツ最大規模で、そのうちの8割以上がリースリング。併設されたワインショップにずらりと並ぶワインは、壮観の一言。リューデスハイムから1駅行ったエルトヴィレからさらにバスで20分(バスは約1時間に1本)。交通アクセスはいいとは言えませんが、ワイン好きの方にはぜひ行ってみてほしいです!

    質のいいワインとして信頼されていて、ワイン好きのドイツ人が遠方から足を運ぶほどのクオリティ

    筆者から一言

    「ドイツは日曜日、祝日は基本的にお店が閉まっています。以前うっかり日曜日にリューデスハイムに行ったとき、ワインショップやお土産物屋さんがすべて閉まっていて悲しい思いをしました……」

    Vinothek & WineBar1136

    ケルン:伝統文化を守りつづけるケルシュビールの地

    ドイツの観光地として、真っ先に名前が挙がる都市の一つ、ケルン。人口が100万人を越える大都市で、カーニバルをはじめとした大規模なイベントが多く開かれる陽気な街です。フランクフルト中央駅からケルン中央駅まで、ICE(ドイツ国鉄の高速列車、ドイツ版新幹線のイメージ)で1時間~1時間半ほどなので、日帰りの遠出にぴったり。

    ケルンといえば、やはり大聖堂です。ドイツの教会は旧市街の広場に面していることが多いのですが、なんとケルンの大聖堂は駅の目の前にあります。駅から徒歩10秒、電車の中からでも大聖堂が見える距離で、駅を出た瞬間に目に飛び込んでくる荘厳なゴシック建築の衝撃は、今でも忘れられません。

    ケルン大聖堂はドイツ3大聖堂の一つで、階段で尖塔(せんとう)まで登ってケルンの街並みを眺めることも可能

    ケルン観光といえばもう一つ、ケルシュ。ケルシュ協定という決まりがあり、そのルールに則りケルンで作られたビールのみが「ケルシュ」を名乗れるという、正真正銘の地ビールです。フルーティーで苦みが少なく、普段飲み慣れていない方でもトライしやすいのが魅力。

    200mlの専用グラス「シュタンゲ」に注ぎ、「クランツ」という穴があいたお盆で運ぶのが一般的

    ケルシュには独特の飲み方があるので、せっかくなら「本場のルール」で楽しみましょう。ケルシュハウス(酒場)に入ってケルシュを注文すると、コースターに1本線が引かれ、グラスが空になると次のケルシュが届きコースターの線が増えていく……というシステムです。わんこそばのイメージですね。十分楽しんだら、コースターをグラスの上に置いて「もういらない」と意思表示。そうしたら、コースターの線の本数で杯数を計算してくれます。

    ケルンには多くのケルシュハウスがありますが、そのなかでも16世紀の醸造所を復活させた「Peters Brauhaus」はケルシュの歴史も感じることができ、お店の雰囲気も良いのでおすすめです。

    Peters Brauhausでは、フルーティーで飲みやすいケルシュとそれに合うドイツ料理を味わえる

    余談ですが、ケルンから電車で30分の距離のデュッセルドルフでは、アルトビールが主流。さっぱりしたケルシュとちがい、コクがあり苦みが強いのが特徴です。ビール好きの方は、ぜひハシゴしてみてください。

    筆者から一言

    「ドイツの飲食店はクレジットカードが使えないことも多いので、現金を用意しておきましょう。観光客に慣れている方が多いですし、都市部では英語が通じるので、わからないことはお店の方に聞けばOK。ちなみにケルンとデュッセルドルフの仲の悪さはドイツ人の鉄板ネタなので、デュッセルドルフでケルシュを褒めるのはNGです(笑)」

    Peters Brauhaus

    ハイデルベルク:ゲーテも愛したロマンチックな古城の街

    山の上にたたずむ古城、雄大な川にかかる歴史ある橋。「ドイツといえば」のイメージそのままの景色を楽しめるのが、ハイデルベルク。ドイツロマン派の憧れの地であり、古城街道のなかでも人気のある街で、ポストカードにもよく使われる景勝地です。

    哲学者の道からは、ハイデルベルクのシンボルともいえる橋とお城を同時に眺めることができる

    フランクフルトからはRB(普通電車)で1時間半ほどの距離。ハイデルベルク散策の鉄板ルートは、ハイデルベルク城、アルテブリュッケ(橋)、哲学者の道、の順番です。

    電車を降りたら、まずは旧市街を抜けて登山鉄道乗り場へ向かいましょう。のんびり歩いたら1時間ほど。ハイデルベルクはドイツ最古の大学がある学生街でもあり、学生が入りやすいリーズナブルなお店や古いアパートが立ち並んでいて、大都市とは少し違った生活感のある雰囲気を楽しめます。また、バスで直接登山鉄道駅に行くこともできます。

    中心地の広場に面した聖霊教会。塔の展望台からは、ハイデルベルクの街並みを一望できる

    登山鉄道駅に着いたら、徒歩、もしくはケーブルカーでハイデルベルク城を目指します。徒歩だと20~30分ほど。道中の景色も素晴らしいので、体力に余裕があれば徒歩をおすすめします(ただしかなりの急こう配)。

    ハイデルベルク城には、ドイツルネサンス期の珠玉であるオットハインリヒ館やフリードリヒ館、ドイツ薬事博物館などがあり、見どころ満載。また、フランスとの戦争や自然災害の爪痕も残っており、ノイシュヴァンシュタイン城のような「美しく洗練された城」ではなく、「歴史を感じさせる廃きょ」というのもまた魅力の一つ。

