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全ては「旅行が好き」ツアー企画が秘めた旅への思い 旅のプロフェッショナルが夢見る「最高のツアー」とは 旅行販売店に並ぶツアーパンフレットの数々。いかに魅力ある旅行を作れるか、そしてその魅力をいかに伝えるか。そこにひたすら心を砕くのが、ツアー企画という職業だ。旅行好きであることは大前提。気配り、経験、センスまで求められる。それでもなお旅行が好きでいられるか。本物の熱意が問われる仕事と言える。文=吉州 正行  写真=小島 マサヒロ  #10ANAセールス 旅行商品事業本部 国内旅行商品部 首都圏企画課

旅行が「大好き」だからそれを「仕事」にした 「もともと沖縄出身なんですが、父の仕事の関係で北海道に住んでいたこともあったんです。育った環境のほか、両親がいろんなところに連れて行ってくれたこともあって、いつしか旅行が大好きになっていました」旅行に対する思いを語る久保は、熱心だ。このようなインタビューを受けるのは人生初。体中から緊張感がにじみ出ているようだが、こと趣味嗜好の話となると、目を輝かせて饒舌に話す。趣味嗜好は仕事に結実し、ANAセールス株式会社に入社。やがて現在の業務である“ツアー企画”という仕事へ歩を進めていくのだが、この仕事は、いわば旅行の中身を考えパンフレットなどに落とし込むというもの。当然「旅行が好き」というだけでは務まらないうえ、新人がおいそれとできる仕事ではない。「最初は“手仕舞”という、お客様のご旅行前のご要望を調整したり、ご旅行中の各種サポートをする業務についていました。その後、“仕入”という業務で、ホテルや観光施設などの料金交渉をするように。ツアーがどのようにできるかを、いろいろ学ぶことができました」
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「楽しむ」から「生み出す」へ理想だけでは成り立たないハードワーク あこがれのツアー企画に携わったのは入社後約4年目のこと。「(部署に)配属されたときはうれしくてうれしくて、早く商品を作りたいと思っていましたが、いざやってみると『こんなに大変だったんだ』と思い知らされました。企画内容と発売日を決め、そこから逆算してどこまでに原稿が必要で、料金を作って、仕入をお願いして…を考えながら、3つ4つの商品を並行して同時に進めていく必要があるんです」発売の基本的なサイクルは半年に一度。そのほかにも、時流やイベントなどにあわせて作る“計画外商品”というものも存在する。アイデアや創造性を活用しつつ、かつロジカルに管理するという、バランス感覚が求められる仕事なのだ。「旅行内容を紹介するパンフレットの見せ方やキャッチコピーは自分で考えなければいけないので、最初は苦労しました」校正中のパンフレットの原稿を見せてもらったが、文字やデザインを修正するために手書かれた赤字でビッシリ。最終的には、ちょっとしたフリーペーパーくらいの厚みに仕上がるという。自分で作った企画の意図や魅力をお客様に少しでも伝えたいという気概が、そこに感じられるようだ。
積み重ねた経験があってこそ、はじめて創意が生きる 「…といっても、創意はあくまで基本があってのことです」と、久保は少し自戒を込めたような口調で続ける。「配属されてすぐに、イチから商品のパンフレットを作ることになり、試行錯誤しながら作っていきました。どうにか形にはなったんですが、本来利用できない航空便を掲載しそうになったり、ほかにも細々とした失敗を繰り返したことを覚えています」新人ではあったものの、いち担当として責任のある仕事を任せてもらったことが、結果として基礎を身に付け、成長することに繋がったという。「思い出深いのは、昨年のことです。都内で行われた某歌舞伎役者さんの記念すべき第1回自主公演の初日のツアーを作ることになったんです。細かな肉付けをしてツアーに仕立てる作業は、普段とはちょっと違う刺激がありましたね」加えて、もうひとつ特別な出来事があったという。「企画してパンフレットを作って発売しても、お客様の反応はアンケートでしかわからないんです。でもこのときは私もツアーにアテンドすることができたため、お客様がどんな顔をしてこのツアーに参加されているのかを自分の目で確かめることができたんです。自分が企画したものを喜んでくださっているのを見て、すごくうれしかったですね」
最高の旅行体験とは?旅行好きのプロが夢見る”企画“久保の歩んできた仕事人生は、旅行が好きな学生が、やがて旅行を作るプロになっていく過程と言っていいだろう。だが、いつでも必ず胸に秘めている“初心”がある。「やっぱり旅行が好きなんです。知らない場所に行かないことには、新しい発見がありませんから。ただ、プライベートで旅行に行く際には『ホテルの客室はきちんと掃除されているか』とか、『この行程はこうした方が効率がいいんじゃないか』とか、つい仕事目線でいろいろと気になってしまいますけど(笑)」「職業病です」と笑うが、プライベートにまでその情熱が及ぶ点にはいささか頭が下がる。だがそれだけに、旅行好きである自分の“想い”ばかりが先行しないよう、気をつけているという。「旅行を組み立てるための“素材”に触れたとき、家族や友人といった身近な人を思い浮かべながら、ツアーの行程を組むようにしています」それはお客様に対し、現実的に無理なく「楽しんでもらう」ために課した自分へのルールであり、真心だという。しかし一方で、久保は根っからの旅行好き。いつか無理を押してでもかなえたい“夢のプラン”があるという。

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