自然の恵みあふれる福島の温泉
福島県は、温泉地の数全国第4位を誇る温泉王国です。中央を奥羽山脈、東に阿武隈山脈、西に越後山脈が走り、その複雑な地形ゆえ、地域ごとに温泉地の特徴もさまざまです。
情緒たっぷりな魅力ある温泉地が多すぎて、どこへ行こうかいつも迷ってしまうのですが、どの温泉に行っても、気がつくと湯船につかり深く深呼吸をしている自分がいます。福島の自然の恵みがたっぷりと注がれたお湯には、きっと人を癒してくれる力があふれているのでしょう。
そんな福島の代表的な温泉地を、エリアごとにご紹介いたします。
会津エリア:情趣あふれるすべすべ湯
会津の奥座敷という名が表すように、東山温泉は、豊かな自然に囲まれつつも、会津若松駅から車で10分ほどという地の利に恵まれています。
風情あふれる旅館が軒を連ねる東山温泉に対して、かつて幻の温泉郷と呼ばれた芦ノ牧温泉は、自然の懐深く、息を呑むような渓谷美に佇んでいます。
泉質はいずれもカルシウム、ナトリウム-硫酸塩・塩化物泉。お湯はさらさらしつつ、適度なぬめりもあって、湯上がりのお肌はまるで化粧水で整えたかのようにすべすべに。自分自身の肌をなでながら、思わずにっこりと微笑んでしまうのです。
中通りエリア:自然の鼓動が脈打つ湯
野趣あふれる温泉と聞いて連想するのは高湯温泉。7軒の温泉旅館と35の温泉浴槽の全てが、吾妻山から湧き出る硫黄泉の100%源泉掛け流しという贅沢さです。「一切の鳴り物無し」というしきたりを守り、歓楽街を持たない高湯温泉では、ただひたすら極上泉質の湯に浸かり、体が少しずつ力を取り戻すのを実感することができます。
吾妻連峰西麓の山あいにある土湯温泉は、同じ地域に炭酸水素塩水や単純硫黄泉など、10種類以上の泉質があるバラエティの豊かさが特徴です。泉質の違いを楽しみながら、足湯や日帰り温泉を梯子するのが、いつもの土湯温泉の過ごし方。文字通り、温泉三昧を堪能できる場所なのです。
一方、安達太良山の中腹には岳温泉が控えています。殺菌効果の高い酸性の湯には、お肌の古い角質を落とす効果もあると聞けば、入らないわけにはいきません。普段は透明なお湯ですが、湯桶に付着した湯花を流し落とす「ミルキーデイ」だけは、浴槽が乳白色に覆われるそう。公式SNSを定期的にチェックして、いつかきっと湯の花に覆われた真っ白なお湯に身を沈めてみたいと、その日を心待ちにしています。
浜通りエリア:効能豊かなパワー湯
いわき湯本温泉は、江戸から陸前に至る浜街道沿い唯一の温泉地として、江戸時代から賑わいを見せていました。
地下からくみ上げられる含硫黄-ナトリウム-塩化物・硫酸塩泉の湯は、湯船に到達する際にも50度の高温を保っているのだとか。「美人の湯(美肌作用・解毒作用)」「心臓の湯(血圧を下げる)」「熱の湯(保湿効果)」をはじめとするさまざまな効能を持っています。
多彩な効能をうたうだけあって、いわき湯本温泉のほとんどの施設には、バルネオセラピスト(温泉保養士)の有資格者が控えています。温泉医学や予防医学に基づいて、温泉地での健康的な過ごし方について教えてもらうことも。いにしえから日本人の元気を支えてきた温泉のパワーを感じ、なにやら尊い気持ちになるのです。
多彩な表情に恵まれた福島の温泉。どの温泉もそれぞれの魅力に溢れているから、二度三度と足を運びたくなるのです。あなたはどの温泉へ旅しますか?
- 記載の内容は2021年8月現在の情報です。変更となる場合があるのでご注意ください。
メインビジュアル:吾妻山の裾野に位置する高湯温泉は効能豊かなにごり湯。温泉天国・福島を代表する名湯のひとつ