「株式会社日本産直空輸」が誕生

2022/04/14

ANAグループ社員提案制度により誕生した「株式会社日本産直空輸」(以下「産直空輸」)が、2022年4月1日より営業開始しました。

日本全国のこだわりの品物を産地から消費者へ最速でお届けすることでANAグループとともに生産者を応援し、地域創生へ貢献していきます。

鮮度最重要の最速流通で生産者と消費者をつなぐ

産直空輸は、「農産品の本当の価値を消費者に届けたい」との想いを持つ一人のANA社員が、2019年度のANAグループ社員提案制度にて提案し、その後2年半にわたり多くの賛同するメンバーと一緒に検討・検証を進め実現したスタートアップ企業です。

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ミニトマト、スナップエンドウ、カリフラワーなどが陳列されています。ミニトマトには「ANA630便 鹿児島県産ミニトマト」というポップが立っています。
産地直送のフレッシュな野菜がスーパーで販売されています

飛行機を利用して農産品や魚介類などを産地から主に首都圏などの大消費地に最短6時間という異次元の速さで運搬することによって、農産品や魚介類などの採れたての鮮度の価値を消費者に届けることができます。

従来の流通の場合、産地から私たち消費者が購入できるまでにおおよそ3〜4日の日数が必要です。それを鮮度の価値を最重要視する流れに変革するために、産直空輸は産地、卸売り、空輸、地上運送、小売り、消費者とつながる流通全体を一気通貫でコーディネートする「産直モデル」と呼ばれる流通形態の中で生産者と小売業者を直接結ぶ役割を担います。

産直空輸は仲介役として生産者・小売業者に対して情報提供や物流のコーディネイトを担います。

また、生産者に最寄りの空港まで鮮度が命の品物を自ら運んでもらい、旅客機の貨物スペースを活用することにより、既存の流通には乗ってこなかった少量生産の農産物、首都圏ではなかなか出回らない希少品や、地方に眠る逸品なども扱うことができます。

生産者を応援することで地域の活性化を図る

真っ赤に熟れたトマトが枝からぶら下がっている様子
岩国ブランド「由宇とまと」

農産物の中には生産量が少なかったり、完熟限定のためその土地でのみ消費され私たちがまだ知らないブランドの品物がたくさんあります。

山口県岩国市で生産されている「由宇とまと」もその一つです。生産量も多くはなく、完熟での長距離の流通は難しいこともあり、これまでは首都圏での入手は困難でした。そのような品物を産直モデルの流通によって身近なお店で手に入れることができるようになることで生産者の収入が増加する可能性につながります。

生産者からは「東京に品物を並べるのが夢だった」、「地域限定だった品物が首都圏に届き、おいしかった、という声を聞くことができて嬉しい」といった声が上がっています。

また、その生産地に興味を持つことで地方への人の交流や移住が拡大することも期待されます。

産直空輸 木下 真祐央社長にインタビュー

産直空輸の生みの親である木下社長に社員提案のきっかけや今後の展望についてお話を伺いました。

株式会社日本産直空輸社長 木下 真祐央氏

社員提案に至ったきっかけは?

私の実家はぶどう農家ということもあり、採れたてのぶどうが一番おいしいし、多くの人に新鮮な状態で食べてほしいと思っていました。
ANAでなにかできないかと考えたときに、「お客様として飛行機に乗って新鮮な品物を運んだら短時間で運べるのに既存の流通だとなぜこんなに時間を要するのだろう」という疑問を抱きいろいろ調べ始めました。既存の市場流通では届けられない鮮度最優先や生産量が少ない品物が世の中にはたくさんあって、そういった物をANAの旅客機のカーゴスペースを使って流通させ、地域との架け橋となって地域を盛り上げていきたいと思いました。そして、エアラインとしてカーゴスペースを売っていくだけでなく、自ら運ぶモノを掴みに行くべきだと考え社員提案に応募しました。

新会社設立までに突破しなければいけなかったことは?

20回ほどの実証実験を行ってきましたが、アイディアを形にして実際にモノを動かすということは本当に大変でした。実証実験に参加していただける生産者や小売業を見つけること、この事業の意義を理解していただくことに多くの時間を費やしました。知り合いに頼んで小さな小売店からスタートしていきました。小売りではないのですが、ある歌手の方のディナーショーで提供されるデザートに朝採れフルーツを使っていただいたこともありました。

今後の展望は?

一つ目は取り扱っていただく小売業者を増やしていくこと、二つ目は、今はスーパーなどでイベント的に販売しているのですが、そのイベント回数を増やし日常的に販売していけるようになることを目指しています。そして、最終的には、品物を多く取り扱っていただくことで生産者を応援し、地域創生につなげていきたいと考えています。
品物にはそれぞれブランドがあります。その土地ならではの品物を知っていただき、興味を持っていただき、できれば現地で採れたてを食べてほしいです。本当に味が全く違います!
この産直モデルが生産者の収入向上につながり、地域を盛り上げる一つのツールになれればいいなと思っています。

ANAグループと産直空輸は今後も連携し、地域創生に貢献することを目指します。

SDGs 11番 住み続けられるまちづくりを
SDGs 17番 パートナーシップで目標を達成しよう