
離島ならではの絶景、歴史や文化を体験できる
「島」この言葉から旅情を掻き立てられる人は多いのではないでしょうか。地理的な特異性がもたらす島ならではの景色や、本土から離れているからこそ残された歴史や文化、人々の暮らしは、まるで海外を旅しているかのような非日常を感じることができ、旅の好奇心を刺激してくれるでしょう。
日本には6,800あまりの島があると言われています。その中で有人島は300島ほど(*1)。なかでも九州地方は構成島数2,160と、本州(3,194)に次ぐ島の多さです。今回はコードシェア開始でより身近になった、九州の天草(熊本県)、五島列島(長崎県)、与論島(鹿児島県)の魅力とおすすめの過ごし方をお伝えします。
- 1.公益財団法人日本離島センター調べ
【天草】諸島の絶景を巡る1dayドライブ

まずは熊本県の天草です。天草は一年中楽しむことができるイルカウォッチング、南蛮文化やキリシタンの歴史を今に伝える地域があるなど、自然と文化に恵まれた島。
天草へは天草エアラインを利用して福岡、熊本から行くことができます。空港を飛び立ったのも束の間。飛行機の窓から美しい島々が間近に見えてきます。あっという間のフライトです。天草空港は天草諸島の中心部に位置する天草下島の高台にあります。天気の良い日には島原半島、天草上島や湯島市内を一望することができます。ATR42-600の機体には親子イルカをイメージしたペイントが施され、親イルカには「みぞか」(天草弁でかわいいという意味)と両エンジンの子イルカには、「かいくん」「はるちゃん」と名前がついています。(別の塗装の機体での運航となる場合もあります)

天草を訪れたら、レンタカーを借りてドライブがおすすめ。天草は島をぐるりと囲うように主要道路が走っているので、さまざまな海の景色のバリエーションを楽しむことができます。お腹が空いたら島ならではの魚介類をぜひ。豊かな海を有する天草はウニの宝庫。春はムラサキウニ、夏は赤ウニ、秋から冬はガンガゼウニと、1年を通してウニが味わえます。なかでも春は漁師さんが素潜りで捕る貴重な「天草の生ウニ(黒紫ウニ)」のシーズンです。天草近海の栄養たっぷりのかじめ(海藻)を食べたウニは、一般的なムラサキウニより色が黒く、粒が大きく、味が濃厚です。天草宿泊施設や飲食店では、ウニや伊勢海老・車エビ・天草大王(地鶏)など地元食材を使った食のフェアも季節ごとに行われています。
島独自の文化を巡る旅も天草では外せない選択です。天草空港から車で南下すること1時間弱。羊角湾(ようかくわん)に面した地域が天草市河浦町にある「﨑津集落」です。ここは17世紀から2世紀以上にわたるキリスト教禁教政策の下で仏教、神道と共存しながらキリスト教の信仰を続けた集落。ユネスコ世界文化遺産に『長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産』(2018年)構成資産の1つとして認定されています。

﨑津集落から389号線を北に車を走らせると海が見えてきます。白鶴浜海水浴場、鬼海ヶ浦展望所、富岡城跡と天草の絶景ポイントが目白押し。一日中運転しても飽きない、絶景と文化に接することができるのが天草の魅力の1つです。
【五島列島】潜伏キリシタンの教会を巡る

九州最西端に浮かぶ大小約150の島々からなる五島列島。五島列島は大きく上五島、下五島、宇久島、小値賀島の4つのエリアに分かれ、福江島、久賀島(ひさかじま)、奈留島(なるしま)を下五島と呼びます。福江空港(五島つばき空港)には福岡空港、長崎空港からコードシェア便・オリエンタルエアブリッジ(ORC)が就航しています。

五島列島の魅力といえば、美しい教会群でしょう。五島列島には潜伏キリシタンの歴史が息づく教会堂が点在しています。「久賀島の集落」と「奈留島の江上集落(江上天主堂とその周辺)」は、世界文化遺産に登録された「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産の1つです。
福江港ターミナルからフェリーで30分ほどの船旅。奈留港から車で15分ほどの距離に江上天主堂 (えがみてんしゅどう)があります。こちらの教会は世界文化遺産「奈留島の江上集落」構成資産、そして国指定重要文化財に登録されています。この小さな教会が誕生したのは20世紀初頭のこと。信徒たちが漁業で得た資金で建てたと伝えられています。自然と調和した美しい教会が完成したとき、信徒の皆さんは、さぞ喜ばれたことでしょう。事前連絡をすれば教会内部の見学もでき(外観見学は許可はいりません)、100年以上の歴史のある神聖な祈りの場所を体験することができます。扉、窓、外壁、階段、柱を見ているだけで時間が過ぎていきます。特に建築やデザイン、美術に興味がある方には五島列島の滞在は印象深い思い出になるでしょう。
教会見学のお問合せ:長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産インフォメーションセンター
〒850-0862 長崎県長崎市出島町1-1-205(出島ワーフ2F)
TEL:095-823-7650 FAX:095-895-9690
対応時間:9:30~17:30
そして忘れてはいけないのが、五島列島の島グルメ。五島うどん、魚介、五島牛と名物はたくさんありますが、一度食べていただきたいのが耳馴染みのない料理「かっとっぽ」。ハコフグのお腹に身と味噌、生姜、ネギなどの練り味噌を入れて焼く郷土料理で、ご飯にもお酒にも合う実力派です。
