ESG関連投資家との対話
2020年度の主な活動
ESG関連投資家との対話
ANAグループは、ステークホルダーとの対話から社会要請を把握し、経営戦略とすり合わせを行った上で、事業や社会におけるインパクトを評価し、取り組みに反映しています。
今回は、定期的に対話を続けているESG 関連投資家の皆様と、ANAグループのESG経営の進捗とESG投資の最新動向についてオンラインによる意見交換を行いました。
テーマ:ANAグループのESG経営の進捗とESG投資の最新動向について
ご参加いただいた有識者の皆様
日時:2020年12月7日(月)
- EOS at Federated Hermes
鈴木 祥氏(エンゲージメント担当アソシエート・ディレクター)
呉 浩楠氏(エンゲージメント担当アソシエート)
日時:2020年12月14日(月)
- World Benchmarking Alliance
カミーユ・ル・ポルス氏 (Lead, Corporate Human Rights Benchmark)
シャーロット・ハグマン氏 (Research Analyst on the Climate and Energy Transformation)
全体コーディネート
石田 寛氏(経済人コー円卓会議日本委員会事務局長)
ANAホールディングス(株)
伊東 裕(代表取締役 副社長執行役員 サステナビリティ推進 担当)
宮田 千夏子(執行役員 サステナビリティ推進部長)ほか
ANAグループに対するコメント抜粋(EOS at Federated Hermes)
- 日本政府が発表したカーボンニュートラルに関しては、今後この実現に向けて日本企業が政府や業界を巻き込んで働きかけ、挑戦していくことが大事である。
- 外国人労働者に関しては、何か問題が起きた時にきちんと情報を開示してほしい。
- ダイバーシティについては、女性管理職は着実に増えつつあるが、まだ改善の余地があると思っており、継続な活動計画あれば教えてもらいたい。議決権行使をする際に、各企業の女性取締役数についてこれまで以上に厳しい基準で判断していくことになる。
- 株式の持ち合い(保有株)に関する議決権行使に関する方針を策定し、開示して頂きたい。
- 気候変動と生物多様性について、大気汚染以外に我々の生活環境への負の影響が大きくなってきている。例えば、食肉(家畜)に与えている抗生物質が人間にも長期的にみて悪影響を及ぼし得る可能性も否定できなくなってきている。特にコロナの発症であった中国では、動物市場の中で起きたとされる見方もあり、森林破壊を通じて人間と野生動物の接触する機会が増えてきたので、感染者も増加していると考えられる。
ANAグループに対するコメント抜粋(World Benchmarking Alliance)
- Science Based Targetsに関する取り組みに積極的に関わっていくのであれば、Science Based Targetsイニシアティブによるガイダンスを参考にすることが望ましい。WBAの気候とエネルギーベンチマークにも使われているACT(Assessing Low Carbon Transition)イニシアティブは、短期目標としての5年と長期目標の2050年までのマイルストーンを含む目標達成への取り組みを様々な側面から評価する。どのタイミングで技術革新などによって状況が変わるか現時点では把握できないため、5年という時間軸で柔軟に活動計画を見直しつつ、2050年のゴールに向けた着地点を見据えて現実的なグランドデザインを描くことをお勧めする。
- 航空会社は、航空機やそれ以外の車輛などを含め様々な機材や人々が関与している中で、一連のオペレーションが複雑であると認識している。運輸業界においては、企業が車両を所有もしくはリースしているかによるが、Scope1・2・3が最も挑戦すべき課題が大きい。WBAはどこまでのビジネス領域まで包含していくべきかを明記した輸送業界用の新しいACTメソドロジーを策定したので、引き続きディスカッションを継続していきたい。
- デューデリジェンスに関する法規制により規制強化のトレンドは、欧州地域だけではなく今後更に他の地域へと広がってくると思っている。このデューデリジェンスに関して言えば、環境と人権の個別な取り組みではなく、双方を関連付けた形でその企業のビジネスが社会と環境に与える潜在的リスクと負の影響に関して情報開示をすることが求められてくる。
- 苦情処理メカニズムに関して、苦情処理メカニズムが実際にどのように使われているのか情報開示することもよいだろう。(ANAはこれまで苦情を一件も受けていないが、もし苦情申し立てがあれば、提出された苦情件数、解決した苦情件数、提起された問題の傾向に関する情報は興味深いものだろう)。また、これまでに苦情が寄せられていないという(Air Grievance)事実について、これは、潜在的なユーザーがメカニズムを認識していない、その使用方法がわからない、またはそれが苦情を伝えるための適切なプラットフォームであるかわからないということを示している可能性がある。潜在的なユーザーと話し合いの場を設け、そのメカニズムを認識しているかどうか確認すると良い。これは、メカニズム認知の確認だけではなく、メカニズムに対する信頼を高めることもつながるだろう。