STORY 1
徹底したお客様目線から生まれる
ANAのデジタルイノベーション

  • DXグランプリ2019
  • 2019 攻めのIT経営銘柄
  • 2018 攻めのIT経営銘柄

IT・デジタルイノベーション人財の登用で更なる革新を狙うANA

世界の航空会社格付け「ワールド・エアライン・スター・レーティング」で7年連続「5スター」を獲得しているANA。経済産業省および東京証券取引所より「攻めのIT経営銘柄」にも2年連続で選定され、2019年は最も「デジタル時代を先導する企業」として東証企業で1社のみ選定される「DXグランプリ」も受賞し、IT・デジタルへの先端的な取組にも定評がある。客室乗務員や空港スタッフなど、人が携わるサービス品質が高いイメージのANAは、IT・デジタルの活用によるイノベーションを通し、持続的なお客様体験価値の向上を目指している。

デジタルという言葉には2つの意味がある。1つ目は、お客様情報や運航情報といった既存の大量なデジタルデータを分析し、仮説を立てること。2つ目は、そこで出した仮説に基づき、新しいサービスを構築し、それをデジタルソリューションに基づいて実行すること。ANAでは、IT・デジタルイノベーションの視点を持つ人財を積極採用し、これまでの人が携わるサービスに加え、デジタルを用いた革新的なサービスへと躍進しようとしている。

Chapter 1

デジタル技術は
“想いを繋げる道具”
想いを軸にしてCE基盤を稼働していきたい

今回構築したお客様へのOne to Oneサービスを支えるプラットフォームであるCustomer Experience基盤(以下:CE基盤)をどのように活用していきたいか、想いや世界観を教えてください。

CE(Customer Experience)基盤とは?

これまで各部署に分散されていた顧客情報や運航情報等のデータを集約したデジタルビジネスプラットフォーム。サービス品質の一層の飛躍には、一人ひとりのニーズに合わせて、航空券の予約・購入から目的地への到着までの一連のシーンを通じたシームレスでストレスフリーなサービスの実現が重要となる。CE基盤と人が携わるサービスが相互補完し、更には今後追加していく革新力あるデジタルサービスを連携させることで顧客体験価値の持続的な向上を目指していく。

ANACEの13シーン
  • 山本

    山本

    今回の取り組みは、自分にとって非常に大きなブレイクスルーでした。
    最初は、データをシステム的につなげて、最終的にサービスとして届けることができればそれでいいと思っていたのですが、そうではないと気付いた出来事がありました。ある時、出発の45分前までに保安検査場を通過した方向けに、ANAFESTA(空港での直営販売店)で使えるクーポン券をお送りするという企画を立案しました。お客様に早めに搭乗ゲート近くに移動して頂き、出発遅延率を下げようという意図です。
    現地での様子を見ていると、店員の方が、「早く来てくださってありがとうございます」とお声がけして下さっていました。実はそれが一番大事な事ではないか、と気付かされたのです。「この方は早く来てくださっているんだ」と認知しているからこそ言えた言葉であって、私たちシステム側はそこまで設計できませんでした。その一言で、お客様が「あ、いいことしたんだな」と、気持ちよくなってもらえるし、商品も安く買えるし、早く乗れて良かった、とwin-win-winの花が咲き乱れました。デジタルは”想いを繋ぐ道具”なんだ、と思いました。
    このように想いを軸にしたCE基盤を通してサービスを作っていけることが私の目指す世界観です。

  • 井上

    井上

    私が一貫して想っていることは、人の強みを活かして、今まで以上にお客様に寄り添ったOne to Oneサービスを実現したい、そのサービスの実現に貢献できるCE基盤を作りたいということです。
    ある客室乗務員とお話をさせて頂く機会があり、その際にOne to Oneサービスの話をしました。その客室乗務員の方は、「初めてお会いするお客様でも、表情や行動を見てこの人がどんな方なのか、どのようなサービスだったら喜んでいただけるのか、私たちも日々考えて対応しています」とおっしゃっていました。
    この一人ひとりの日々の行動が、ANAの人の強みであり、お客様から評価いただいている点だと改めて感じました。
    ただ、搭乗前のお客様の空港での過ごされ方や過去に搭乗された際のサービス状況など、客室乗務員が知ることができない情報がありますし、お客様のニーズを推察することは、客室乗務員の経験やスキルによって差が出てしまうことがあります。CE基盤が客室乗務員の知らない情報を適切に補完し、お客様ニーズの推察を補助することで、これまで以上に質の高いサービスを安定的に提供できると期待しています。
    これからは、お客様の状況や感情、ニーズをCE基盤に乗せて、事前に係員がお客様情報を把握しておき、日常レベルでお客様へアプローチする。そして、アプローチ後のお客様の反応や感情などをCE基盤に戻して、ニーズを推察しアプローチを改善する。そのサイクルを回すことでお客様の満足度を高めていきたいというのが最終的に目指す世界観です。