ANAはCO2排出量ゼロを目指し、飛行機の重量削減に力を入れています。その取り組みの中の1つである「機内サービス用カートの軽量化」についてご紹介いたします。
飛行機の重量を軽くすると、飛行に必要な燃料を減らすことができ、CO2排出量の削減につながります。最近ではより軽量な材料を使用して飛行機や座席が製造されており、機体重量の大幅な軽減とそれに伴うCO2排出量の削減を実現していますが、さらに軽くするための方法として、このほかにどのようなことが考えられるでしょうか。
機内には、飛行機の運航や機内サービスで使用するためのさまざまな物品が装備されていますが、ANAグループでは以下のような取り組みにより、「千里の道も一歩から」の想いで飛行機の重量を軽くし、CO2排出量の削減を図っています。
機内誌・新聞・雑誌の電子化
機内に搭載する物品類や搭載水量の最適化
運航乗務員と客室乗務員が使用するマニュアルの電子化
客室乗務員が機内サービスで使用するカートの軽量化
機体重量削減のための様々な取り組みの中でもとりわけ大きな効果を生み出しているのが、客室乗務員が使用する機内サービス用カートの軽量化です。ANAグループでは2015年以降、材料の変更や部品の数を減らすことにより軽量化された新型カートを国際線から順次導入し、2022年5月までに国内線を含めたすべての路線で入れ替えが完了する予定です。
この新型軽量カートは国際線で使用されているボーイング777-300ER型機では大小あわせて1機あたり約70台程度搭載されており、ANAグループとしての総保有数は約17,000台にのぼります。
新型軽量カートは、従来品と比べて最大10kgの重量軽減を実現しており、ボーイング777-300ER型機1機あたりで約580kgの重量削減効果があります。ANAが保有する飛行機全体で年間約5,700トンの燃料消費量を削減し、25mプール 約17,500個分相当のCO2排出量削減に貢献しています。
軽量型カート
旧型カート
ANA CX推進室 商品企画部の西村さん
軽量型のサービスカートを導入した際に苦労したことは?
単純に軽量化すればよいということではなく、お客様にご満足いただけるサービスを提供するために、客室乗務員が扱いやすいカートを導入することが大切です。メーカーから最新の軽量型カートを取り寄せ、客室乗務員に実際に操作をしてもらい、感想を聞くなどして、導入にあたって、視認性の良いドアロックや操作しやすいハンドル形状など、安全面や操作性で数々の改良を重ねました。特に、従来型と新型のカートでは重量の差が大きく重心位置が異なり、操作性が違うため、客室乗務員へ事前の情報共有をしっかり行い、スムーズな導入に繋げました。機体への搭載にあたっては、大量のカートをスケジュール通りに入れ替えるため、関連部署との調整に苦労しました。
軽量型カートの導入に際し、工夫したことは?
ANAグループで保有している大量のカートを一度に軽量型カートに入れ替えることはできません。カートの軽量化によるCO2排出量削減の効果が最も大きいのは、多くのカートを搭載し長時間飛行する長距離路線機材です。そのため、ANAグループでは長距離国際線に搭載されているカートから優先して軽量型に入れ替えることにより、CO2排出量削減効果を早期に実現しました。
将来に向けた想い
私たちCX推進室商品企画部が管理する機内搭載物品は、1つ1つの重量は些細なものですが、その積み重ねがCO2排出量に大きく影響します。これからも、環境への負荷を軽減する地球環境にやさしい商品の開発や新たなサービスの提案に努めていきたいと考えております。
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