ESG評価機関との対話
2022年度の主な活動
ESG評価機関との対話
ANAグループは、2022年、海外6団体のESG評価機関や有識者の皆様とANAグループのESG経営の進捗について意見交換を行いました。

テーマ:ANAグループのESG経営の進捗について
日程:2022年11月-12月
有識者
- BHRRC
Phil Bloomer, Executive Director - World Benchmarking Alliance
Namit Agarwal, Social Transformation Lead
Talya Swissa, Engagement Manager
Sofia del Valle, Engagement Manager Social Transformation - UBS
Antonia Sariyska, Global Wealth management CIO Sustainable Investing Analyst, Director
Eileen Tian, Global Wealth Management APAC CH Desk North Asia GTP
Makiko Tanaka, Global Wealth Management APAC CH Desk North Asia Client Advisor, Associate Directo - Church Commissioners for England
Dan Neale, Responsible Investment Social Themes Lead
Olga Hancock, Deputy Head of Responsible Investment
Isobel Mitchell - Federated Hermes
Haonan Wu, Engagement, EOS at Federated Hermes
Shoa Hirosato, Engagement EOS at Federated Hermes - EIRIS Foundation
Peter Webster, CEO
全体コーディネート
経済人コー円卓会議日本委員会
石田 寛氏(事務局長)
ANAホールディングス株式会社
宮田 千夏子(上席執行役員 サステナビリティ推進部長)
有識者からの主なご意見
ESG全般について
- 企業のESG評価を行う軸は、より経営戦略に直結し、かつ社会に及ぼす負の影響を解決していくうえでガバナンス体制が有効に機能しているかを問う形へ、と変化してきている。不確実で不透明な時代においても、企業の持続可能性を高めていけるような体質(経営層による意思決定の仕組み)を構築できているかに注目している。
- グリーンウォッシュ等を厳しく排除する動きがある。情報開示においては、高レベルでの透明性の担保、サプライチェーンまで包含したマネジメント体制の開示が求められる。
環境について
- 航空業界では、CO2排出削減が最も優先順位が高いテーマ。容易に解決できる課題ではないが、解決に向けてリーディングポジションをとっていく旨を明示することで他社との差別化手段となる。経営(成長)戦略と紐付けた明確な2030年や2050年までの削減のロードマップ(個社レベルと業界・国レベルでの対応)を開示し、投資家に説明していくことが重要。その際には、短期は定量目標を示し、長期は定性的な文言で説明(ストーリーを開示)することでも良い。
- SAFにかかわる世論形成、政府への働きかけ、競合他社等のアクターを率先して巻き込んでいく等のリーダーシップが求められる。
- CO2削減のために、クレジットを利用していく必要があることは理解している。但し、その際には、安いクレジットの信頼性を見極められる専門人材の配置が必要。信頼性の担保を得るため、直接現場をサンプリング確認することも重要。
- トランジション戦略において、クレジットには依存せず、ネガティブエミッション技術を活用していく旨を表明している点に対し、高く評価をしている。特に、DAC(ダイレクトエアキャプチャー)1のような技術には高い関心を寄せている。
- パリ協定とICAOとの関係性について説明する際に、SBTは有効。
生物多様性について
- 生物多様性の指標化については、EUでもまだ手探りの状態である。今後1から2年の年月を要するものと考えている。ただ、森林破壊に関しては、英国政府を中心に真摯に取り組む姿勢を示しているので、アセットマネジメントでも各企業の取り組みについて厳格に評価する動きが顕著になるだろう。
人的資本・人権について
- 国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づいて人権課題を特定し、是正処置を適切に実施しているANAに高い関心を寄せている。サプライチェーンマネジメントの強化(現場労働者との直接対話、苦情や懸念の受け入れ、経営層を巻き込んだ意思決定等)に引き続き注目しており、強制労働・労働時間・生活賃金がセクターを超えたサプライチェーン共通のリスク。
- 長期ビジョンや経営戦略の実現に資する人的資本経営・人財戦略に注目しており、その面のKPIの設定・開示に期待している。