    ハイデルベルク城では、プファルツ継承戦争と雷による自然災害の歴史を肌で感じられる

    お城を楽しんだらケーブルカーで山を下り、そのままネッカー川にかかるアルテブリュッケ(橋)を目指しましょう。その途中、ランチをするなら「Vetter's Alt Heidelberger Brauhaus」がおすすめ。醸造所にあるレストランで、日本人にもおなじみのピルスナーはもちろん、黒ビール、さらには季節ごとの味わいを楽しめるシーズナルビールまで堪能できます。

    Vetter's Alt Heidelberger Brauhausは地元民からも観光客からも愛される名店。予約推奨

    お昼休憩の後は、橋の前にたたずむ門や、ポストカードでおなじみのアルテブリュッケで記念撮影をしつつ対岸へ。かつてゲーテやニーチェも愛した「哲学者の道」という散歩道があり、ハイデルベルク城、教会を含めた旧市街、そしてネッカー川にかかる橋がおりなす絶景を堪能できます。

    筆者から一言

    「ハイデルベルク観光は、とにかく歩きます!お城まで上ったり、川まで下りたり、そこからまた哲学者の道を上ったり……。そのうえ石畳なので、普段歩き慣れていない方は大変かもしれません。歩きやすい靴を選び、1リットル以上の水を用意しておきましょう。のんびり楽しみたい方は、バスやトラム、登山鉄道を積極的に使い、ハイデルベルク城か哲学者の道のいずれか片方にしておくのもいいかもしれません」

    Vetter's Alt Heidelberger Brauhaus

    ローテンブルク:中世の木組みの建物と城壁に囲まれた歴史を感じる景観の街

    日本人から特に人気が高い観光地、ローテンブルク。絵本の世界に入り込んだかのような気持ちになれる、ロマンチックでかわいらしい街並みが魅力です。神聖ローマ帝国の皇帝が戦争に備えて城塞を築き、その城壁内に集落ができて、今の町になりました。そのため現在も城壁が残っています。

    中世の雰囲気を色濃く残した木組みの家が立ち並ぶ。まるで童話の世界に入り込んだかのよう

    見どころはやはり、プレーンライン。中心部の南側にある小広場で、きっとみなさんも、どこかで一度は目にしたことがある街並みなのではないでしょうか。木組みのかわいらしい家々が並んでいて、ただ歩くだけでもワクワクしてしまいます。プレーンラインを抜けると市庁舎があり、教会やクリスマスショップ、クリスマス博物館や中世犯罪博物館など見どころが続き、小さな町でも退屈することはありません。特にクリスマス博物館とクリスマスショップは、時期でなくともドイツのクリスマスの雰囲気を楽しめるのでおすすめです。

    ドイツにおけるクリスマスは宗教行事。歴史や工芸品に触れることで、より一層ドイツ文化を知ることができる

    フランクフルト中央駅からローテンブルクへは、ヴュルツブルク駅とシュタイナハ駅で2度乗り換え、所要時間は3時間~3時間半ほど。日帰りも可能ですが、ロマンチックな建物で一泊するのもおすすめです。ゴシック様式建築の特徴が強く残る4つ星ホテルの「Hotel Gotisches Haus」や、天皇陛下が皇太子時代に宿泊したこともある「Hotel Eisenhut」など、ローテンブルクならではの歴史あるホテルがたくさんあります。

    1泊するのであれば、かつて街の警備をしていた「夜警」に模したガイドが街を案内する人気プログラム「夜警ツアー」に参加して、ローテンブルクの歴史を学びながらロマンチックな夜の街並みを楽しむのもいいですね。

    13世紀の建物を改装したHotel Gotisches Haus。「ゴシックハウス」の名にふさわしい美しい内装
    ©gotischeshaus

    ローテンブルクは、シュネーバルという直径10cmほどの小麦粉を揚げた丸ドーナツのようなお菓子が有名です。お砂糖やチョコレート、シナモンなど、さまざまなトッピングの種類があります。また、緑色のボトルに入ったフランケンワインもローテンブルクの名産品。南ドイツ料理とあわせて、辛口で力強いフランケンワインを味わってみてください。

    シュネーバルは一つ1~3ユーロほどで、サクサクしたパイのような食感

    筆者から一言

    「ドイツの電車は、10分ほどの遅延は当たり前。乗り換えは30分くらい余裕を持って調べておきましょう。また、ローテンブルクの正式名称はRothenburg ob der Tauberといい、Rotenbürgと間違える方が後を絶ちません。RothenburgとRotenbürgは電車で4時間もかかるまったく別の場所にあるので、電車で向かう際は何度も確認しておきましょう」

    Deutsches Weihnachtsmuseum(クリスマス博物館)

    Hotel Gotisches Haus

    Hotel Eisenhut

    フランクフルトを拠点にドイツを楽しみ尽くそう

    今回は筆者の経験を基に、「フランクフルトを拠点にドイツを楽しむならここ!」という街を4つ紹介しました。どこもドイツらしい魅力がたっぷりで、それぞれまったく違う個性があるので、気になったらぜひ足を運んでみてください。良いドイツの旅になりますように!

    • 記載の内容は2024年7月現在の情報です。変更となる場合があるのでご注意ください。
    ライター:雨宮紫苑

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