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  • ANA inspiration of JAPAN

待ち時間を豊かなくつろぎに変える国際線ラウンジの接客術 空のサービスは、フライト前から始まっている 空港内のラウンジは、航空会社など民間企業が運営していることが多い。そこで提供するサービスは様々。さながらホテルのようなものもある。なかでもANAは、お客様のニーズを汲み、多彩な価値を提供している。空の旅を満喫してもらうために。飛び立つ直前まで真心を尽くすのだ。 文=吉州 正行  写真=小島 マサヒロ  #22 ANAスカイビルサービス 森田 若菜

彩り豊かな食事が並ぶファーストクラス専用ラウンジ ANAは、羽田空港に複数のラウンジを有している。国際線出国エリアにあるファーストクラスラウンジは、そのなかでも最高のサービスを提供している。「お客様のリクエストにはできる限りお応えしたいと考えております。軽食やお飲み物など、きっとご満足いただけると思います」2010年の羽田空港国際線ターミナル開業時からラウンジでサービスを担当する森田若菜は、少し緊張気味に語る。ファーストクラスラウンジに入ると、ビュッフェには彩り豊かな軽食がズラリ。富山県産ほたるいか酢味噌和えは、ぷっくり肉厚で弾けるような食感を持つほたるいかを使用。胡麻豆腐は濃厚な風味だ。海鮮丼には新鮮なネタにふっくら焼かれた伊達巻きが寄り添い、上にはシャキシャキとした食感が楽しい葉わさびが載る。実に凝っているのだ。「3カ月おきにメニューを変えます。日本の誇りと価値を届けるTaste of Japanの取り組みで、6月からのこのメニューは奈良県、富山県と福岡県の食材をふんだんに取り入れているんです。また、夏なのでヌードルのメニューにも工夫を加え、胡麻ダレで仕立てた冷やし中華もご用意しています。ファーストクラスやビジネスクラスの機内食担当者が調理していますので、味も好評をいただいているんです」
海外ゲストが驚く日本ならではのおもてなし 開放感ある窓からは飛行機が眺められ、コピー機はもちろん、無料のWi-Fiなどビジネスユースに嬉しいサービスを完備。ホテルに備え付けられているようなシャワールームには、無料のアメニティグッズが並ぶ。「お客様が何を求めていらっしゃるのか、それを事前に察して、こちらからご提案をさせていただくことがサービスの基本だと考えています。どれだけ“プラスアルファ”ができるかが、この仕事の大事なことなんです」加えて、食事や飲み物に対する豊富な知識も求められる。「食材や調理方法は、メニューが変わるたびに頭に入れています。またファーストクラスラウンジのワインには、常に赤を3種、白を2種、ロゼを1種揃えています。ご用意していないワインのリクエストがあったときに別のものをご提案させていただくためにも、ワインについて学んでいるところです」森田のみならず、こういった一人ひとりの前向きな姿勢が評価され、海外からのお客様にも好評を博しているとか。「日本では当たり前のおもてなしでも、海外からのお客様には驚かれることがあります。たとえばたくさん荷物をお持ちのお客様をエレベーターまでお送りした際、ドアが閉まるまで頭を下げていたら、すごく恐縮されていたこともありました」
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国内線から国際線へ羽田の拡張と共に仕事が広がる 森田が航空系の仕事に就くことを意識したのは中学時代。オーストラリアにホームステイするために初めて一人で飛行機に乗ったとき、空港のグランドスタッフや機内の客室乗務員が親切に接してくれたことがきっかけだったとか。「それで、外国語専門学校のフライトアテンダント・エアライン科に入ったんです。ANAを希望したのは、明るくはつらつとした印象があったからですね。いざ入ってみたら、イメージ通りのあたたかい職場でした」入社当時から羽田空港勤務だったが、まだ国際線ターミナルは開業しておらず、国内線のラウンジ業務が中心だったという。「私はすごく覚えが悪くて、教わったことを自分なりに解釈することで必死でした。お客様からの質問にうまくお答えできず、お叱りをいただいたこともありました」だが持ち前の明るさと前向きさもあり、すぐに慣れたという。「大変だったのは国際線ターミナルがオープンしたときですね。英語は学生時代に勉強していたものの、ネイティブのように自由に話せなかったので、もう一度勉強するのに苦労しました(笑)」
一人ひとりの努力で最高のサービスをANAならではの“ラウンジ”とは? 国際線のラウンジでは、様々な食事や飲み物を提供する。つまりサービスにおいても、担当者の仕事が増えることになるのだ。さらにファーストクラスやビジネスクラスのお客様のご利用が始まるということもあり、森田の気合いもひとしおだったようだ。「国内線ではお客様と接する機会があまり多くなかったのですが、国際線となると、直にやりとりする機会が増えますから。ただ、入社してマナー講習は受けていたこともあり、いざスタートしたらすんなりと順応できました」一方、働き方と私生活の面でも変化があったという。「4勤2休が基本なのですが、深夜の業務もあるので、生活は不規則になりました。今は受付・フロア担当と、お食事・バリアフリー担当と、責任者の3つの担当を順番に回しながら仕事をしています」仕事に対する思い入れを聞くと、ANAならではのサービスに自信と誇りを持っているようだ。お客様の立場に立って、どんな満足感が得られるのかを自分のことのように話す。

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