悠久の時を超えて佇む日本の心
世界中からの旅人を魅了する日本の風景。日本史の教科書やガイドブックでしか見たことがなかったからと、大人になって改めて足を運びたくなった人もいるのではないでしょうか。とくに日本の世界遺産には、日本人の心の奥底へ感動や癒しをあたえるスポットがたくさんあります。画像や映像では伝えきれないのは、幾千年の時を越えて佇む自然や建造物のスケールや、土地に吹く風の香り。その場所へ足を運べば、五感の一つ一つを研ぎ澄ませて感じることができるはずです。
手つかずの森が癒しと感動をあたえる「自然遺産を歩く旅」
白神山地は、屋久島とともに日本で初めて登録された世界自然遺産。原生のブナ林を歩き、十二湖を巡るトレッキングでは、どこまでも透き通る湖水に青いインクを垂らしたような青池が旅人を出迎えます。太陽の傾きとともに色や輝きを変える水面を見ていると、心にぼんやりとかかった霧が晴れていくような、穏やかな爽快感を味わえます。
そして、大自然を歩き疲れた身体を癒すのは「不老ふ死」と名のつく絶景の露天風呂。大地から湧き出る温泉に浸かれば、お疲れ気味の身体も魂から若返るような気分になれます。
屋久島では、文明が始まる遥か昔、数千年前からそこで森を見守り続けてきた屋久杉や、樹齢1000年を超える縄文杉を訪ね、ジブリ映画のワンシーンに入り込んだかのような神秘的な「苔むす森」を歩く旅はいかがでしょう。
古代から人類や動植物ともに歩み続けてきた森の中で、シーンとした空気に包まれながら目を閉じてみてください。歩き疲れて足が棒になっていても、不思議とまた一歩を踏み出せるパワーがみなぎってくるのがわかります。
先人たちへ思いを馳せる「文化遺産を巡る旅」
紀伊山地の霊場と参詣道として登録された紀伊の文化遺産は、その高く険しい山に神々が宿る聖域と考えられてきました。
熊野三山へ続く熊野古道を歩き、さらに伊勢神宮まで足を延ばして参拝すれば、江戸時代には「一生に一度の旅」として人々を駆り立てたお伊勢参りへの道中がどれほど厳しかったのか、思いを巡らせることができるはずです。
琉球王国のグスク及び関連遺産群として登録される沖縄の古城巡りも、世界遺産を感じる旅の一つです。独立国家であった琉球王朝時代に繁栄を極めたグスク跡からは、水平線に太陽が沈む夕刻、ゆっくりと空色から橙色、そして漆黒へと変わっていく空と海を眺めるのはいかがでしょう。
大海原へ開け放った窓から、ゆっくりと夕闇が迫り来る時間帯には、美しい自然と琉球文化を守るために戦い続けた先人たちと同じ空気を感じられるはずです。
日本の魅力を再確認する旅へ
世界遺産だけでなく、どこまでも透き通った海、四季の移ろいとともに装いを変える大自然、大地の恵みである温泉を、ハイクオリティな宿へ滞在して楽しむのも、世界中の旅人から愛される「日本列島」の味わい方です。
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