春に動きだす魚たち
寒さが厳しい北国で、一年で最も心躍る季節といえば春。それは自然界も同じであり、長い冬が終わると、各地でいっせいに生命が動きだす。北海道東部にあり、豊かな自然環境を誇る釧路川でも、この時期には魚たちが大きく動きだす。
前年の秋に川で生まれたシロザケの稚魚たちは、春を迎えると大群をなして海をめざす。すると、越冬期を脱したアメマスもいっせいに活動を開始する。アメマスは北海道に生息する本州のイワナの近縁種。春のアメマスにとって、シロザケの稚魚は大好物のエサ。シロザケの稚魚の降海行動がピークとなる4~5月ともなれば、川のあちこちで、アメマスが稚魚を追ってしぶきを上げる光景が見られるようになる。
国内最大のカルデラ湖と海をつなぐ
釧路川は国内最大規模のカルデラ湖である屈斜路湖から流れ出す。そこから海まで、本流にダムがなく豊かな森に囲まれていて、今も健全な形で海と繋がっている。下流部には豊かな生態系が残されていることで知られる釧路湿原が広がる。
現在、このような河川は国内にほとんどない。アメマスも上流部と海を自由に往来している。釧路川はカヌーイストにも人気が高く、全国から愛好者が集まる。それはこのような川と海のつながりが保たれているからだ。
釧路川の最下流部は新釧路川と釧路川に分かれる。人間が蛇行する川に手を加えたためだが、現在、春のアメマス釣りの舞台となっているのは新たな流路である新釧路川のほうだ。また、水系内の塘路湖やその周辺も、近年、春のアメマス釣り場として注目されている。ただし、塘路湖については漁協の管理区域内での釣りには遊漁券の購入が必要になる。
最下流部といえる新釧路川の釣り場は開けていて、道路からのアクセスも容易なため、初めてであっても気軽にサオをだせる。とはいえ、町中から外れた湿原部、前述の塘路湖の周辺などは原生林の趣であり、釣りを楽しむ際にウエーダーの着用は必要になる。
おすすめは4~5月
春のアメマス釣りの好期は、前述のとおり魚たちが活発に動きだす4~5月といえる。ただ、本物のエサが大量にあるせいか、この時期の釣りは魚の活性が高い割にルアーにはなかなか食いついてこないこともある。一筋縄ではいかない魚を相手に、ルアーのサイズをこまめに変えてみるなどして、じっくりとねらいたい。5月中旬からは、釧路港の周辺で海にいるアメマス(通称海アメ)もねらえる。釧路川にはこのほかに、ヤマメ、ニジマス、数は多くはないものの〝幻の魚〟と称されるイトウも棲む。
なお、釧路川のアメマス釣りは、春のほかに8月頃も人気がある。この時期のアメマスは、春とは逆に秋の産卵に向けて川をソ上している魚たちだ。
この釣り場へのアクセス
釧路空港からレンタカーを利用。釧路市内までおよそ30分。
釣り場情報
<釧路川/アメマス>
シーズン | 4~5月(釧路川、塘路湖)、8~9月(釧路川) |
問合先 | ランカーズクシロ(釧路市/釣具店。TEL:0154-55-2288) ※以下の区域や魚には漁業権が設定されているので注意する。 ①新釧路川のシシャモ ②塘路湖漁協の管轄するシラルトロ沼、塘路湖、エオルト沼、ポント沼、マクントウ沼、サルルト沼および流入河川のワカサギ、コイ、アメマス。 塘路湖漁協の日釣券1000円を購入すれば釣りは可能。 塘路湖漁協(http://www.pref.hokkaido.lg.jp/sr/ske/osazu/oz06gok/gok078.htm) |
- 釣り場情報は2017年2月現在のものです。