清流に棲む愛らしい魚
カジカは水のきれいな河川の中・上流域に棲む魚です。川底にある石と石との間の穴に潜んでいて、水生昆虫や甲殻類、小魚などを食べて暮らしています。見た目はずんぐりとしていますが、どこか愛嬌のある顔をしており、実は川魚の中でも屈指の旨味を持つ魚で、空揚げや塩焼きなどで美味しく食べることができます。
カジカは「見釣り」で狙います。川に浸かり、箱メガネを使って水中を覗きながら、カジカの潜んでいそうな石と石の隙間に短いサオを突っ込んで釣るのですが、こんな釣り方をする魚は他にいません。
水中を見ながら釣るので、エサを食う瞬間が見えるのが醍醐味です。シーズンは初夏から秋。水遊びをしながら釣りをしているような感覚で、お子様と一緒に楽しめます。なお、カジカは場所によっては保護されており、川や地域ごとに釣りができる時期が異なっていることは覚えておいてください。
カジカ釣りの盛んな土地
栃木県の那須塩原市を流れる那珂川支流の箒川は、カジカ釣りの盛んな地域の1つです。
関谷地区にある堰場橋から上流約1kmの区間は、川底にサッカーボール大の石が沈んでおり、絶好のカジカ釣り場となっています。
釣りができるのは、例年6月1日~10月31日で、それ以外の期間は保護のための禁漁期となっています。このほか、関谷地区の上流にある塩原地区は、例年9月1日~9月19日に限ってカジカ釣りが解禁されています。期間は非常に短いですが、カジカの魚影は非常に濃いので、タイミングが合えばぜひサオを出してみるとよいでしょう。近くには那須塩原温泉郷があり、釣りの帰りに温泉を楽しむこともできます。
コンパクトで独特な道具
カジカ釣りに必要な道具は、地域の大型釣店で入手するのが確実です。栃木県はカジカ釣りの人気が高いので、あらかじめ電話などで問い合わせ、カジカ釣り用品を取り扱っているか確認するとよいでしょう。
箱メガネはカジカの潜んでいそうな石の隙間を探すのに必須のアイテムです。また、箱メガネはエサ箱を入れたり、釣りあげたカジカがハリから外れてしまいそうな時にタモ代わりにするのにも便利です。
サオはいわゆる金魚ザオや、渓流ザオの穂先部分を使います。流れの強い場所を釣ることもよくあるので、軟らかいものは適しておらず、硬めのものを選びます。そして上述のとおり、穂先にはあらかじめ自動ハリス止メを付けておき、ハリス付きのハリをセットできるようにしておきます。ハリスの長さは5~10cmの短めにします。長くすると川の流れにエサがあおられてしまい、狙った穴に上手く入れられないためです。なお、ハリはカジカバリの5~6号を使い、エサはイクラを使います。あとは釣ったカジカをキープしておくビクや引き船を用意しておきます。
童心に返って水辺に遊ぶ
カジカは川の中でも膝丈くらいまでの深さの場所にいます。その中で大小問わず、石がゴロゴロと連なっているところを探します。カジカはそのような「流れのよく通る石と石の間にできた隙間」に身を隠してエサを待っています。
ハリにイクラを刺したら、カジカがいそうな隙間にサオの先を入れて反応を見ていきます。いればすぐに食べてくる魚なので、アタリがなければ次々に「怪しい穴」をチェックしていくほうが釣果が伸びます。
カジカが食い付くと、穴の奥に仕掛けが入っていてもブルブルッという手応えで分かります。また、割れたイクラの白っぽい液が水中に広がるので、目で見てわかることもよくあります。いずれにしても反応があったら、穴からスッとサオ先を引き抜きましょう。「ここにはいるかな?」と期待した穴に仕掛けを入れて反応があった時は、「やった~!」と思わず声を上げたくなるのがカジカ釣りです。
童心に返って水遊び感覚で楽しめるカジカ釣り。ぜひ体験してみてださい。
- 記載の内容は2021年8月現在の情報です。変更となる場合があるのでご注意ください。