STORY 1
徹底したお客様目線から生まれる
ANAのデジタルイノベーション

Chapter 4

人とデジタルの力で
おもてなしに革命を起こしたい
多様化する会社が目指す場所

英国SKYTRAX(スカイトラックス)による世界の航空会社格付け「ワールド・エアライン・スター・レーティング」でANAは7年連続で「5スター」を獲得。さらに2部門で最優秀を獲得しています。日本で唯一の名誉とのことですが、さらに意識して向上していきたい所はありますか?

  • 井岡

    井岡

    ANAは人によるサービスの部分が非常に強みだと思うのと同時に、今後は今以上にデジタル技術を駆使して、人によるサービスとの融合を図り、サービス品質の更なる高みを目指していくことが重要だと考えています。あまりデジタルに偏り過ぎると、どうしても人によるサービスが追いついていかない。オペレーションのリアルなサービスに重きを置きすぎる、なかなかデジタル化が進まなくなるため、常にバランスを図ることが大事ですね。

    グローバル競争が厳しくなっている中で、日本はどうしても保守的な面が強いと感じます。海外エアラインの取組みに目を向けつつ、ANAらしい取組みをスピーディーに試していくことも今後は非常に大事になっていくのかなと思いますね。

  • 井上

    井上

    「人の力」は今後も強みにしていく必要があると思いますが、正直人の力だけに頼りすぎて苦しくなっている面もあります。グローバルなキャリアを見ていると、ある程度システムで基盤を作り、残りを人の力でやっている場面が見受けられます。今後、高品質を維持・向上させつつ、グローバルで勝ち抜いていくためには、デジタルに置き換えられるものは置き換えて、我々人間は人にしかできない部分に注力していくことが必要なのではないかと思います。

  • 井岡

    井岡

    人の力とデジタルの融合という話をしましたが、お客様に対して選択肢を増やせたら良いですよね。中には人との接点を持たずして、なるべく予約購入から旅の終わりまでデジタルだけで完結させたい方もいると思っています。
    一方で、ご年配の方などは直接人に聞きたい、というケースもあるかと思います。また、2020年のオリンピック・パラリンピックに向けて、デジタル側のおもてなしからも、ユニバーサルデザインを意識した色々な革命を起こしていきたいです。

  • 山本

    山本

    入社当時の3年前に比べて会社の考え方やスピード感、結束力がものすごく変わったと感じています。私も海外エアラインのデジタル技術の方が進んでいると思っていますが、極論、良いモデルを真似してしまえばそこで終わりです。
    しかし、人のサービスを真似してすぐに導入するのは非常に難しいはずです。我々は人によるサービスの土台が既にできている。そこに対してデジタルでアシストできれば差別化ができますし、その意味では伸び代を持っていると思います。

  • 井岡

    井岡

    デジタル人財というとデジタル技術を極めることだけになりがちなのですが、もう一歩先のデジタル人財は、リアルなサービスでどのように体現するかを楽しんで考えられる人だと思います。
    ANAはお客様との接点も長く、他の会社では成しえないデジタル技術の価値を得ることができるのではと思います。
    実は、私が転職した理由はそこにあります。

中途社員のように異なるバックグラウンドを持つ人の参加で何か影響はありましたか?

  • 井上

    井上

    デジタル技術を融合したサービスをオペレーションの観点だけで進めるのは難しいと感じていました。井岡さん、山本さんのような、データ分析やデータサイエンスの素養を持っていて、「まずはやってみよう」と、新しいことに臆せず取り組めるマインドを持った方が入ったことで、総力が上がってきていると思います。
    客室乗務員のブリーフィングにも積極的に参加して、現場がどうなっているのか学んでくださったおかげで、良い相互作用が生まれたと感じています。

  • 加藤

    加藤

    私も、課題感は感じているもののどうしても解決まで持っていけなかった部分を、外部からの視点を入れることで達成できたと感じています。これまでは、各部署で個別に管理されていた情報を、お互いに使おうという意識が持てていませんでした。お二人のような新たな観点からの洞察に感謝しています。

  • 山本

    山本

    中途社員だからこそ見えることもあります。他部署との会話で、長く会社にいるが故の見えないタブーのようなものも感じたことがありました。
    例えば、本当はいいと思っていても周囲の業務の妨げになるかもしれないから言いにくいといったことです。
    私たちが無邪気に「やりませんか?」と声をかけたら、すんなり話が進んだこともあります。

そういうケース、他のところでもありそうですね。

  • 山本

    山本

    そうです。そのことを周囲に話すと「うそ!?やったの?」と驚かれました。良い意味でのKY感を活かせますね。おそらくそれは新入社員の人にも当てはまるかと思います。新入社員の方は顧客視点に近くて、 KYなことをどんどん言える。それに加えてデジタルの視点を組み合わせると説得力が増す。
    最近は、より新しい人の意見を受け入れるような器ができていると思います。もちろん、オペレーションの人に負荷がかかりすぎないように、不快にならないように気をつける必要はありますけどね。

  • 井岡

    井岡

    データの裏には絶対に何か意味があります。
    ぱっと見はただの数字ですが、背景を読み解くビジネスセンスがないと役に立たない。それを知るためには現場を知ることが不可欠ですし、アンテナの高さとバランスが大事ですよね。