ANA Future promise 社会地域 廃棄品の花火で子供たちに夏思い出を ANA Future promise 社会地域 廃棄品の花火で子供たちに夏思い出を

2024年2月21日

今回は、空港で廃棄された花火を活用して、お客様の夏の思い出を地域の子供たちにおすそ分けする宮古空港の取り組みをご紹介します。

宮古島は沖縄本島の南西方およそ300㎞、石垣島の東北東およそ130㎞の位置にある島です。気候は高温多湿な亜熱帯海洋性気候に属していて、冬も比較的暖かく年間の平均気温は23.7℃と四季を通しても比較的温暖な気候になっています。宮古空港は、島の中心に位置しており観光スポットや市街地にもアクセスがしやすく、年間で約135万人の旅行者が利用する空港です。とくに春から夏にかけては観光客が多く来島する季節となります。

来島した観光客の中には滞在中の思い出作りとして、宮古島のコンビニやホームセンターなどで花火を購入して夏の風物詩を楽しむ人が多いようです。その際に使いきれなかった花火を航空機で持ち帰りたいと思う方が多くいらっしゃるのですが、花火は国土交通省が航空法と国際民間航空機構(ICAO)が決定した国際ルール及び、関係規制をもとに作成した「機内持込み・お預け手荷物における危険物の代表例」にも挙がっている火薬類に該当するため、大きなロケット花火から小さい線香花火にいたるまで、どの種類の花火もスーツケースに入れて預けることも、機内への持ち込みも禁止となっています。そのため、花火を持ち帰ることができず、空港で廃棄をしていただくことになり、他の空港と比べて花火の廃棄量が多いのが現状です。

宮古空港で自主放棄される持ち込み制限品は、刃物など他の制限品を含めて年間で100㎏ほどになります。廃棄品の中でもハサミやカッターなどは最も多い品目となっており、宮古空港ではこれまで地元のNPO法人を通じて小学校に寄付してきました。その一方で、毎年一定量放棄される花火は産業廃棄物として捨てるのにもお金がかかる状況になっていました。このような状況に対して、SDGsの観点から廃棄される花火を再活用するための取り組みを始めたのがANA沖縄空港宮古事業部の渡真利さんです。

美しい宮古島の風景

渡真利さんは、宮古事業所の業務課で主に事務や業務の管理を担当し、普段はお客さまへのサービスを支える仕事をしています。その業務の一環として、廃棄品から寄付ができそうなハサミなどを選別する業務も担っています。業務を通じて、廃棄された後も寄付をすることでゴミとせずに活用できる物品がある一方で、まだ使えそうなのにそのままゴミとなってしまう物品があることを目の当たりにして「他にもっと活用できる方法はないだろうか」と考えたのが始まりでした。中でも毎年一定量廃棄される花火に着目しました。そこからリサイクル業者などに問い合わせしてやり取りをする中で花火を安全に活用できる方法を模索しました。花火は火薬を含むので使用する際の安全上の管理を考慮した末、児童館を運営する福祉団体である『一般社団法人 沖縄こどもみらい創造支援機構(*)』に辿り着き、コロナ明けに久しぶりに開催される「こどもみらいまつり」で活用することで話がまとまりました。

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    沖縄こどもみらい創造支援機構は、幼児児童生徒の健全育成活動及び保護者等に対する子育て支援活動をするとともに、地域の自然・歴史・伝統文化の継承活動を行い、子どもたちが未来に夢をもち健やかな成長が遂げられるよう育成を支援することを目的に設立された、非営利の一般社団法人です。

インタビュー

ANA沖縄空港 宮古事業所 渡真利さん

渡真利さん
宮古空港の雰囲気や特徴をおしえてください。

比較的コンパクトな組織のため普段から職員全員で連携して業務に携わることが多く、スピーディーに一体感をもって様々なことに挑戦できることが宮古空港の最大の特徴です。「1名・1個・1便」にこだわり、最高のチームワークで最高のパフォーマンスが出来るよう部署の垣根を越えた情報共有、円滑なコミュニケーションを図っています。

