ANA Professionals

  • ANA inspiration of JAPAN

丁寧さに思いやりを乗せる国際線グランドスタッフの真心 この仕事が好きだから、おもてなしに情熱を注げる 地上でお客様と接する仕事だ。言葉遣いに所作。その丁寧さに感心する。資質と訓練と経験、そこに思いが合わさってなせることだろう。プロの技とは熟年の技能のみならず、“コミュニケーション“も重要。すなわちおもてなしのプロとは、その場にいるあらゆる人に気を配るのだ。 文=吉州 正行  写真=小島 マサヒロ #12 ANAエアポートサービスグランドスタッフ 竹内 英里香

グランドスタッフを志したのは学生時代の“感激”があったから 「羽田は24時間空港のため、午前4時からだったり午後からだったり、毎日出勤時間が変わります。国際線か国内線かというだけでも、勤務時間は変わってきますね」入社4年目のグランドスタッフ、竹内英里香はこう語る。グランドスタッフとは、チケットカウンターでの応対から搭乗口でのご案内まで、空港内のサービスを担うスタッフのこと。何しろ驚かされるのが、その言葉の流麗さだ。アナウンサーと聞き間違うほどなのである。「大学時代に心理学を専攻していて、ゼミの教授からの紹介でカウンセリングセンターの受付をしていたということもあって」人と接すること。そして心理学とあわせて学んだ英語も生かせる仕事は何かと考え、国際線のグランドスタッフにたどり着いたという。「インターンシップのとき、お客様に『ありがとう』という言葉をかけていただいたのです。何気ないことでしたが、サービスにご満足していただけたのだと思うと、涙が出るほど嬉しくなって…」この道に進むことを決断。そして、明確なビジョンを持ってANAを選んだという。「チームスピリットがあるということと、ANAは『お客様のために何ができるか』を個人で考える会社なのです。そんな顧客志向に、とても魅力を感じました」
プライベートの勉強も大切。仕事+αをできるかどうか かくして入社したが、冒頭の逸話にあるように、不規則な勤務に戸惑いもあったという。「1カ月間の座学と10日間のOJT(実践教育)で基本的な業務を学ぶのですが、聞いていた以上に体力勝負でした。また“おもてなし”の印象が強かったのですが保安要員としても重要な役割があって、爆発物や不正物品が機内に持ち込まれたり、テロなどが起きないよう、注意することも大切です」覚えることは膨大だった。「国際線ではANAだけではなく、他の様々な航空会社の受託ハンドリングを行います。運用システムが航空会社ごとに異なるため、チェックインなどのオペレーションも変わってきます。それらもすべて覚えなくてはなりません。私はANA以外に、韓国の航空会社を担当することが多いので、日本語と英語のみならず、チェックインに必要な韓国語も覚えるようにしています」竹内はとにかく真面目だ。プライベートの時間をかなり勉強に割いているという。ほとんど「常に受験勉強状態」なのだとか。「それでも、入社したころが一番勉強していました。現在は座席調整などを行うフライトコントローラーという業務を学んでいるのですが、試験が非常に難しく、“鬼門”と呼ばれています」
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お客様のために何ができるか。たとえマニュアルになかったとしても 知識は、頭にたたき込んで終わりではない。グランドスタッフはノウハウをノートやファイルにまとめて業務に臨むのが通例だとか。「あまり綺麗じゃないのですが…」と前置きして取り出したのは、数冊のバインダーや手帳。「使いやすいように個人でカスタマイズします。私は量が多い方で、カウンター用と持ち歩き用に分けて使用しています。一度作ってしまえば改訂ごとにリバイスしていくだけで済むのですが、いまだに学ぶことが多いので日々書き足しています」行き先ごとの必要書類や乗換え時のご案内など、多岐にわたる内容が几帳面な文字でまとめられている。だがサービスの真骨頂とは、それぞれの主観でできる最大限の努力だという。「あるお客様からハネムーンに行かれると伺ったとき、スタッフのアイデアでハッピーウェディングと書いたメッセージをお渡ししたり、記念に一緒にお写真を撮らせていただくこともあります。それらは当然マニュアルにはありませんが、それぞれの判断で行動しています」
仲間の笑顔もお客様のため。チームで仕事をするということ この春、羽田空港の国際線が大幅に増便されたことで、竹内の業務にも変化があったという。「便が増えたため、業務ごとの合間が少しタイトになりました。また乗り継ぎのお客様が増えたため、羽田から各地に向かわれる外国籍の方を多くお見かけするようになりました。利便性は確実に高まったと思います。私も、外国のお客様から日本の感想を伺う機会が増えて、とても嬉しく思っています」こういうささいなエピソードを語る竹内は、きっと仕事が好きなのだろう。「客室乗務員やパイロット、整備士など、私たちの仕事はいろんなスタッフと連携をして、そのうえで初めて飛行機を空に送り出せるのです。だから部署間のコミュニケーションがうまくいって情報共有が円滑に進むと、とても嬉しいですね」そういいながら見せる笑顔も、ひとつのコミュニケーション。「お客様に対してだけではなく、一緒に働く仲間に対しても笑顔は大切です」と語る。その意識は非常に高い。なにせ竹内は、各空港のANAのグランドスタッフが集ってサービスやおもてなしの精度を競う、スキルコンテストで決勝に進んだほど。また社内のスタッフ同士を評価し合う制度でも、竹内は高い評価を得ているという。

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