機内食用の食器を一部再利用して製作した壁材の陶板

2024/12/26

羽田空港国内線プレミアムメンバー優先のチェックインカウンターがリニューアルされ、お客様をお迎えする居室のファサードには機内で使用できなくなった食器を再利用した陶板が国内空港で初めて採用されました。

日本の伝統美×廃棄物の再利用

ANAは、羽田空港国内線プレミアムメンバー優先のチェックインカウンターにおいて、2024年12月2日よりANAマイレージクラブ「ダイヤモンドサービス」メンバー向けのANA SUITE CHECK-IN、12月18日よりANAマイレージクラブ上級会員やプレミアムクラスご利用のお客様向けのANA PREMIUM CHECK-IN(北側)、2025年夏にANA PREMIUM CHECK-IN(南側)を順次リニューアルします。

このリニューアルでは「日本の伝統美」がデザインコンセプトの一つとなっており、日本の手仕事、左官による唯一無二の意匠がプレミアムゾーンの特別感を演出しています。

中でも目を引くのは、一つ一つ職人の手で焼き上げられた陶板を用いたファサードです。この陶板は、機内で使用できず廃棄せざるをえない機内食用の食器を日本の伝統技術によって一部再利用し製作されました。

加えて、環境への配慮として、居室内の床材にも製造過程でカーボンニュートラルを実現した天然リノリウムを使用しています。

ANA SUITE CHECK-IN
ANA PREMIUM CHECK-IN

機内で使用できなくなった廃棄食器から陶板ができるまで

機内ファーストクラス・ビジネスクラスでは陶器や磁器の食器を使用してお食事を提供しており、割れてしまったり欠けてしまったりした食器は廃棄しています。今回この廃棄されてしまう食器を新しく生まれ変わらせお客様に楽しんでいただくことはできないかと検討し、プレミアムエリアへの還元が実現しました。

廃棄する食器の一部(約20㎏)をミルで粉砕。それを釉薬(うわぐすり)に配合して陶板に吹き付け、窯で焼き上げることで、奥行きのある色彩とテクスチャーに仕上がりました。焼き上がった陶板を施工し、高さ約3メートル、全長約22メートル*の大きな壁面として仕上げ、プレミアムエリアの入り口ファサードに設置しています。

  • * ANA SUITE CHECK-IN、北側ANA PREMIUM CHECK-INを合わせた全長
機内で使用できなくなった食器
ミルを使用して粉砕
粉砕した食器を配合した釉薬を陶板に吹き付ける
釉薬を吹き付けた陶板を窯で焼き上げる

「日本の伝統美を発信したい」という想いを表現するための焼成や釉薬の調合技術は、大塚オーミ陶業株式会社*の職人の手技によるものです。

羽田空港国内線第2ターミナル2階出発ロビーに位置しているプレミアムメンバー優先のチェックインカウンターで2種類の美しいグラデーションで仕上げられたファサードをご覧いただけます。

担当者インタビュー

リニューアルを担当したANA 商品企画部の稲井さんにお話を伺いました。

割れた食器を使用することになったきっかけは?

ファサードの意匠に陶板を採用することになり、同じ焼き物である陶器や磁器の活用ができないかと考えました。

実現に至るまでに苦労したことは?

表現したい色味に近づける作業はとても繊細で、職人の皆様には大変ご苦労をおかけしました。焼き上がらないと正確な色味がわからない中で、釉薬の調合や吹付け、焼き上げの温度加減など、求める色味を伝え試行錯誤を繰り返していただきながら、最終的には見事に表現いただきました。

これからのプレミアムエリアに期待してほしいことは?

機能面を始めとしたお客様の快適性・利便性の向上はもちろんのこと、意匠面においても日本の伝統技術などを用いたANAのおもてなしを感じていただける空間づくりを行うとともに、資源循環への取り組みも継続してまいります。

ANAグループはこれからもお客様の利便性を高めるとともに、限りある資源の有効活用に努めてまいります。

SDGs 12番 つくる責任つかう責任