カウンター業務にあたる渡真利さん
デスクワーク中の渡真利さん
この取り組みに対して感じたことをお聞かせください。

航空機の貨物への預入れならびに機内持ち込みが出来ずに廃棄された花火をそのまま廃棄するよりも宮古島島内の福祉団体を通して子供たちへお渡しし活用した方が良いのではないかという思いから今回の取り組みを実施する事となりました。また、本件を実施するにあたりJALグループの日本トランスオーシャン航空へも声掛けをし、共同して取り組むことでより多くの花火を合同で寄贈する事ができました。他社を含めて宮古空港としての一体感を感じられる貴重な経験となりました。これまで業務においてもっとSDGsに取り組みたいと考えてきましたが、今回ようやく実を結んだかたちになったと感じています。初めは自分の思いつきやひらめきからでしたが、行動することで様々な人と出会ってアドバイスや協力をいただき、今回の様な形に繋がったと思っています。小さな取り組みでも地域貢献やSDGsに繋がる事を改めて認識する事が出来ましたし、今後もコツコツと続けていきたいと思います。

沖縄こどもみらい創造支援機構 新城さん

インタビュー中の新城さん
「こども散歩」で子供たちと話す新城さん
花火の配布当日の様子をお聞かせください。

今回の取り組みを通じて寄付された花火は、コロナ明け久しぶりに開催した「こどもみらいまつり」で活用させていただきました。いただいた花火は手持ち花火や打ち上げ花火など様々でしたが、花火の特性から対象年齢を考慮して子供たちが安全に色々な種類の花火を楽しめるよう事前に仕分けて準備しました。また先着順で花火がなくなり次第配布を終了することを事前に案内しました。いよいよ向かえた当日は配布開始時刻のだいぶ前から子供たちが並びはじめて整列に案内が必要なくらいの行列になりました。そして配布開始から10分ほどで配り終わってしまいました。子供たちの言葉を借りるとまさに「秒でなくなった」という感じで、嬉しそうな笑顔をたくさん見ることができました。また、翌日も来館した子どもたちから花火の感想を聞くことができました。わくわくしながら持ち帰った花火をその日のうちに早速楽しんだ様子でした。それくらい喜んでくれたのだなと私も嬉しくなりました。

普段の取り組みについて教えてください。

私が館長を務める宮古島市ひらら児童館は、主に小学生から中高生まで様々な背景を抱えた子供たちが来ます。中には経済的に恵まれない子や経済的に恵まれていてもネグレクトの状態にある子など多様です。中でも気にかかるのは経済的に恵まれない子たちが文化的に貧困になってしまうことです。例えば、様々な世代に浸透しているスマートフォンですが、経済的に恵まれない子が持つことができなく、情報から取り残されてしまったりITリテラシーが乏しくなったりしてしまうなどのケースがあります。こういった傾向になりそうな子たちには特に積極的に色々な経験をさせたいと考えて日々試行錯誤しながら取り組んでいます。

宮古島市ひらら児童館の外観
図書室
花火寄贈のご相談をしたときどう思いましたか。

今回お話をもらったときに花火が良いツールになると感じました。私が経験した夏の楽しい思い出を子供たちにも経験させたいという気持ちと、子供たちが大きくなったときにまた次の世代と共有していけるような経験になるといいなと考えてました。余談ですが実は想定していたよりも多くの子供たちが花火を経験したことがなかったことは新しい発見でした。

また、協賛という形の企業タイアップと異なって寄付までのストーリーがあって、それを説明しながら配布したことで子供たちの意識変容に繋がることも期待ができると考えています。子供たちには社会からの関心を感じて繋がりを実感しながら育っていってほしいと思っています。

この取り組みに通して感じたことをお聞かせください。

まず「廃棄品の花火ってこんなに量が多いの?!」ということに驚きました。花火を受け取った際、廃棄品だけではなくて買い足して寄付してくれたのかなと思ったほどの量でした。夏祭りに関わった職員やボランティアの方も、配布当日に来場した保護者も皆さんも驚いていました。私自身は花火を貨物として預けることも機内に持ち込むこともできないことを今回初めて知りました。おそらく似たような方が多数いることで結果としてこんなに大量の廃棄物を出すことになってしまうという気づきがありました。廃棄品花火が子供たちの笑顔に繋がる一方でゴミを出さないという意識も必要だと感じました。

インタビューを通じて、今後もこの取り組みを継続することや他の取り組みにも発展させていく構想を伺うことができました。次の取り組みについても取り上げていきたいと思いますのでぜひご期待ください。

私たちは社員一人ひとりの気づきを大切にし、地域に密着した社会貢献につなげてまいります。

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