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    掲載日:2021.10.20

    ホテルステイそのものが観光に。週末に行きたい最旬ホテル4選

    近年ホテルの在り方が変化してきています。ホテル内でアート鑑賞ができたり、最新家具に囲まれながら友人同士で料理を楽しんだり、敷地内にある畑で野菜を採って食べたりなど…。観光後の寝床としてではなく、ホテルに泊まることそのものが観光になるような、そんな魅力的な施設が増えています。今回はその中から、関東近郊の最旬ホテル4箇所をご紹介します。

    【群馬県】白井屋ホテル

    国道50号に面する真っ白なコンクリートの外壁を飾るのは、ローレンス・ウィナーのタイポグラフィ

    2020年冬に開業したアートホテル「白井屋ホテル」。前身の旅館「白井屋」が誕生したのは、江戸時代のこと。明治時代以降、群馬県・前橋は生糸産業で隆盛、ホテルが位置する国道50号沿いの道には銀行が立ち並び、近代化した町には多くの人が行き交っていたといいます。旅館には森 鴎外をはじめとした偉人も多く訪ね、歴史のある宿として300年以上営業を続けました。昭和に入ると、ビジネスホテルが台頭。時流に合わせて木造だった旅館を改装し、鉄筋コンクリート造に姿を変えましたが、向かい風は厳しく廃業への道を辿ります。ほぼ廃墟となったこの旅館に手を差し伸べたのが、アイウエアブランド「JINS」を展開する地元出身の起業家、田中仁氏(ジンズホールディングス代表取締役CEO)でした。

    フロントに杉本博司氏の「海景」シリーズ。群馬に海がないため《ガリラヤ湖、ゴラン》をセレクト
    夜は光を放ち幻想的な雰囲気をまとう《Lighting Pipes》。奥には安東陽子氏のタペストリーが天井から掛かる

    田中オーナーのもとに集まった、現代を代表する世界中のアーティスト、デザイナーたち。「白井屋ホテル」の骨格は、そんなアーティストたちとの交流から生まれました。改築の依頼を受けた建築家・藤本壮介は、旅館の歴史を継承しようと、鉄筋コンクリート造を残したまま、眩い光が館内に降り注ぐような大胆な吹き抜け構造へと建物を変身させます。金沢21世紀美術館の《スイミング・プール》でよく知られる現代美術家、レアンドロ・エルリッヒ氏も来訪し、建物内に血管を張り巡らせたかのような、光を放つ配管《Lighting Pipes》をこの場所のために制作。建物の壁面に飾られた現代美術家、ローレンス・ウィナー氏の作品は、前橋を象徴する空風と川から着想を得たタイポグラフィです。構想の段階ではアートホテルとするつもりはなく、ホテルをつくっていく過程で制作されていった作品群を見て「このホテルには“本物”を置いていこう」と目指すべき方向が定まっていったのだそうです。

    ホテルを回遊するように作られた螺旋階段と廊下。歩くにつれ景色が移ろう
    階段奥には前橋に拠点を構える作家・白川昌生氏の作品《円環ー世界「生成するものⅠ」》が

    館内を歩くだけでも美術館を訪れたかのようなアート体験が叶うのですが、客室内にはさらにアートを一晩独り占めできる仕掛けが施されています。全部で25室ある客室は、ひとつとして同じ空間がありません。一部屋ごとに異なる作家、テーマのアート作品が飾られているからです。

    廣瀬智央氏の作品が飾られたヘリテージタワーデラックスルーム1泊1名2万7,830円~(税込)、定員2名
    レアンドロ・エルリッヒ氏が手掛けたスペシャルルーム。1泊1名3万6,300円~(税込)、定員2名

    特に注目は、プロダクトデザイナーのジャスパー・モリソン氏やイタリア建築の巨匠ミケーレ・デ・ルッキ氏、藤本壮介氏、レアンドロ・エルリッヒ氏らそれぞれが泊まってみたい部屋を思い描き、自由にインテリアや設計を手掛けたスペシャルルーム。足を踏み入れた瞬間に、まるで彼らの思考の中にお邪魔したかのような、不思議な感覚を覚えます。こだわりを持って置かれた一つひとつのアイテムにも目を奪われるはず。ここでしか体感することができない、洗練された美しさの中で、非日常的な時間を過ごしてみてください。

    ミケーレ・デ・ルッキ氏のスペシャルルーム。1泊1名4万8,400円~(税込)、定員2名
    部屋の壁を囲う約3,000枚の木片。仄かな光が落ち着いた空間を生んでいる

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