ESG評価機関との対話
2023年度の主な活動
ESG評価機関との対話
ANAグループは、2023年、海外6団体のESG評価機関や有識者の皆様とANAグループのESG経営の進捗について意見交換を行いました。

テーマ:ANAグループのESG経営の進捗について
日程:2023年11月-12月
有識者
- UBS
Antonia Sariyska ,UBS CIO Sustainable Investing Analysit, Executive Director
Mineko Ikehashi, Senior Client Advisor, Executive Director - Church Commissioners for England
Daniel Neale, Responsible
Angus Sargent - EIRIS Foundation
Peter Webster, CEO of EIRIS Foundation - Amundi Asset Management
Patrick Haustant, ESG Analyst - HSBC
Sachi Suzuki, HSBC, Investment Stewardship - Federated Hermes
Haonan Wu, Manager - Engagement - Federated Hermes Limited.
全体コーディネート
経済人コー円卓会議日本委員会
石田 寛氏(事務局長)
ANAホールディングス株式会社
宮田 千夏子(上席執行役員 サステナビリティ推進部長)
有識者からの主なご意見
ESG全般について
- 今後ANAホールディングス株式会社には、社会動向の変化(ボラティリティ)を適切に対応した形で、レジリエンスな企業体質であることをストーリー仕立てで情報開示することを期待している。
- 評価機関から企業に対する情報開示の在り方がより厳しくなってきており、社会の動向変化に適用した形で、非財務と財務情報を開示することができるか問われてきている。したがって求めるところは Sustainable Balance Sheetであり、利益(Profit)と責任(Duty)とのバランスを維持するためのビジネスモデルを構築することが不可欠である。
- 情報開示については、TCFDとTNFDにSocial(BHR)を加えたガイドラインが策定されている。また、CCEでは、ISSBの動きに注視している。特に、シングルマテリアリティによるファイナンスのリスクアセスメントを行うことが大事である。しかしこれだけでは、インパクトへのアセスメントが欠如しており今後ステークホルダーとのエンゲージメントが求められる。こうした観点で考えると、現時点ではCSRD(ダブルマテリアリティ)の 動きが最も普遍性が高い情報開示手段と言える。
環境について
- パリ協定の1.5℃シナリオに関して、ICAO、WWFなどと連携して対応していること、またCDPについても適切に回答していることに評価をしている。
- 2050年までにネットZEROの実現に向けて、SAF以外にもDirect Air Captureなど様々な取り組みをしていることは評価したい。その中でもオペレーション上でパイロットのグリーンオペレーションに強い関心がある。
- 環境負荷低減に向けて、SAFの調達をESG戦略の中で掲げているが、2030年、2050年に何%調達できるのかなどのターゲット目標を掲げてもらいたい。
- 脱炭素の取り組みに関しては、各航空会社がSAFへの移行計画を示しているが、現時点のSAF供給量は、航空業界の燃料調達の0.24%にしか達していないことを鑑み、2050年のネットZEROの実現を疑問視する声がある。今後こうした声を打ち消すための代替案を含めた取り組み示すことが必要。
人的資本・人権について
- 人的資本(サプライチェーンを含めた人権尊重やリスキリングなど)の取り組みに関心がある。特にANAの外国人労働者(技能実習生)の安全な採用ルートの確保や人権尊重(NINJA)に高い関心を寄せる。特にライツホルダーとのエンゲージメントが大事であることを強調する。
- 深堀重視でライツホルダーとのエンゲージメントを果たそうと努力していることは高く評価したい。その中で、2050年を見据えた社会で求められている企業のあるべき姿に向けて、いかにして定性から定量化したシナリオ分析をストーリー仕立てで描くことができるかどうかを期待したい。