水利用の管理
課題認識
地球上の動植物や我々の生活には「水」は不可欠です。一方、世界の各地で湖や河川、湿地、またその流域に広がる森林や草原など、「水」をとりまく自然環境が、大きく劣化、減少しています。主となる要因は農業や工業による過剰な水資源の利用、それに伴う汚染、そして河川改修や大規模なダム建設といった開発などがあります。航空事業が直接起因する活動は少ないですが、ANAグループでは環境方針だけでなく、生物多様性方針、調達方針に基づき、「水」使用量削減に配慮した事業活動を重要と認識しており、使用削減や水質への管理を行う事で水リスク低減へ貢献してまいります。
水資源枯渇による事業リスク
航空輸送事業を中核とするANAグループにとって、水資源の枯渇は事業運営を脅かすものです。機体の整備やエンジン洗浄が適切に行われず、運航上の安全が確保できないことで、ステークホルダーからの信頼を失うことにもなりかねません。また、水資源の枯渇により、陸地では干ばつが発生し、農作物の不作による機内食製造自体にも影響が出る可能性があります。さらに、機内食の管理においても、食材や食品の衛生管理が不十分なため、ステークホルダーからの信頼を失うことになります。さらには、従業員の衛生管理にも影響を及ぼします。
水資源を維持・回復による機会
水使用量の削減は、事業コストの削減につながります。
また、水資源を確保することで、農作物の生育が守られます。それは、機内食サービスにおいて、食材の安定供給に繋がります。一方、水資源の使用によって機体整備の精度維持が可能となり、運航の安全が守られます。その結果、企業はステークホルダーの信頼を得て、収益を向上させることができます。
管理対象
ANAグループの事業所全てにおいて水の使用が発生します。約250拠点を対象に水の管理と削減に取り組んでいます。
各空港施設 | 訓練センター | 整備センター |
各営業支店 | ケータリング工場 | コールセンター |
データセンター | 他 |
水使用量削減にむけた取り組み
ISO14001や省エネ法など各法令や規制に基づき、「エネルギー管理標準」を独自に作成し、水使用量の管理システム「ANA EiiMS」による管理、分析、評価を実施しています。自社施設では機内搭載水の残りや厨房排水処理水(中水)の再利用を実施するなど、水使用量削減につながる取り組みを行っています。機体整備では、洗浄剤の使用量削減(超高圧水でエンジン部品を洗浄)による水使用削減と排水による水質への影響へ配慮しています。
ANAケータリングサービス(株)新しいウィンドウで開く。外部サイトの場合はアクセシビリティガイドラインに対応していない可能性があります。
ANAグループの機内食の製造・調製業務等を担うANAケータリングサービス(株)(ANAC)は、ISO14001を取得し、「エネルギー/水/廃棄物」に関する効率的な管理を実施しています。
ANACの水使用量は、ANAグループの約250拠点ある事業所の中で30%(2023年度実績)を占めており使用削減における取り組みは重要な役割を果たします。
水管理プログラム
- (1) ANA EiiMSによる実績と進捗管理(実態の把握)
- (2) 水使用削減
- 節水バブルの採用
- 日々の使用水量を管理し、機器の効果を測定。その測定結果をもとに洗浄機等の水使用機器の更新・新規導入時に設備更新計画を立てる。
- 工場毎(川崎・成田)に水使用削減の項目を設定。実績管理と分析を実施し次年度の目標設定につなげる。
- (3) 法令など排水基準に沿った排水の実施や除害設備を設置することで排水の質を管理・改善
- 毎月の定期点検による排水の質の評価
- (4) 目標
(1) 、(2)における分析のもと、工場毎の前年実績や経営環境など特性に合わせ、年度の目標を設定 - (5) 水の再利用
- 空調機から出るドレン水を再利用して工場の折半屋根や空調室外機の高温化を予防するため散水を実施。
詳細は
環境教育
ANAグループでは、従業員が、ESG推進の重要性を理解し、お客様応対時において適切なご案内や行動ができるようになることを目的として、環境に関するeラーニングを年に数回実施しています。ANAグループの環境目標やその進捗、取り組みだけでなく、グローバルな視点で学ぶべき最新情報を基に作成された教育プログラムを受講することで社員の環境教育を推進しています。
2023年度教材例)
