リスクマネジメント

安全で安定的な事業運営で企業価値を守ります。

基本的な考え方

ANAグループの事業は航空運送事業を中心に広範囲にわたっているため、経営環境の様々な変化による影響を受ける可能性があります。
ANAグループは、リスク管理と危機対応という2つの視点でリスクマネジメントを実施しています。リスク管理として、定期的に組織内のリスク分析を行い、その評価に基づいて対応を更新する一方で、リスクが顕在化した場合に備えて、危機発生時の基本的な体制と手順を定めて、定期的に訓練を行っています。迅速かつ的確に危機対応することで事業への影響を極小化し、再発を防ぐための仕組みを構築・運用しています。

リスク管理

グループ各社において、自律的なリスクマネジメント(リスクの洗い出し、分析・評価、対策の検討・実施、結果のモニタリング)の仕組みを構築しています。
各組織で洗い出された重要なリスクについては、対策の進捗・効果、達成レベルを確認・評価するとともに、グループ全体で取り組むべきと判断された課題については、グループ総務部が中心となって対策を講じ、その進捗を「グループESG経営推進会議」で確認しています。

トータルリスクマネジメント(TRM)において、個別のリスクマネジメントにおける、「リスク情報抽出」→「リスクアセスメント」→「リスクコントロール(低減/回避/移転/受容)」→「リスクレビュー」というPDCAサイクルのみならず、組織の目的・目標達成の確度を上げるために、これら個別リスクマネジメントを統合的に取り扱い、全組織的・体系的・効果的・効率的・継続的に回すTRMの仕組みに関するPDCAサイクル(=TRMサイクル)を構築する必要がある。 このTRMサイクルでは、「Plan」として経営理念/方針に基づくリスクマネジメント方針を定め、経営目標を達成するための経営計画を立て、経営計画の中で「リスクを何処まで受け入れるのか」を示すリスクアペタイト方針を明確にする。 次に、「Do」として、経営計画の実行と進捗確認の中で予め定めた重要リスク項目を中心に個別のリスクマネジメントを行う。 更に「Check」として、内部監査と外部機関の評価を通じてTRMパフォーマンスの有効性に関する評価を行う。 最後に、「Action」として、「Check」の結果判明したTRMパフォーマンスの脆弱性について改善を行い、次の「Plan」に反映させる。 これらPDCAサイクルは、経営者のリーダーシップの下、役職員への教育およびリスク管理指標を組み込んだインセンティブの導入を伴う「リスク文化」の上に成り立ち、有価証券報告書、統合報告書、株主総会などを通じて顧客、投資家などとコミュニケーションを行う。

リスク顕在化後の危機対応

危機発生時には、正確な情報収集を行い、損害を極小化する対策を実施するとともに、原因を調査究明し、再発の防止を行います。
対応全般については「Crisis Management Manual」に規定しており、危機の内容に応じてレベルを設定し、社内外の関連先と連携しながら迅速に対応にあたります。重大な事象については、社長を本部長とする危機対応本部を立ち上げ、緊急事態に速やかに対応する体制を構築します。
特に航空機の運航に直接影響する危機(事故・ハイジャックなど)への対応については、「Emergency Response Manual(ERM)」にて詳細を定めており、社内外の関連先との連携も想定した、危機対応訓練を実施しています。

リスクマネジメント体制

ANAグループにおけるリスクマネジメントに関する基本事項を規定した「ANAグループ・トータルリスクマネジメント規程」に基づき、「グループESG経営推進会議」にて施策の進捗のモニタリングを行っています。
ESG経営推進(リスクマネジメント推進・情報セキュリティ推進)の最高責任者である、チーフ ESG プロモーションオフィサー(CEPO)のもと、グループ各社おいては、ESGプロモーションオフィサー(EPO)をESG経営推進の責任者、ESGプロモーションリーダー(EPL)をESG経営推進の牽引役として、リスクマネジメント体制を構築しています。サステナビリティに関するリスクについても、トータルリスクマネジメントの仕組みの中で取り扱っています。
EPLはリスク管理(予防対策)を計画的に実施するとともに、危機発生時には事務局と連携しながら迅速に対応にあたる役割を担っています。

グループESG経営推進会議は、ANAグループの重要リスクを特定し施策の進捗のモニタリングを行う。チーフ ESG プロモーションオフィサー(CEPO)はESG経営推進の最高責任者としてリスクマネジメントを統括し、グループ各社のESG経営推進の責任者であるESGプロモーションオフィサー(EPO)、ESG経営推進の牽引役であるESGプロモーションリーダー(EPL)に対して指示/監督を行う。EPOとEPLは、予防対策(リスクの洗い出し、分析・評価、対策の検討・実施、モニタリング)を計画的に実施し、危機発生時には全社リスクを網羅的に把握するグループ総務部リスクマネジメントチームと連携し、危機対応(情報の収集、初期対応の実施、原因の究明、再発防止策の策定)を行い、リスクマネジメント体制を構築している。

チーフ ESG プロモーションオフィサー(CEPO)

種家 純 ANAホールディングス株式会社 取締役執行役員
担当:グループESG経営推進会議 議長、グループリスク&コンプライアンス・グループ法務・グループ総務

長年にわたりマーケティング部門に携わり、グループのダイバーシティ・エクイティ・インクルージョンの浸透・推進に取り組み、国内外のカンファレンス等においてその成果を積極的に発信してきたほか、2024年4月からはESG経営の推進やリスクマネジメントに取り組んでおります。IT・デジタル関連業務については、マーケティングシステム基盤の戦略的強化に向けた取り組みにおいて、同システムの企画・開発・運用の統括を担った実績があります。当社システムの仕組み、情報セキュリティ、潜在リスク及びそのマネジメントについて豊富な知識・経験を有しております。

3つのディフェンスライン

効果的なリスクマネジメントを行うため、以下の図のとおり、3つのディフェンスラインを構築しています。

効果的なリスクマネジメントを行うため、3つのディフェンスラインを構築している。 第1のディフェンスラインは、リスクを保有し整理する事業部門。 第2のディフェンスラインは、第1のディフェンスラインのリスクマネジメントをモニターする管理部門。 第3のディフェンスラインは、独立した立場からリスクマネジメントについて助言を行う内部監査部門。 3つのディフェンスラインがそれぞれの役割を担い、リスクを防ぐ。

主な取り組み

教育の実施

ANAグループでは、リスクマネジメントに係る理解を深め、効果的なリスク文化の醸成を図るために、定期的に、社内の各階層(役員、管理職、一般職)に対して、リスクマネジメントに係る教育、訓練を実施します。

  • トータルリスクマネジメントに係る役員(社外取締役を含む)向け勉強会の実施
  • トータルリスクマネジメントに係る役職員向けeラーニングの実施
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