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    掲載日:2021.07.30

    山形県・庄内浜。海も川も豊富なアタリ。夢舞台で堪能するアジングとアユ

    天然アユで始める初めての友釣り

    朝は日向荒瀬川で友釣り入門。オトリを操作するイトの張り加減を教えてもらう
    オトリの下に見える野アユ
    オトリの下に見える野アユ。キャッチまでもう少し
    夏のアユ釣りには一度味わうとやめられない興奮がある
    先生がお手本で釣ると次々にアユが流れを割った

    すっかりアジングを堪能した松並さんでしたが、今回の釣りにはもう1つ、初挑戦の楽しみが待っていました。それが川で楽しむアユの友釣りです。
    庄内浜には天然アユの遡上河川がいくつかあります。いずれの川もいわゆる大河川ではなく、どちらかというと小規模な川が多いのですが、川幅が絞られている一方でアユの遡上は安定してあるため、追い気の強い天然アユの痛快なアタリを楽しめます。
    アジングを堪能した翌日、松並さんが待ち合わせたのは、同じく県内の天童市に住む柏倉悠太さんです。柏倉さんは高校生の頃から釣りメーカー主催の競技会にも参加している大のアユ釣り好き。県内の多くの川でアユ釣りが始まる7月1日の解禁直後から、天然アユをねらえる庄内浜にもよく足をのばします。松並さんはまだやったことのなかったアユの友釣りに、柏倉さんのアドバイスで初めて挑戦することにしていました。
    初めに訪れたのは酒田市を流れる日向荒瀬川。アジングをした日向川の支流です。アユの友釣りは、生きたアユをオトリに使うという、他に見られない独特な釣り方をします。春に川に遡上してくるアユの稚魚は、その年の秋の産卵に参加できるよう、初夏から夏にかけて懸命に川に生える苔を食べて成長します。その際、よい苔の生える石にナワバリを持つのですが、そこに他のアユが侵入してくると体当たりで追い払おうとします。この習性利用するのがアユの友釣りです。
    掛けバリを取り付けたオトリアユに野アユが掛かると、イトに付けた目印が「ギューン」と川面を勢いよく走り、まもなく魚の暴れる強い手応えがサオをとおして伝わってきます。友釣り用のサオは9m近くあるので、最初はその取り扱いも大変ですが、上手く野アユをキャッチできると、その魚体からは「香魚」という別名の由来になっている爽やかな甘い香りが漂います。夏の日差しを受けて輝くアユの姿を見たら、この魚が「清流の女王」と呼ばれる理由がよく分かります。

    名湯あつみ温泉の街中を流れる温海川
    教わったとおりに丁寧にオトリアユを泳がせ、イトの目印が走る時を待つ
    甘い香りから「香魚」と称されるアユは夏の宝石

    柏倉さんに友釣りの基本動作を一通り教わった松並さんは、午前中のうちに足場もよく周囲も開けていた日向荒瀬川で見事に人生初めての天然アユをキャッチ。「もう一人でも始められますね」と太鼓判を押してもらい、午後からは天然アユの遡上する小河川が複数集まっている鶴岡市の温海(あつみ)方面へ行ってみることにしました。
    温海川は、海から少し入ったところに松尾芭蕉、与謝野晶子、横光利一といった文人墨客も愛した「あつみ温泉」のある川で、近くには庄内小国川、鼠ヶ関川といった他の天然アユ釣り河川もあります。川に架かる橋の上から石の周辺を見ていると、「ギラッ」と体を反転させて苔を食むアユの姿が見えました。最初は上空が開けて釣りやすい温泉街のど真ん中、その後は少し下って、河畔林の中を縫う小さな流れで習ったばかりの友釣りをやってみます。
    柏倉さんから教わった、張らず緩めずのイトの加減でオトリを泳がせる松並さん。筋がよいようで、初めは少々のぎこちなさもありましたが、長いサオの構えも背筋がスッと伸びて余裕が出てきました。するとアユの好みそうな石の近くにオトリが差し掛かったところで、目印が〝ビュン〟と飛びます。元気な天然アユならではの目の覚めるようなアタリです。
    サオを落ち着いて立て、流れの中からオトリと野アユの2尾を同時に引き抜くタイミングを計ります。最後は元気なアユが無事タモに収まりました。
    「海だけでもやりきれないほどの釣りがあるのに、アユもこんなに楽しいと知ってしまって困りました」と松並さん。夕方は温海川の河口でアジが釣れるのかも気になっているようです。庄内浜の豊かな釣り環境では、体がいくつあっても足りません。旅するもよし、釣りケーションするもよし。日本海に面した夢舞台は、多くの釣り人を受け入れてくれる可能性にあふれています。

    釣り場情報

    釣り場へのアクセス

    おいしい庄内空港からレンタカーを利用。空港から各釣り場へは日本海東北自動車や国道利用でいずれも1時間ほどで行ける。

    海釣り情報

    庄内浜の各エリアでは、アジングのほかにシーバス釣り、クロダイ釣り、シロギス釣り、根魚釣りなど各種の釣りが楽しめる。最新の釣果情報や必要な道具の購入は市内の釣具店が便利。
    上州屋酒田店(酒田市)
    フィッシュオン北港・根上釣具店(酒田市)
    上州屋鶴岡店(鶴岡市)

    川釣り情報

    アユ釣りは釣り場を管轄する漁協ごとに遊漁券(日釣券)の購入が必要。解禁日は漁協により異なる。また、庄内浜エリアでは、今回登場しなかった他の河川でも、状況により楽しいアユの友釣りができる。

    酒田市

    日向荒瀬川(7月1日~)
    管轄:日向荒瀬漁協(TEL:0234-61-1235) 日釣券:2,300円

    庄内町

    立谷沢川(7月1日~)
    管轄:最上川第八漁協(TEL:0234-57-2480) 日釣券:5,000円

    鶴岡市

    温海川・鼠ヶ関川・庄内小国川(7月1日~)
    管轄:温海町内水面漁協 (TEL:0235-44-3236) 日釣券:2,400円(午後からの半日券は半額)
    五十川(7月15日~)
    管轄:山戸漁協(TEL:0235-45-2606) 日釣券:1,500円

    • 価格はすべて税込です
    • 記載の内容は2021年7月現在の情報です。変更となる場合があるのでご注意ください。

    フォトグラファー:浦 壮一郎

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