ANA x ヴィラフォンテーヌ コラボルーム

2024/7/12

ANAグループでは、資源類廃棄削減のために、航空機部品の交換時に発生する廃棄品を新たなものに生まれ変わらせるアップサイクルの取り組みを進めています。今回、ANAの整備士が廃棄品を用いて手作りしたテーブルやスツールやオブジェなどのアップサイクル品が、ANAとヴィラフォンテーヌのコラボルーム「ANA ROOM」に採用されました。

「ANA ROOM」は、羽田空港第3ターミナルと直結の日本最大のエアポートホテル「住友不動産ホテル ヴィラフォンテーヌ グランド 羽田空港」にて今年の4月から提供開始しています。

ANA ROOMにあるアップサイクル品のご紹介

ANA ROOMには、ボーイング737型機とボーイング777型機の2つのテーマの客室があります。主な違いは、壁に飾られている写真になりますが、それに加えてボーイング737型機の客室には、ボーイング737型機のコックピットの窓の廃棄品を使用して整備士が製作したサイドテーブルを設置しました。

コックピットの窓の廃棄品を利用したサイドテーブル

また、どちらの客室にも、ボーイング787型機の客室窓の廃棄品と航空貨物を搭載する際に使用する木材パレットの廃材を用いて整備士が製作したスツールを設置しています。シグナルキットという緊急時に使用する非常信号灯が収納されているケースのアップサイクル品は、お客様にご自由に手に取っていただけるよう客室内に設置しています。

航空機の客室の窓と木材パレットの廃棄品を使用したスツール
シグナルキットのケース

客室にあるショーケースの中にも、2つのアップサイクル品があります。一つは、整備士が航空機の空調装置の一部であるモーターファンの廃棄品を使用して製作した時計、もう一つは、ボーイング787型機の客室の窓の廃棄品を航空機の尾翼に見立てたオブジェを展示しています。

モーターファン時計
垂直尾翼オブジェ

ANA ROOMのその他の見どころ

ANA ROOMにはアップサイクル品以外にも普段見ることができないさまざまな航空機部品が展示されています。ショーケースの中には、飛行中の外気温度を測る装置「TATセンサー」やコックピット内でパイロットがデータを入力する装置「コントロールディスプレイユニット」など、数々の部品がまるで博物館のように展示されています。
また、お部屋の窓からは羽田空港の滑走路や飛行機が見えますが、そんな景色を座りながら一望できるよう、窓側にビジネスクラスのシートを設置しています。ぜひ、飛行機に乗って旅をしているような気分を味わってください。

「ANA x ヴィラフォンテーヌ」のANA ROOM

担当者インタビュー

ANAあきんど所属の松井さん、ANA整備センター所属の大井さん、榛村さん、田中さん、鈴木さん、尾﨑さん

コラボルームを企画した担当者にお話を伺いました。

今回のコラボルームはどのようにして実現できたのですか?

(ANAあきんど 松井さん)ANAあきんどでは、ANAブランド・飛行機・旅を体験できるコンセプトルーム「ANA ROOM」を2021年から展開し、ANAファンや航空ファンを中心に好評いただいています。また、さまざまなホテルからも「ANA ROOM」を展開したいという要望が多数あり、その中でも航空ファンやANAと親和性が高く、エアポートホテルとして日本最大の客室数を誇るエアポートホテルのヴィラフォンテーヌ グランド 羽田空港にて4つ目のANA ROOMを展開することとなりました。ANA ROOMでは、ご利用になるお客様にANAブランドや飛行機を存分に味わっていただくため、機内シートやアメニティなど、ANAグループ各社が所有するさまざまなコンテンツをお部屋に散りばめていますが、コロナ禍からの急速な復便の影響もあり、調達できるものが以前よりも限られてしまうという課題もありました。そんな中、整備センター全面協力のもと、航空機の廃棄部品を調達するスキームを構築し、今回は、ANAの整備士が考案・加工したオブジェや家具を新たなコンテンツとしてANA ROOMへ導入することができました。そのほか、ANAの歴代の広告媒体や展示品、機内座席に至るまでさまざまな部署の協力を得て収集できたことで、よりANAブランドを体験できるコンテンツを十分に取り入れたヴィラフォンテーヌ 羽田空港での展開を実現できました。

