[主な生息地]
沖縄(本島、宮古島、
石垣島、西表島など)
鹿児島県・種子島
鹿児島県・トカラ列島
世界中の釣り人を魅了する圧倒的なスピードとパワーの持ち主
インド洋から太平洋のハワイ沖までの温帯域に生息するロウニンアジ。日本でも世界でも、アングラーの間では英名の「ジャイアント・トレバリー」を略した「GT(ジーティー)」が通称だ。大型で肉食のスズキ目アジ科ギンガメアジ属の魚の中でも、最も大きく、力も強く育つことから、沿岸域でねらえるルアーフィッシングの対象魚として、世界中のアングラーから至高のターゲットと認められている。
全長180cm・体重80kgクラスまで育つといわれており、世界の棲息域の中で北端にあたる日本の近海は、実際に釣りあげられるクラスとしては上限に近い全長160cm・体重60kgクラスの大型が充分にねらえる。釣り場となるのは沖縄県の周辺海域、鹿児島県の奄美諸島、トカラ列島などだ。
GTの魅力はなんといってもスピードとパワー。大型の成魚は、和名で〝浪人〟の名が与えられているとおり、単独行動を基本として水深40mほどの層を注意深く回遊しているとされる。しかし、エサとなる魚の存在を水面に見つけると一変、驚異的なスピードで急浮上し、水面を炸裂させる派手なアタックで襲いかかる。ルアーフィッシングではこの習性に対応した、水面をかき乱すポッパーもしくはダイビングミノーを使うか、あるいは深く沈めるジグを使うことが多いが、特に前者ではもともと表層付近にはいない、一匹狼のような厳めしい相手が突如として海面に姿を現わす光景を一度見てしまうと脳裏から消えることがない。そして掛けたあとのファイトも壮絶。ロッドとラインの先にいる怪力の生きものが魚であることを信じられず、そのパワーに圧倒される。
GTの釣りでは、広大な海で点のようなルアーを投げ続けるアングラーの根気、体力、気力、時間、さらに獣のような魚を相手にしてもひるまない高性能なタックルを扱い切るテクニックなど、あらゆる要素が求められる。自分の限界を知ることができるような相手だからこそ、ランディングできたときの喜びは何にも替え難いのだ。
タックル情報 & おすすめフィールド情報
タックル情報
ルアーフィッシングで人気が高いのはGT用のペンシルベイトを使ったキャスティングゲーム。沖縄各地ではエサでねらう陸からの投げ釣りも人気が高い
- ルアーキャスティングゲーム
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ロッドは8フィート(約2.4m)前後のGT専用ロッド。リールはドラグ性能と耐久性の高いスピニングリールで、メインラインはPE4~8号。その先にPE5号なら100~120ポンド、PE6号なら100~140ポンド、PE8号なら120~160ポンドのリーダーを接続する。ルアーはGTに対応したポッパー、ペンシルベイト、ダイビングペンシルなど
- 投げ釣り
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ロッドはタマン用8号などの投げ釣りロッド。リールは投げ釣り用の大型スピニングリール。ラインはPE8号、リーダーはナイロン35号(約120ポンド)、ハリは磯大もの用(タマン用など)の24号、エサはタコやイカを用いる
おすすめのフィールド3選
1. 沖縄(本島、宮古島、石垣島、西表島など)
沖縄では広い海域でGTフィッシングが楽しめる。現地での呼び方は「カマジィー」。シーズンは一年中だがベストは4~8月。各地にルアーのキャスティングゲームを案内するフィッシングサービス(ガイドボート)があるが、地元の釣り人には磯や堤防からエサ(タコ、イカ、カツオの頭などさまざま)でねらう釣りも根強い人気がある
2. 鹿児島県・種子島(たねがしま)
奄美大島、屋久島に次いで鹿児島県で3番目に大きい種子島。島の東南端に位置する種子島宇宙センターが有名だが、10年ほど前から、それまでの棲息域北限とされたトカラ列島よりさらに北のこの地でもGTが釣れることが判明した。鹿児島南埠頭から高速船に乗ればわずか1時間半で行ける
3. 鹿児島県・トカラ列島
世界の中でもGTの生息北限域にあたり、なおかつ大型の魚影が濃いことから海外のアングラーにもその名が知られるGTフィールド。4月から釣れだし10月の初旬頃までがハイシーズン。黒潮の影響をまともに受けることから海の状況がめまぐるしく変わるが、今なお多くのGTファン憧れの地となっている
- このページの情報は2017年6月現在のものです。