「WA+YO SHOP」でも人気のストール
藍白(あいじろ)、浅葱(あさぎ)、錆鼠(さびねず)、留紺(とめこん)…。難しい漢字が並びますが、これらはすべて藍色の名称というのをご存じでしたか? 藍は染める過程で色が微妙に変化していくそうで、染め始めのとても薄い藍白からこれ以上濃く染まらない留紺まで、48の階調に色が分類され、それぞれに名前が付けられています。
2021年7月からANAのオンラインショップ「WA+YO SHOP」で取り扱いが始まった「インディゴ気仙沼」の商品も、そうした藍(インディゴ)染めの豊かな色合いが魅力です。なかでも男女兼用のボタニカルストールは、鮮やかさが印象的なターコイズから夕暮れのほの暗い空にも似た特濃色まで4色ラインアップされており、好みの色を選ぶ楽しさも相まってか、「WA+YO SHOP」のファッション小物カテゴリーでは早くも人気商品になっています。
抗菌性などの効果がある天然インディゴ
モダンにリデザインされた和食器や使いやすさを追求したキッチン用品など、伝統の枠には収まらない、日常に寄り添った日本の逸品を届けている「WA+YO SHOP」で、なぜ「インディゴ気仙沼」の商品を取り扱うことになったのでしょうか。「WA+YO SHOP」を運営する株式会社ACDの担当者にうかがったところ、意外なことに「インディゴ気仙沼」からの問い合わせがきっかけでした。
「WA+YO SHOP」では以前からギフトに向いた商品を探していたということもあり、出産祝いセットや子供向けのベビー甚平、男女兼用のボタニカルストールなど、ギフトとしても魅力的な商品をラインアップする「インディゴ気仙沼」は、まさに理想的なブランドでした。しかも、染料には抗菌性や保温性、防臭性、UVカット効果など、肌を守る効果があるといわれる、天然インディゴが使用されていることも決め手だったそうです。
そしてもう一つ、「WA+YO SHOP」を通じて「インディゴ気仙沼」の商品をより多くの人に届けることで、東日本大震災で大きな被害を受けた気仙沼を応援したい、という思いもありました。
幻の染料と言われるパステルの栽培に成功
「インディゴ気仙沼」は、港町の気仙沼で女性が働ける職場を作ろうと、2015年にスタートした工房です。そのため、製品の作り手は現役の主婦たちが中心。藍を育てることから手間暇かけて生み出される製品は、彼女たちの感性とその高いクオリティで、次第に注目されるようになります。さらに、気仙沼のテロワールを生かした製品作りを目指して、幻の青色染料植物と言われているパステルの自社栽培にも挑戦します。
南フランスのトゥールーズで誕生したパステルは、16世紀のヨーロッパで隆盛を極めた染料です。しかし近代に入ってからは、インド藍や手軽な人工染料に押され、栽培はもちろん染色方法も途絶えていました。そんなパステルの復活に「インディゴ気仙沼」は見事に成功。現在のところ、パステル栽培に成功しているのは「インディゴ気仙沼」を含め世界でもわずかしかないそうです。
布を美しく染める染料として、そして薬草としても古くから日本の文化に浸透していた藍。冒頭でも触れましたが、微妙な色味の違いに名前を付けられていることからも、日本人が藍に親しみ、大切にしていたことがうかがえます。
人工の染料が主流になっている今、幻のパステルをはじめ天然の染料にこだわる「インディゴ気仙沼」。現役の主婦たちが一枚一枚、丁寧に染め上げる美しい“気仙沼ブルー”の魅力もさることながら、豊かな藍文化を気仙沼の新しいカルチャーとして紡いでいくブランドとしても注目です。