(ANA整備センター 榛村さん)以前からさまざまな部署から、使用しなくなった部品を展示してお客様にANAを身近に感じていただくことはできないかといった声が多く挙がっていましたが、整備センターとしては使われなくなった部品を皆様にお見せすることへの懸念がありました。そのような中で今回のお話をいただきましたが、ANAあきんどの担当者が実際に廃棄部品の倉庫まで足を運び、モノを選び、廃棄部品の新たな価値を教えてくれました。結果的に廃棄部品の価値に気づけたことが、廃棄部品を提供するという決断につながり、グループ社内で直接意見を出し合い、協力し合って今回の取り組みが実現しました。

デザインから製作までされたテーブルやスツールやオブジェはどこから発想を得たのですか?

(ANA整備センター 大井さん)ホテルの客室に設置するということで、お泊りのお客様に直接触っていただけるアイテムをご提供できたら面白いのではないかと思いました。それぞれの航空機部品の形状の特徴や強度などを考慮したうえで、元の部品としての用途とは全く違うアイテムとしてどんなものが作れるか担当した整備士メンバーでアイデアを出しながら試行錯誤を重ねました。

ご宿泊される方にぜひご覧いただきたいポイントはありますか?

(ANAあきんど 松井さん)ヴィラフォンテーヌ グランド 羽田空港でしかないコンテンツをぜひ体験していただきたいです。第3ターミナル直結ということもあり、客室の窓からは羽田空港のB滑走路が一望できます。今回初の試みとしてエアバンドレシーバー(航空無線受信機)を客室内に導入したので、ビジネスクラスシートに座りながらパイロットと管制の交信を聞き、天候によっては窓から飛行機の離発着を見ながらディープな世界に浸っていただくこともできます。また、それぞれの客室には、就航当時の広告ポスターや、翼の王国を展示しています。どちらも現役で活躍する機種ですが、導入当時の時代にタイムスリップした感覚を味わいながら、ANAの歴史を感じていただくことで、より飛行機や空の旅の面白さにつながれば嬉しいです。

(整備センター 大井さん)アップサイクル品には、その部品が搭載されていた飛行機の機体番号をレーザー彫刻したプレートを取りつけています。これまで多くのお客様をお乗せして国内外を飛行した航空機に思いを馳せていただけましたら幸いです。ボーイング787型機の客室の窓を使ったスツールと実機の形状をそのまま縮小した垂直尾翼オブジェを展示していますが、ボーイング787型機は飛行中の機内の与圧を0.8気圧程度(気圧高度2000m)に保つことで、地上にいるときとの気圧差を少なくして快適性を向上させています。その与圧にも充分耐えられるように他の機種よりも窓の厚みが強化されている点が見どころです。ボーイング737型機のコックピットの窓は、合計6枚で構成されていますが、今回サイドテーブルにアップサイクルしたものはコックピット内から見て一番右側にある窓です。テーブルの脚の塗装はANAの航空機に使用されているトリトンブルーにしている点もこだわりのひとつです。空調装置の構成部品であるモーターファンは、外気を取り込む際に、空気に含まれる腐食成分によってアルミ素材が劣化してしまわないように、製造時に陽極化処理が施されることで、腐食を防ぎ、表面の硬度を高めています。今回、このモーターファンをアップサイクルして置時計にする際にも陽極化処理された綺麗な黄緑色を活かして製作しました。

これからもANAグループでは、アップサイクルを通じた資源類廃棄削減に取り組んで参ります。

SDGs 12番 つくる責任つかう責任