岩場に潜む美味魚たち
宮城県石巻市に属し三陸海岸の南端に位置する牡鹿半島。その先端付近に浮かぶ田代島は、周囲約12km、人口100人ほどの小さな島だが、釣り人にとっては大きな魅力を秘めている。仙台や石巻の釣り人には昔から知られた釣り場だったが、全国に知られるようになったのはここ10年ほど。海で楽しむルアーフィッシングが盛んになってからである。
田代島にはアイナメ、ベッコウゾイ、クロソイ、メバル、クロダイといった、岸近くの磯場に生息する根魚(ロックフィッシュ)といわれる魚が多くいる。いずれもルアーによく反応し、特に大型になるアイナメやソイは人気の対象魚だ。力が強いので掛けるとよく引き、また、全体に食べても美味しい。
東日本大震災以降は、一時期的に釣りを控えるムードもあったが、現在では釣り人の数も戻ってきている。使用するルアーはソフトルアーと呼ばれる柔らかい素材のものが中心。両軸受けタイプのベイトリールに、16~20lbの太いフロロカーボン・ラインを巻き、ヘビーウエイトのシンカーで遠投。オモリが底についたら、誘いを掛けながらリールを巻き、アタリがあったら一気に巻き上げるという豪快な釣りが基本だ。
釣りにそれほど慣れていない人であれば、扱いがより簡単なスピニングリールを持参し、堤防などでメバルやドンコといった魚をねらってみるとよい。
青ものねらいのジギングも面白い!
根魚の釣りで脚光を集めている田代島だが、これからのシーズンに面白いのが船からの青ものねらいだ。ターゲットはヒラマサ、ワラサなどで、釣り方はジギングになる。ジギングとは、ジグと呼ばれる重たいルアーを海中に落とし、派手に上下にシャクって誘う釣りだ。
島内にある民宿「はま屋」ではこのジギングをガイドしてくれる。ロッド、ジグ(ルアー)、ライフジャケットなどのレンタルも行なっているので、お土産を持ち帰るためのクーラーひとつあれば楽しめる。根魚と青ものの欲張り釣行を計画してみるのもよいだろう。
海外からも熱視線
田代島へ向かう船に乗り込むと、これまでなら乗客は釣り人ばかりということもあったが、近年は一般の観光客も増えていて、なかには外国人の姿があることも。実は田代島は「猫の楽園」として、国内外から注目を集めているのだ。
日本国内はもちろん、アメリカのメディアでも取り上げられ、インターネット上の投稿動画サイトなどでもアクセス数はうなぎ登り。田代島で猫が飼われるようになったのは、養蚕が盛んだった頃、天敵のネズミ対策として大切にされるようになったのが始まりだという。地場産業が漁業に変わったあとも漁師たちが可愛がり、のちにネコの仕草によって天候や漁獲を占うようになったとも。島内には猫神社が建てられ、大漁の守護神として「猫神様」が祀られている。
現在も復興の過程にあるこのエリアの応援のためにも、根魚と島猫に癒されてみてはいかがだろう?
この釣り場へのアクセス
仙台空港から仙台東部道路・仙台空港ICに入り、三陸自動車道を経由して石巻河南ICを降りて右折。県道16号を進み、中央3丁目交差点を右折し、北上川沿いを下流へ向かうと網地島ライン駐車場。ここから網地島ラインのフェリーを使って田代島へ。
釣り場情報
〈田代島/根魚、ヒラマサ、ワラサ〉
シーズン | 初夏~初冬 |
問合先 | はま屋(石巻市/旅館・釣り船。http://hamamaru.jimdo.com/) 網地島ライン(田代島へのフェリー。http://ajishimaline.com/index.html) |
- 釣り場情報は2015年7月現在のものです。